日本リーダーパワー史(542)サッカーアジア杯敗北とイスラム国人質事件で『死に至る日本病』を考える➁
2015/01/26
日本リーダーパワー史(542)
①サッカーアジアカップの準々決勝UAEでの敗北ぶり、
➁同時進行中のイスラム国人質事件での右往左往ぶり、
➂積年の病弊「農協改革を」一挙断行できない自民党の怠慢に
『ガラパゴスジャパン病』(死に至る日本病)を考える②
前坂俊之(ジャーナリスト)
「25日朝に人質の1人が殺害されたという情報が入り、安倍首相の「湯川さんとみられる殺害画像を投稿、安倍首相「許しがたい暴挙」
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKBN0KX0M120150124
の談話が掲載された。
1人殺害という冷厳な現実が人質交渉の難しさを示しているが、まだまだ残された後藤さんがどうなるのか、注目されるが、今の時点(25日午前2時)、次の点を指摘したい。
- 日本は元々、外交や交渉は最も苦手とする民族といえる。
他に比類なき同質性の国(世界の大部分は陸続きの大陸国家、多民族国家である)で、島国で孤立し、さらに鎖国230年の歴史が長く、国民の「表現の自由」が抑圧されていたため、異文化コミュニケーション、異文化交渉、対外外交の能力はよその国より劣っている。明治維新から昭和戦前の約80年間で、対外戦争、軍事紛争がなかった年はないくらいだが、それだけ外交の失敗、交渉失敗があったということであり、それが戦争に発展したのである。(例・日中戦争は「近衛文麿首相の『対支那政府は相手にせず』によって泥沼に陥った。また、松岡洋右外相のヒトラーとの『日独伊三国同盟締結』、スターリンとの「日ソ不可侵条約締結」についてなど」
この原因は日本人の外国人コミュニケーション下手だが、その根底には日本人の心情に対立することへの恐怖心、明確な発言、態度をとれない【仮面のような日本人】がある。外国人との間にあるパーセプションギャップ、認識ギャップ、思い違い、誤解、すれ違いがあり、異文化コミュニケーションのハードルは高い。
これに、英語、多言語発信能力、スキルと対外PRキャンペーンの不足が一層、輪をかけて、戦後も外交敗北、貿易交渉などで敗北を続けている(これはサッカーのパス回しと同じ、外交交渉で国内のコンセンサスの小田原評定を続けて、結果がきまらない『日独伊三国同盟』の例・・・)
➁テロ集団との人質事件、身代金要求事件では、断固として金を払ってはならない。これが英米の大原則、理念外交である。
「人質の安全を優先して」金を払うと新たな第2、第3の人質事件を生むリスクをふやすことになる。いま日本ではびこる「安全、安心社会」の現実と戦争下にあるイスラム国はまったく違う、理解を絶した環境にある。「イスラム国」では殺害は日常茶飯事で、シリアの少女たちを25ドルから千ドルの値段をつけて奴隷として売買し、レイプされている」と『英タイムズ」は報じている。暴力否定、人権尊重、男女平等という民主主義国家とは正反対であることをまず知っておく必要がある。
安全、安心と危険、リスク、不安とは隣り合わせであるリアリズムを日本人はいまやすっかり忘れて、少し前だが、後方支援は『戦闘地域か』『非戦闘地域か』などの幼稚な神学論争にあけくれていた。
日本人は「水と安全ときれいな空気にくわえて、親切と善意は当たり前」と思っているが、それは日本の常識であっても、世界では非常識であり、イスラム国での認識は全く違う。
- すれ違う善意と敵意が対立、紛争、戦争の原因となる。元々、安倍首相の今回のエジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナへの外交は『イスラム国』には、日米同盟ある日本の首相が、敵国イスラエルを訪問したのだから、敵意を持つのは当たり前に映る。安倍首相のパレスチナとイスラエル双方の自制と話し合いによる解決を求める『善意の外交、難民援助(小切手)外交』は日本外交のできることの限界であろうが、敵対国には『ダブルスタンダード』(2枚外交)に見えてしまうことを認識しておかねばならない。
●『焦点:低かった人質事件への警戒度、難しい政府の身代金判断http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKBN0KX0CF20150124?feedType=RSS&feedName=worldNews
この認識ギャップで、今回の事件はおきたが、政府はテレビやメディアを前に『人質の安全救出に全力をあげる』『テロの断固阻止』と「難民支援の資金の提供である」との声明を発していたが「あいまい外交」「どっち付かず外交」(2枚舌外交)印象を与えたのである。
つづく
「湯川さんとみられる殺害画像を投稿、安倍首相「許しがたい暴挙」
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKBN0KX0M120150124
焦点:低かった人質事件への警戒度、難しい政府の身代金判断
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KX0CF20150124
焦点:「イスラム国」人質事件、安倍首相の安保政策は逆に強固に
http://jp.reuters.com/article/jp_islamicst/idJPKBN0KV0IR20150122
●「なぜジャーナリストは戦場に行くのか~安易な「自己責任論」ではなく「冷静な議論」を
http://www.bengo4.com/topics/2584/
邦人人質事件 解放へあらゆる手段を尽くせ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150123-OYT1T50168.html
<イスラム国人質事件・冷静で客観的な視点を>受動喫煙の死亡者7000人と「人質2人」の命の重みをどう考えるべきか?
