前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(70)●「野田首相の意表を衝いた{解散宣言}の波紋」●「集団的自衛権行使」容認の動きを警戒」

   

     
 池田龍夫のマスコミ時評(70)
 
●野田首相の意表を衝いた{解散宣言}の波紋(11・19)
●アフガニスタン駐留米軍司令官の不倫疑惑に驚く(11・15)
●「集団的自衛権行使」容認の動きを警戒(11・12)
  
池田龍夫(ジャーナリスト)
 
  ●野田首相の意表を衝いた{解散宣言}の波紋(11・19)
 
 野田佳彦首相と安倍晋三自民党総裁の党首討論(11月14日)で、野田氏は意表を衝いて「11月16日衆院解散」を宣言した波紋は大きい。田原総一郎氏のように「野田首相の一本勝ち」と見る向きは多いようだが、果たしてそうだろうか。
8月の民自公党首会談で「消費増税法案などを通していただければ、近いうちに解散する」との一言が、日本特有の政局論争に火をつけた罪は大きい。来る日も来る日も、不毛な国会論議が続いて3カ月も内外の政治が停滞。国民の政治不信が高まったばかりか、国際的信用の失墜は著しい。
 
           国際的な信用失墜も大きい

 毎日新聞11月16日付朝刊コラムで西川恵編集委員は、駐日外交官の反応は「新鮮な驚きだ。守勢を切り返し、巧みに攻守を入れ替えた。計算し尽くした一手で、野田首相の政治家としての資質をみせた」などと、概して野田首相に好意的だった」と紹介している。
さらに西川氏は「首相が求心力を持ち得たとしたら、国際政治の力学も作用したのではないか。具体的には尖閣諸島を巡る中国との対立だ。自公の賛成で消費増税法が成立したのは8月だったが、内政で混乱している時ではない」との危機意識があったのではないか」と分析していた。

確かにその側面はあったと思う。各紙の受け止め方も驚きながら、「したかな野田政治」を評価している方が多かった。

 
          安倍氏の右ウイングの姿勢を危惧
 
 海外の反応はどうだったろうか。日経11月16日付朝刊が興味深い特派員電をまとめていた。日本の論調より厳しいので、一部を紹介しておきたい。
アメリカン・エンタープライズ政策研究所のマイケル・オースリン日本部長は「米国の日本専門家が注視しているのは自民党が政権に復帰するかどうか。政権復帰しても米軍普天間基地の移設問題を解決できなければ、米国の落胆は深くなるだろう」として普天間移設を優先的に考えているようだ。この姿勢では、日米間はなおギクシャクするだろう。
 
ヘリテージ財団のブルース・クリングチー上級研究員は「首相が次々交代している日本政治の現状が、中国の台頭を招いている。米国は東アジアで日本が重要な役割を果たすことを望んでいる。

…安倍氏の外交姿勢を歓迎するが、国家主義的な傾向には懸念もある」と警告していた。また英ニューカッスル大学のラインハルト・ドリフテ名誉教授は{未知の第三勢力の人気は、民主党だけでなく、自民党への国民の不満の裏返しだ。安倍氏は教育改革や憲法改正に執着するが、国民が望んでいるのは経済立て直しだ}と指摘していたが、まさにその通りだ。

 
       「河野談話」を撤回したら、一大事

 韓国・国民大学の李元徳教授は「(自民党政権が)河野談話を撤回すれば、韓日関係は戻ることのできない川を渡ることになる」と憂慮を示しつつも〝安倍政権〟に期待しなければならないだろうと述べていた。
 日経紙に中国の論調は掲載されていなかったが、習近平路線になっても領土問題への強硬姿勢は相変わらずで、日本の政権がどこに移っても膠着状態は当分続くだろう。
 
 
●アフガニスタン駐留米軍司令官の不倫疑惑に驚く(11・15)
 
 崖っぷちの経済、中国の台頭など、2期目のオバマは苦境に立たされている。それに追い討ちをかけるように、米高官のスキャンダルガ急浮上。それもCIA(米中央情報局)ベトレアス長官の不倫問題で、同長官は11月9日辞任に追い込まれた。

オバマ政権は事態を重視、FBI(米連邦捜査局)が背景を追及したところ、アフガニスタン駐留米軍司令官(海兵隊大将)のアレン氏にも不倫疑惑が発覚、パネッタ米国防長官は13日、苦渋の発表を行った。このため、アレン氏のNATO連合軍最高司令官への転出人事は凍結され、捜査の進展を注視することになった。 

 アレン氏は、ベトレアス氏の後任として昨年7月からアフガニスタン司令官となり、芋づる式に不祥事が暴かれたことは、米国のモラル低下を物語るものだ。アフガニスタン戦争では多数の米兵を失っており、最高司令官の不倫疑惑など言語道断だ。その責任を厳しく問われなければ、米国の威信失墜につながる。
 
       ●「集団的自衛権行使」容認の動きを警戒(11・12)

 安倍晋三氏の自民党総裁返り咲き、橋下徹大阪市長率いる「日本維新の会」の台頭、さらに石原慎太郎東京都知事の新党宣言によって、ますます右旋回していく時代状況が心配だ。特に、3氏が申し合わせたように「集団的自衛権の行使」容認の姿勢を示したことが気になる。そして安倍、橋下両氏は「現行憲法」改正を声高に叫び、石原氏の「現行憲法廃棄」の暴論には驚ろかされた。
 
