池田龍夫のマスコミ時評(29) 「普天間基地移設」棚上げの混乱-―「沖縄の民意」に応えない菅政権―
相次ぐ失言によって参院でボイコットされた仙石由人官房長官を枝野幸男氏に交代させざるを得なかったことは仕方ないにしても、反民主党の急先鋒だった与謝野馨氏(『たちあがれ日本』を突然離党)を内閣の主要ポスト・経済財政相に起用したことに衝撃が走った。政権浮揚のため、なりふり構わぬ菅首相の狼狽ぶりを示すもので、「政治の劣化」を危惧する声は高まり、年明け早々の日本に暗雲が垂れ込めている。
沖縄には在日米軍の74%が集中しており、普天間基地を県外移設したとしても、集中度が72%に下がるだけなのに、沖縄県民の悲願を逆撫でするような首相発言が飛び出した。「県外・国外移設が実現できず、申し訳ない」と儀礼的に述べたあと、「普天間の危険性除去を検討した結果、県民にとって辺野古への移設はベストではないが、ベターな選択ではないか」との発言に仲井真氏は絶句した。
そもそも、民主党は野党時代の〇八年「思いやり予算特別協定」に反対し、参院で否決に持ち込んだ前歴を持つ。与党になった民主党が、米政府から「日本周辺の安全保障環境の悪化」を理由に〝削減〟はおろか、「五年間、現行水準維持」という約束を呑まされてしまったのである。国会で真剣に論議した形跡もないまま、このような重大決定に踏み切った民主党の〝外交敗北〟は明らかだ。
そこには「14年の普天間移設完了の見込みはなく、日本の国内問題」との米側判断の冷徹さが透けて見える。こんな状況なのに、「海兵隊のグアム移転に伴うインフラ整備の出資枠について日米政府が合意した」(『朝日』12・21夕刊)という。
米側はイランの弾道ミサイルに備えて欧州輸出を狙っているとのことだが、「武器輸出三原則」に抵触する重大問題であり、これを突破口にして〝武器輸出解禁〟に道を開く愚は阻止しなければならない
だが、最近の彼らといえば、軍用機で空から入国し、身軽に移動できない重装備で陸上で戦うなど、本来の性質からずれてきている。部隊は肥大化し、経費も右肩上がりだ。そんな状況に懸念を抱いたゲーツ長官は昨年五月、陸軍に向けた演説でこう本音をぶちまけた。『海兵隊の役割は、陸軍と何が違うのか』。海兵隊が最後に海から奇襲攻撃をかけたのは、朝鮮戦争の仁川上陸作戦。以降六〇年もの間、海兵隊が『殴りこみ』をしたことがないと説明し、シンプルにこう疑問を投げかけた。
『海兵隊の任務って何?』。その後ゲーツ長官は八月の講演で、世界を取り巻く脅威の変化や兵器の革新などを踏まえ、海外遠征軍を含めた海兵隊の体制を見直すよう、海軍と海兵隊の指導者に指示したことを明らかにした。…9・11事件以降肥大化した軍事費と軍の役割、特に海外駐留の意義について、本格的に議論されようとしている」。
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