前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(99)『米海兵隊、沖縄から豪州へ重点配備計画(』『無人機による民間人犠牲者、パキスタンで900人超』

   

 池田龍夫のマスコミ時評(99)

 

◎『米海兵隊、沖縄から豪州への重点配備を計画(11/13)

◎『国連の「核廃絶決議」164ヵ国が賛同(11/9)

◎『無人機による民間人犠牲者、パキスタンで900人超(11/

 

池田龍夫(ジャーナリスト)

 

米海兵隊、沖縄から豪州への重点配備を計画(11/13)     

  

 米海兵隊の海外駐留の拠点を、沖縄からオーストラリアにシフトするとの情報が、米国内で流れている。

 琉球新報1110日付朝刊ワシントン特派員電が伝えたもので、注目される動きだ。普天間飛行場の辺野古(名護市)移転は暗礁に乗り上げたままで、1月の名護市長選でも〝容認派〟が勝利するとは考えられない情勢という。この点、今回の米国側情報は、解決策を目指すものと考えられる。

 「在沖米海兵隊再編の一環で、海兵隊がオーストラリアに2500人規模の駐留を計画している件で、2018年会計年度(1710月~189月)をメドに、海兵隊の航空機や兵員を搭載する強襲揚陸艦をオーストラリアに配備することを計画している。強襲揚陸上陸戦を含む比較的大規模な作戦に出動するもので、オーストラリアに新たな行動拠点が構築されることが鮮明となり、海兵隊が沖縄に大規模駐留する必然性がさらに薄れることになる。

この計画策定に携わる米海兵隊のウェストーフ少佐は取材に対し、海軍の水陸両用即応グループと現地で連携する駐留方式について『人道支援任務だけでなく、さらに大きな共同作戦の支えとして機能できる』と強調した」と報じている。

 重大な動きなのに、沖縄県紙でしか確認できなかった。沖縄問題に関心が薄い本土紙の姿勢を改めるべきだと、痛感した。

 

 

◎国連の「核廃絶決議」164ヵ国が賛同(11/9)

 

 日本が主導し、提案した核兵器全廃を目指す決議案が114日の国連総会第1委員会(軍縮)で、164カ国の圧倒的賛成多数で採決された。

毎日新聞115日付夕刊は、「反対は北朝鮮だけ、棄権14カ国。核保有国では米国、英国、フランスが賛成し、米国は共同提案国にも名を連ねた。中国とロシアは棄権した」と報じた。12月の国連総会で正式に採択される。

 

核不使用声明では賛成に踏み切る


 また、1021日(現地時間)に同委員会が発表した「核兵器の人道上の影響に関する共同声明」には、日本を含む125カ国が賛同した。声明には「いかなる状況下でも核が二度と使われないことが人類生存につながる」と明記された。

 日本は広島、長崎への原爆投下、太平洋ビキニ環礁での水爆実験、東京電力福島第1原発事故と4度も核被害を受けたが、今回が初めての賛同だった。

過去3回の賛同拒否について政府は「『いかなる状況下でも……』という声明のくだりが、米国の『核の傘』に依存する日本の安全保障政策に合致しないと主張してきた。この点、今回の賛同を多とするものの、核政策に対する政府の根本的な姿勢が変化したと、単純に受け取れない。

 

日本政府は「核抑止論」を絶対視


 核不使用声明が発表された同じ日、日本は米国の「核の傘」に頼るオーストラリアが発表した別の声明にも賛同した。そこには「核兵器国を実質的かつ建設的に関与させない限り、核兵器を禁止するだけでは核廃絶は保証されない」と記されていた。これは過去4回の核不使用の声明を主導してきたスイスをはじめ、一部有志国が目指す核兵器禁止条約へ向けた動きを否定する内容ではないだろうか。

 政府は「核抑止論」を絶対視し「核なき世界」のビジョンを軽視する向きがあることは事実だ。この際、核廃絶を求める世論をさらに増幅させ、冷戦時代の思考を引きずる国策に変化を与えていきたい。

 

パウエル元米国務長官が「核は軍事的に無用」

 

米軍制服組トップと国務長官を務めた、コリン・パウエル氏が朝日新聞71011日付朝刊のロングインタビューで重要な発言をしている。本紙第364号(722日付)でも一部紹介したが、注目すべき視点を紹介しておきたい。