     米高官が「日本の政治家はウヨクばかりか」と心配

 日経11月10日付朝刊は「(日本の政治家は)ウヨクばかりなのか。ワシントンを最近訪れる日本人は、米政府関係者から安倍自民党総裁の人脈について聞かれることが多い。『安倍首相』は東アジアの安保環境にどんな影響を与えるのか、オバマ政権は重大な関心を抱いている」と報じた。米政府も日本の右傾化を危惧しているのだろう。
石原氏の「平和憲法廃棄」の暴論は許せない

 
ましてや、石原氏の戦前回帰を思わせる「平和憲法廃棄」論など、とんでもない話。田中秀征氏は毎日新聞11月5日付夕刊で「現行憲法に廃棄なんて言葉は誤解を招く。憲法廃棄の法的手続きはないのだ。歴史的に憲法廃棄は、革命やクーデターしか起こっていない。そういう刺激的な物言いで、不安を抱く人はかなりいるだろう」と指摘していたが、石原暴言を許すことはできない。
    
 「公務員の憲法尊重義務」(第99条)の重み

この際、現行憲法第99条で「天皇、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員に憲法尊重義務が課されている」ことを 野田佳彦首相ら国会議員は心に刻み、不穏な時代状況を排除してもらいたい。

(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。
 

 - IT・マスコミ論 , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『Z世代のための  百歳学入門』★『日本超高齢者社会の過去から現在の歴史②』★『80年前までは人生わずか50年だった日本』★『創造力は年齢に関係なし、世界の天才老人、夭折の天才少年の年齢調べ』

2024/10/18/記事再録再編集    百歳学に学ぶ健康 …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(86)◎『老朽原発の廃炉や、核のゴミ処理政策を急げ (13・7・10)』+小出裕章非公式ブログ

  池田龍夫のマスコミ時評(86)   ◎『老朽原 …

『Z世代のための百歳学入門④』★明治の大学者/物集高量(106歳)の長寿逆転突破力の秘訣➂』★「(人間に必要なのは)健康とおかねと学問・修養の三つでしょうね。若い時は学問が一番、次がおかね。健康のことなんかあまり考えないの。中年になると一番はなんといってもおかね。二番が健康、学問なんかどうでもいいとなる。そして年取ると・・・」

  2018/11/26/29知的巨人たちの百歳学(111) …

no image
『日本作家奇人列伝(39)日本一の大量執筆作家は誰だー徳富蘇峰、山岡荘八、谷崎潤一郎、諸橋撤次、田中貢太郎、折口信夫

    2010/03/01  日本作家 …

no image
『リーダーシップの日本近現代興亡史』(233)/記事再録『2019年の流行語大賞「ワンチーム」を3年前に実践して MLBを制した上原投手、イチロー流のプロフェッショナルとは!?』★『真のリーダーとは『愚者」ではつとまらない。「賢者」 (スマート人間)で勝利を残さねばならない』

 2016/07/14 / 日本メルトダウン(924)記事再 …

★人気動画記事再録―『文豪菊池寛と直木三十五の友情物語』●『直木三十五-「芸術は短く、貧乏は長し」と詠んで『直木賞』に名を残す』★『 菊池寛・文壇の大御所を生んだのは盗まれたマント事件』

お笑い日本文学史『文芸春秋編」① ●直木三十五-「芸術は短く、貧乏は長し」 と詠 …

no image
●「 熊本地震から2ヵ月」(下) 『地震予知はできない』ー政府は約3千億円を つぎ込みながら熊本地震まで38年間の『 巨大地震』の予知にことごとく失敗した。(下)<なぜ地震学者は予知できないのか。ゲラー氏は 『地震予知は科学ではない』という>

  「 熊本地震を考える」 『地震予知はできない』ー政府は約3千億円を つぎ込み …

『Z世代のためのジェンダ―フリー歴史講座』★『日本初の女性学を切り開いた高群逸枝夫妻の純愛物語』★『強固な男尊女卑社会の<封建国家日本>の歴史を独力で解明した先駆者』

  2009/04/09 「国文学」09年4月号に掲載記事を再録 <結 …

「75年たっても自衛権憲法を全く変えられない<極東のウクライナ日本>」★「ウクライナ戦争勃発3日後に<敗戦国ドイツ連邦議会>は防衛費を1,5%から2%に増額した」★『よくわかる/日本国憲法制定真相史③』★『わずか1週間でGHQが作った憲法草案 』★『30時間の憲法草案の日米翻訳戦争』★『米英ソの対立が決定的となり、2月4日にはチャーチル英首相が「鉄のカーテン」演説を初めておこなった』★『冷戦勃発で、日本の憲法改正問題はこの代理戦争の色彩を帯びた」

日本リーダーパワー史(357)●『東西冷戦の産物の現行憲法』『わずか1週間でGH …

『25年1月26日午前7時、逗子なぎさ橋珈琲テラスより4日間姿を表わさなかった<ビューティフル富士山>をうっとり拝顔し撮影した。」