「Z世代のための『人生/晩節』に輝いた偉人伝』★『日本一『見事な引き際の『住友財閥中興の祖・伊庭貞剛の晩晴学②』★『〝晩成〟はやすく〝晩晴″は難し』★『真に老いに透徹した達人でなければ達し得ぬ人生最高の境地こそ〝晩晴〟である』
有害なのは青年の過失ではなく、老人の跋扈(ばっこ)である
明治35年(1902)、伊庭貞剛は故郷の滋賀県石山の琵琶湖近くに引退する準備をはじめた。57歳を迎えた伊庭は明治37年7月に、三代目総理事のポストを四十余歳の若い鈴木馬佐也にさっさと譲り、正式に住友を引退し、石山に隠棲した。★「少壮と老成」全文ー 経済誌「実業之日本」(明治37年2月15日発行)

〝老い″は単なる老朽や老衰ではなく、本当の〝老い〟とは円熟を意味し、その心境に達するには、幾多の試練と努力がいる。
六十歳を超えて、本当の〝老い〟の味を知った翁は、生命力が人間の無用の煩悶と焦慮を払いつくし、はじめて至る明るさと温かみと、いいしれぬ柔らかな境地に達した。
翁はその境地を世の多くが使う〝晩成〟を退けて、〝晩晴〟とした。晩成はあくまで事業を成し遂げた者の心境であって、晩晴は人生そのものを第一義とし、事業はその一部にすぎず、真に老いに透徹した達人でなければ達し得ぬ人生最高の境地こそ〝晩晴〟であるとした。
翁はよく揮書頼まれたが、「晩晴」だけは、容易に書かなかった。ある人がしきりに頼んでも伊庭は笑って「お前にはまだ早い。『晩晴』を書けというなら、もっと修業していさめていたという。
Late maturity is easy, but late clearing is difficult.
Aging” is not merely old age or senility, but true “aging” means maturity, and it takes many trials and efforts to reach such a state of mind.
After the age of sixty, he came to know the taste of true “old age.” His life force dispelled useless worries and fretting, and he reached a state of brightness, warmth, and softness that could not be described.
He called this state of being “late blooming,” rejecting the term “late completion,” which is used by many people in the world. He said that “late completion” is the state of mind of a person who has accomplished a great deal in business, while “late peace” is the highest state of life, which can only be attained by a person who is truly an expert in aging.
He was often asked to write calligraphy, but he did not write “Late Sunrise” easily. When someone asked him to write “Late Evening Sunrise,” he would laugh and say, “You are not ready for it yet. If he wanted me to write “Late Evening Sunrise,” Iba would have trained himself harder.
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