前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『世界サッカー戦国史』➈『ガラパゴス/ジャパン/サッカーの未来を開く』★『日本人監督にして科学的トレーニングを強化する』

      2018/07/16

『世界サッカー戦国史』➈

日本サッカーの強化法―科学的トレーニングの必要性

前坂 俊之(ジャーナリスト)
(7月10日書いたもの)

W杯ロシア大会は番狂わせ連続の大波乱の大会となった。

前回覇者のドイツは緒戦で3連敗、1000本ものパスを無駄使いしたスペインは共に1次リーグで敗退し、メッシ不振のアルゼンチンもやっと這い上がった2次リーグで早々に姿を消した。

優勝候補ブラジル、ウルグアイも準決勝までに敗退した。これで史上初のブラジル、ドイツ、アルゼンチンがいないW杯準決勝になった。

ベスト4に進出したのはイギリス、フランス、ベルギー、クロアチアでW杯というよりも「ヨーロッパ大会」決勝戦の様相を呈している。

一方、日本は強豪コロンビアをアジア勢として史上初めて倒し、2次リーグのベルギー戦では終了1分前に逆転され3-2で惜敗したが、下馬評を覆す大健闘を見せて、チームジャパンの躍進ぶりを世界にアピールした。急きょ登板した西野監督の見事な采配ぶりは高く評価される。

 

サッカーW杯 日本代表を「勝てる集団」に変えた西野監督の言葉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180714-00056474-gendaibiz-bus_all
 

ちょうどこのW杯ロシア大会の開催と同時期に、米国ワシントンに在住の娘が2人の孫(6歳、3歳)を連れてわが家に里帰りしてきた。

上の6歳の孫はサッカー少年で、ワシントンで毎日、サッカーで遊んでおり、帰国後すぐ、地元の小学校に体験入学し、早速、早朝サッカー教室に参加、学校から帰ると近所の小学生たちとサッカーに熱中して大喜び。

わがジジ、ババと深夜のサッカー中継に、ともに一喜一憂しており、改めて地球規模でのサッカー盛り上がりを肌で感じた。

小学校が休みの土日も早朝練習があるが、そのあと、鎌倉海水浴場に孫と水泳に行ったが、「入れ墨などの露出は禁止です。飲酒も禁止です。ただし、海の家では可能です」などとの事細かい利用者規則が大きなマイク放送で流れてきた。

W杯の出場選手のほとんどが、手足、背中などにタトゥー(入れ墨)を入れているのがテレビで大写しにさている。

鎌倉でも最近外国人観光客が激増しており、タトゥー族も海水浴にもたくさん来ていた。今のところトラブルはない模様だが、日本と世界のサッカー文化の大きなギャップを実感じた。

また、気になったニュースがあった。

イングランド代表選手が妻の出産に立ち会うため一時帰国。この選手は、決勝トーナメントの初戦に出場できなかったが、チームの監督は、「人生にはサッカーよりも大切なことがある」とこの選手をたたえたという。

日本の場合はこの真逆であろう。試合優先で『親の死に目にも会いに行かなかった』というのが賛美される仕事重視の文化である。

ベルギー戦で逆転負けした日本代表が、試合後にロッカールームをきれいに清掃し、ありがとうを意味するロシア語「スパシーバ」と書いたメモをのこした動画がYoutubeで流され、世界中で話題となった、という。これなど「飛ぶ鳥、跡を濁さず」の日本美学の行動だが、世界には異質な文化と映る。

準決勝に進出した4チームはいずれもヨーロッパ各国代表である。その強さの秘密は共通している。

➀多民族混成チームであり、フィジカルに強いアフリカ系選手が活躍したこと

②世代交代した20代中心の若手チームで、選手層が厚い

③多民族チーム特有のダイバシティ―(多様性、個性的)がある。

④レベルの高いヨーロッパサッカーの選手たちで、試合経験豊富などで、日本チームとは180度違い、この差を埋めるのは容易ではない。

結局、このギャップの根源をたどると、日本古来の武道のDNAの(蹴球道)にたどり着く。

私見によれば、格闘技としての西欧のレスリング、ボクシング対日本の柔道、剣道の違いは,フィジカルの強さを逆手にとって

「小よく大を制す」「柔よく剛を制す」で、

相手の力を利用して背負い投げ、巴投げなどの投げ技で倒す武術、武道が進化して、さらに西欧流のスポーツに融合して、発展した。

武道はあくまで、大から身を守る護身術から発展した「守備型」で、攻撃型ではない。『礼にはじまり、礼に終わる』のが基本。

西欧流の個人主義の上に築かれた個人対個人のぶつかり合い、格闘技の西欧流サッカーと、「チームプレイの集団結束守備型」「コンビネーション」「パス回して一瞬のスキをついて居合斬りで攻撃する」日本とはまるで違う異文化スポーツ衝突といえよう。

帰国した7月5日の記者会見で「西野監督は引退を表明、協会会長はすみやかに次期監督を決定する」と述べた。

次期サッカー日本代表監督、やはり日本人が適任といえる理由
https://diamond.jp/articles/-/174841

 