「まともなリーダーならば、核兵器を使用するという最後の一線を踏み越えたいとは絶対に思わない。使わないのであれば、基本的には無用だ。政治的に見れば、核には抑止力があり、北朝鮮は核兵器を持つことで自国の力や価値が増すと考えている。だからこそ私は核軍縮を提唱している。

核兵器をすぐにゼロにするのは難しい。しかし核廃絶という目標を持つのは良いことだ。各国は協力してコントロールし、封じ込めることが重要だ」との「パウエル発言」は、まさに正論である。


◎無人機による民間人犠牲者、パキスタンで900人超(11/

 

 遠隔操作による無人機攻撃は依然止まず,新たな〝残虐兵器〟の様相を呈してきた。アムネスティー・インターナショナルの調査によると、パキスタンでは過去9年間で900人以上の民間人が無人機攻撃の犠牲となり、イエメンでも58人が巻き添えを食ったという。国連の調査でも2004年以降、パキスタンで400人以上の民間人が死亡したことが明らかにされ、被害はさらに多発する危険性が濃厚だ。

 

米国ではトップシークレット

 米国のオバマ大統領が「無人機攻撃で、民間人に死傷者が出ている」と公式に認めたのは今年5月だったが、その後大統領は具体的数字を示さず、〝トップシークレット〟扱いが続いている。

 

「国際法違反だ」――国連調査官、米議会で告発

 

 週刊誌サンデー毎日(1117日号)は、「米国ではパキスタンで発生した空爆の被害者らが初めて連邦議会で証言。国連調査官のベン・エマーソン氏が『国際法に違反している可能性がある』として、直ちに無人機攻撃を止めるよう呼びかけた。大統領は『警察、軍隊などの影響が及ばない場所で人々の脅威を取り除くには、この方法しかない』との姿勢だ。国際法違反の暴挙を地道に世界に知らせていかねばならない」と警告していた。

 BBC111日の放送によると、パキスタン・タリバン運動の高官ハキムラ・メスード司令官が米軍の無線機攻撃によって死亡したことを明らかにした。民間人犠牲者には一切触れていないが、米国の執拗なタリバン掃討作戦が懸念される。

 

       「テロ戦争の連鎖」の危険性

 

 仮に、犠牲者の遺族が反米活動に参加すれば「テロの連鎖」になりかねず、悲劇が増幅するに違いない。さらに憂慮されるのは、無人機問題が米英にとどまらないことだ。中国など新興国が無人機配備に積極的であり、日本も導入を検討中というから恐ろしい。

 朝日新聞113日付朝刊は、「日米両政府は、米軍がグアムに配備する無人偵察機23機を米軍三沢基地(青森県)に2014年春以降配備することを検討している。自衛隊も34機の15年度導入を計画、両国の情報共有を目指している」と報じている。「偵察型の無人機だから問題ない」と防衛省は言っているが、その保障はあるのか疑わしい。

 無人機使用の歯止め、国際ルール確立を急がないと、「新たな戦争」を引き起こす危険性大である。

 

(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。

 

 - IT・マスコミ論 , , , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

★スクープ写真『2011年3月11日福島原発事故約1ヵ月前の『鎌倉カヤック釣りバカ快楽日記』★『老人と海、大カサゴのお出まし』★『若者は書を捨てて大海に出よ』★『ネットサーフィンをやめて、海でサーフィン、カヌーをやれ、そのあとにネットサーフィンやれば、もっとエキサイティングに世界一周できるぜ!』

2022/09/20 記事再編集 前坂 俊之(ジャーナリスト) 『三寒四温』とは …

no image
  世界も日本もメルトダウン(965)『日本政治「安定」の謎=河野龍太郎氏』●『  日本の大企業に蔓延する、思考の共産主義[樋原伸彦』●『華人系は嘘っぱち、ドゥテルテに騙されるな!―田中角栄元首相に重なる面が多いフィリピンの新大統領』●『(動画2分)ソ連に愛国的なロシアの歴史教科書 ソ連崩壊の記述は』●『オバマの腑抜けFONOP、“中国の”島に近づかず はるか沖合を通航するだけ、米海軍周辺からは怒りの声』●『トランプ「第3次世界大戦」発言の深層にあるもの』