http://blogos.com/article/104049/
海外での自国民人質事件。各国はどう対応するか?
http://blogos.com/article/104006/
[amazonjs asin=”4569823637″ locale=”JP” title=”アメリカはイスラム国に勝てない (PHP新書)”]
関連記事
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ ウオッチ(193)』 ★『改革や革新は 『他所者、馬鹿者、若者』にしか出来ない」という古来からの教え』★『シャープの墜落は日本企業に共通する、「変化に気が付かない、海外市場を知らない」という致命的な弱点を曝露』●『シャープ新社長「信賞必罰の人事を徹底」 社員にお達し』●『独占密着! グーグルの新CEOが描く「AI」で動くデジタル世界』
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ ウオッチ(193)』   …
-
-
速報(191)『日本のメルトダウン』『ユーロ圏債務危機は世界経済破綻の引き金になるか』★『西欧の没落』がやっと始まった?
速報(191)『日本のメルトダウン』 ●『約100年前の第一次世界大戦(1914 …
-
-
速報(471)『日本の起業家:アベノミクスがもたらす希望』「中国の大手銀行:行く手に待ち受ける厳しい現実」(以上エコノミスト誌)
速報(471)『日本のメルトダウン』 ●『日本の起業家 …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(157)』 『イスラエルに魅せられて再訪(2016/1)」レポート(5)『死海(Dead Sea)、30 年ぶりの浮遊体験』ー平均1年、1mのペースで湖面が低下している。
『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(157)』 『イスラエルに魅 …
-
-
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 日本メルトダウン(1068)>★『北朝鮮の暴発はあるのか』第2次朝鮮戦争勃発の危機が高まる!?(7月ー8/25日までの経過)
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 日本メルトダウン(1068) …
-
-
日本メルトダウン脱出法(624)●『イスラム国人質事件、日本外交の転換点か』(英FT紙)●「ウクライナ情勢、「第2次大戦」前夜と共通点」など6本
日本メルトダウン脱出法(624) ●『イスラム国人質 …
-
-
速報(23)『日本のメルトダウン』35日目ー◎福島原発の廃炉はチェルノブイリより困難=独重機メーカー●
速報(23)『日本のメルトダウン』35日目 ◎福島原発の廃炉はチェルノブイリより …
-
-
日本メルトダウン脱出法(886)『世界中の中央銀行は「巨大」になりすぎている 、独善的になって暴走すると金融危機の再来も』●『国民への「バラマキ」をフェアかつ有効に行う方法はあるか?』●『「日本流おもてなし」は外国人観光客に本当に好評か』●『中国バブル崩壊は「必ず起こる」中国の著名大学教授が主張』●『企業経営:「弱小レスター」優勝の教訓 (英エコノミスト誌)』
日本メルトダウン脱出法(887) 世界中の中央銀行は「巨大」になりすぎている …
-
-
『「トランプ関税国難来る!ー『石破首相は伊藤博文の国難突破力を学べ⑤』★『トランプ・ウルトラマジック?・トランプサーカス?は成功するのか、失敗に終わるのか!?」
●ブルームバーグ、CNN,ロイター(4月10日付)などの報道によると、 トランプ …
-
-
知的巨人の百歳学(114)徳富蘇峰(94歳)の長寿人生論「体力養成は品性養成とともに人生の第一義。一日一時間でも多く働ける体力者は一日中の勝利者となり、継続すれば年中の勝利者、人生の勝利者となる』★『世界的作家の執筆量ベスト1は一体だれか。『近世日本国民史』(百巻)の徳冨蘇峰か?!』
知的巨人の百歳学(114) 体力養成は品性養成とともに人生の第一義。 …