次の日本代表監督は一体誰なるのか、外国人監督か、日本人監督か、スポーツ紙で取りざたされている。

『日本サッカー協会』(JFA)は今大会の試合結果を徹底検証し、ワールドクラスの選手育成の長期プログラムを作成し、これまでの監督選びの連続失敗を繰り返してはならない、と思う。

ビッグデータ、AI(人工頭脳)を取り入れた科学的、合理的なフィジカルトレーニングを導入し、旧来の猛練習主義、根性主義の体質を切り替える必要があろう。

エンゼルスの大谷選手をはじめ、ヤンキースの田中選手などが高校野球での投げすぎによる肘の故障、ケガで「トミー・ジョン手術(側副靱帯再建術)」を受けるケースが多い。スポーツ選手の科学的な肉体管理、とレーニングが欠かせない。

4年後のW杯も、日本代表は「心配無用」と言える理由

ようやく「日本らしい戦い」がわかった
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56426?utm_source=yahoonews&utm_medium=related&utm_campaign=link&utm_content=related

 

 - 人物研究, 健康長寿, 現代史研究, IT・マスコミ論 , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本リーダーパワー史(35)リーダーへの苦言―『豊かな時代の愚行は笑い話ですむが、国難の際の愚行は国を滅ぼす』(スミス『国富論』)

 日本リーダーパワー史(35) ①リーダーへの苦言―『豊かな時代の愚行は笑い話で …

no image
速報(355)『日本のメルトダウン』●『格差と世界経済:真の進歩主義』●『日本のナショナリズム:ポピュリストに要注意』

速報(355)『日本のメルトダウン』 ●『格差と世界経済:真の進歩主義』 ●『日 …

no image
 『百歳学入門』(168)ー『耳石が老化現象の原因に!? 注意したい身近な耳の病について《ガッテン!》』●『【ガッテン】耳石の刺激で若返る!? NASAの宇宙開発で生まれた究極のアンチエイジング5選』●『究極の老化予防は「立ち上がるだけ」 歩くよりも病気になりにくい不思議』

 『百歳学入門』(168) 11月16日、NHK「ガッテン」で『NASA直伝! …

no image
日本の「フィランソロピ―」の先駆者だった『新聞界の巨人』毎日新聞の中興の祖・本山彦一

  経済週刊誌『エコノミスト』を創った新聞界の巨人   <日 …

no image
知的巨人の百歳学(100)ーギネスブック世界最長寿の彫刻家・平櫛田中(107歳)の長寿の秘訣は!『70、80、洟垂れ小僧、洟垂れ娘、人間盛りは100から、100から』★『今やらねばいつできる、わしがやらねば、だれがやる」』

ギネスブック世界最長寿の彫刻家・平櫛田中(107歳)   平櫛田中記念 …

no image
日本メルトダウン脱出法(841)『安倍政権は報道を弾圧しているのかー問題は「政治的圧力」ではなくマスコミの劣化だ(池田信夫)』●『サンダースとトランプと米国人の憤怒 「アウトサイダー」への熱い期待が意味すること(英FT紙)』●『「憲法9条にノーベル平和賞」で喜ぶのは韓国 「反日」で鳴らす米国人学者も関与、政治的意図は明確だ(古森義久)』

   日本メルトダウン脱出法(841)   安倍政権は報道を弾圧してい …

no image
日本リーダーパワー史(808)『明治裏面史』 ★『「日清、日露戦争に勝利』した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、 インテリジェンス㉓『「日清・日露戦争の勝利の方程式を解いた 川上操六(陸軍参謀総長、日本インテリジェンスの父)』★『 『川上が田村怡与造を抜擢、田村と森鴎外にクラウゼヴィッツ兵書の研究を命じたことが日露戦争勝利の秘訣』

 日本リーダーパワー史(808)『明治裏面史』 ★『「日清、日露戦争に勝利』した …

no image
世界の最先端テクノロジー・一覧②『ジェフ・ベゾスが世界4位の富豪に、アマゾン株が最高値を更新』●『超音速列車「 ハイパーループ」欧州でも始動』●『9次元の世界へようこそ、「超弦理論」が映像に』●『TRONの坂村氏が主導するIoTの新たなプロジェクトが始動』●『米国防総省、グーグルで活躍した大物研究者が今度はフェイスブックへ電撃移籍』

 世界の最先端テクノロジー・一覧② ジェフ・ベゾスが世界4位の富豪に、アマゾン株 …

no image
日本経営巨人伝⑬伊藤伝七ーーーわが国紡績界の創始者・三重財界の重鎮の伊藤伝七

日本経営巨人伝⑬伊藤伝七   わが国紡績界の創始者・三重財界の重鎮の伊 …

『Z世代のための『バガボンド』(放浪者、世捨て人)ー永井荷風の散歩人生と野垂れ死考 ② 』★『行動的なフランス知識人とまったくだめな日本のインテリ』★『荷風は煙草入れを下げ、浮世絵を集め、三味線を弾き始めた。世捨て人と化し、自らを無用庵と名づけた』

2015/08/02    2021/05/02/記事再録 …