  世界も日本もメルトダウン(965)     コラム:日本 …

no image
  日本メルトダウン(999)―『孫・トランプ会談、米メディアも高い関心 M&A加速と分析も』●『嘘か真か、トランプ流「ツイート砲」がメディアを圧倒』●『トランプ政権の命運を握る“超保守派”の懐刀ーメディアを操り過激な政治主張を繰り出すバノン氏(古森義久)』●『日銀がETF買いで「日本企業の大株主」になることの大問題』●『北方領土返還やっぱりプーチンに騙された“お坊ちゃま首相”』●『ガラパゴス日本の文化や技術が世界標準を目指すべきでない理由』

   日本メルトダウン(999) 孫正義氏,携帯再編、規制緩和狙いか…トランプ氏 …

日本ローカル線の動画ぶらり旅①』ー岡山県津山市の津山城に向かう』★『津山駅と駅前広場から旧津山藩の鶴山城へぶらり、街並み拝見しながら』(動画20分)

  津山城はこうしてできた。 http://www.tsuyama-k

『Z世代にための日本文学者列伝(動画あり)』★『 直木三十五は「芸術は短く、貧乏は長し」と詠んで『直木賞』に名を残した。』★『借金の天才の「借金取り撃退法はダンマリ作戦」』★『流行作家となり、湯水のごとく原稿料を散財した、 無駄な出費が大好き』

2016/11/09 「 お笑い日本文学史」記事再録/再編集 直木三十五(なおき …

no image
歴代最高の経済人は誰か①ー『欲望資本主義を超克し、21世紀の公益経済学を先取りしたメッセの巨人』三井、三菱、その他の実業家より偉大な財界人・ 社会貢献の偉大な父・大原孫三郎から学ぶ③

『単に金もうけだけしか考えない人間が多すぎる、そんな拝金亡者が 世界中で地球の有 …

no image
日本メルトダウン脱出法(888)『東京五輪招致にカネ疑惑、関係者の秘密口座に1億6000万円支払い? 英紙報道』●『五輪招致で億単位の送金か、菅義偉氏はクリーン強調』●『凋落日の丸家電が「甘えの構造」から 抜け出すための最終提言』●『英女王、中国訪問団は「とても失礼」だったと発言』

 日本メルトダウン脱出法(888)   東京五輪招致にカネ疑惑 関係者 …

『Z世代のための百歳学入門④』★明治の大学者/物集高量(106歳)の長寿逆転突破力の秘訣➂』★「(人間に必要なのは)健康とおかねと学問・修養の三つでしょうね。若い時は学問が一番、次がおかね。健康のことなんかあまり考えないの。中年になると一番はなんといってもおかね。二番が健康、学問なんかどうでもいいとなる。そして年取ると・・・」

  2018/11/26/29知的巨人たちの百歳学(111) …

『Z世代のための最強の日本リーダーシップ研究講座】㉝」★『120年前の日露戦争勝利の立役者は児玉源太郎、山本権兵衛』★『日露開戦4ヵ月前、前任者が急死したため児玉源太郎は二階級(大臣→参謀次長)降下して、決然として立ち、日露戦争全軍を指揮した』★『わが戦略が失敗すれば、全責任を自己一身に帰して、内閣にも、参謀総長にも分たず、一身を国家に捧げる決意で取り組む」と決意を述べた』

  児玉源太郎副総理(内大臣、台湾総督)は二階級(大臣→参謀次長)降下 …

no image
  日本メルトダウン(1024) 『3・11東日本大震災・福島原発事故から6年』ー『(動画対談)トモダチ作戦を忘れるな 原発容認から脱原発へ 小泉純一郎元総理が「脱原発」へと考えを変えた理由とは?』★『なぜわれわれは福島の教訓を活かせないのか 田辺文也氏(社会技術システム安全研究所所長)』●『  東日本大震災6年後もなお山積する課題ー室崎益輝氏(神戸大学名誉教授)』●『小泉純一郎元首相「どうかしている。発想がわからない」 安倍晋三政権の原発輸出政策を批判』★『毎日新聞「ダム底 高濃度セシウム」報道に誤り多数』

   日本メルトダウン(1024) 『3・11東日本大震災・福島原発事故から6年 …