前坂俊之オフィシャルウェブサイト

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<国難日本史ケーススタディー③『我が日本は開国以来、いまだかつて真の外交なるものはなし』<林 董(ただす)の外交論>

   

<国難日本史ケーススタディー

林 董(ただす)の外交論を読む

我が日本は開国以来、未だかつて真
の外交なるもの経験なし
「三国干渉」に対する林 董論説。も続く日本の
「国家戦略の不在」「外交不在」の根源を指摘する>
 
 
日本の超難問クイズを考えましょう。現在日本が陥っている状況はーーーー
   少子超高齢化から、2050年には人口4000万人急減の衰退国家になる。
   財政赤字は国地方合わせて2000兆円近い借金赤字倒産国家
   原発廃炉まで50年かかる長期低線量被ばく国家
   3・11大震災の3重苦、4重苦の未曾有の国難に襲われている
それなのに政治の現状は日々、メディアを通して皆さんご存じの通り。亡国の惨状である、国に日本の行くべき道を示す国家戦略は全くなし、政治家に人なし政治力なし、外交力は昔からなし明治、大正に少なからずいた危機にあらわれる行動派知識人なし、無能なマスゴミ、メディアなし、低俗テレビは一切見る時間の無駄、政治に無関心な羊のようなおとなしい、悲しき日本人ばかり・・>
 
前坂俊之(ジャーナリスト)
  
ここでは日清戦争の勝利の後に、ロシア、フランス、ドイツが組んで、勝利の獲物を手放さないと戦争をするぞと最後通牒をつきつけた「三国干渉」を学ぶ。これは日清戦争に勝利したと油断した、日本は絶体絶命の危機に陥った。突きつけられた3国からのピストルに即、ホールドアップして、屈服したのである。
当時の帝国主義全盛の国際軍事競争の中での、下位の新興国日本の大国中国に勝ったという慢心の鼻を容赦なくへし折った。英国公使・林董は日本外交の失敗を批判し、これを教訓にして日英同盟の締結にまい進し、実現する。日本外交の最大の功績・日英同盟の推進者である。政治家、外交官、国民必読の論説である。
 
 
「三国干渉」に対する林 董の論説
『日本は外交の大方針を定むべし』〔明治28年5月28日時事新報〕
 
 外交の術はすなわち談判の術なりとは、もっぱらその運用に就いて説き明かしたる言葉にして、外交術なるものの結局の目的に至りては、ただ自国の利益を謀るの一事に外ならず。そもそも国の利益に二種の別あり、1は貿易の利を収得すること、また1つは国勢を伸暢することなり。
 
しこうして、貿易上の利害のごときは、これに従事する商人輩が自らから抜け目なく注意して、決して等閑に附することなければ、この事に付き外交術に借る所は、わずかに通商条約締結の手加減位に過ぎざれども、もしそれ国勢を伸暢するの一事に至りては、最も外交家の苦辛経営を煩わす所にして、外交の術は要するにこの一事に在りて存すと云うも過言にあらざるべし
 
けだし国土いかに大なりといえども、兵力いかに強しといえども、孤立して国列連合の衝に当り、なおよく久しさを保つの国はあるべからず。故に大国の間に列して国勢の伸暢を謀る者は、まず第一に意気相投じ、利害相共にすべき所の者を選んでこれに交わり、以って敵とする所の者を孤立せしむをことを勉めざるべからず。
 
支那戦国時代の合従連合の策、もしくは我が元亀、天正時代に行われたる藩侯の味方積りなるものは、すなわちその実例でいずれも利を共にする所の者と相結んで、害となる者を制御するを以って目的となすものなり。
 
安政以来、我が国は弘く外国と交通を開くといえども、その締結したる条約はいわゆる偏務的の条約にして、我が貿易を利するがために計画したるものにあらず。また連合同盟の策のごときにいたりては、頓とこれに心を傾けたることなく、列国を見ると平等一様、
あたかも賓客のごとくにこれを待遇し、一国に親交して他国を制するなどの政略は、未だかつて実際に施したることなし。
 
されば甲国の公使がたまたま有為の人物なるときは、多く甲国の文物を採用し、乙国に留学したる書生が帰朝して要路に立つときは乙国の学説、風俗にわかに奨励を受けで世に流行する等、

百般の取捨去就、すべて一時の感情よれ生じて、従って朝野ともに各自その好悪の情を基として親疎の区別を立つるが故に、親交決し親交ならず、疎外必ずしも疎外ならず、その親疎は国の親疎にあらずして、むしろ人の親疎と云う可なり。右のごとき次第にして、

英と云い、独と云い、仏と云い、米と云う、その学問の行わるること、その機械の輪入せらるること、皆一時の流行に止まり、決して国の利害に基づいて計定したる不抜の根拠ありて、以って親疎を分かつにあらざれば、我が日本は開国以来、未だかつて真の外交なるものの経験なしいうも不可なさがごとし。(注・福澤先生の見識のすごさは、ここにあり。日米同盟、日中外交の根本にもこの短慮がある)
 
しかるに昨年初夏、干戈(かんか=戦争)を朝鮮に動かしてより以来、事態にわかに一変し、わが国もまたいよいよ外交の政策を講ぜざるを得ざるの位置に臨めり。将来国運の消長は全くこの一事に係ることなれば、当局者は宜しく深く察して以って計画する所なかるべからず。
 
 それ東洋に国を立つるもの、曰(いわ)くトルコ、曰くペルシャ(イラン)、いずれも我を距ること遼遠にして、いわゆる風馬牛相及ばざるものなり。曰く支那、曰くシャム(タイ)、曰く朝鮮、このの三国のごときは、近く我に隣りすといえども、勢い微かに力弱く、共に攻防同盟の事を誇るに足らず。
 
ただ欧洲列国の中、露、仏、英の三国は、その境土、一衣帯水を隔てて我と相接し、常に東洋に数十の戦艦を備えて、以って彼此奇角の勢いをなすを以って、我もし今後の策を講ぜんと欲せば、この三国の中に紡いで親交する所を選ばざるべからず。しかりしこうして、かの列国また各々その利害を異にするが故に、予めこれを察知すること最も肝要なりとす。
 
たとい彼等は東洋に於いて、いかに日本の親交を利とすると云うも、欧洲に於ける列国間の関係またこれよりも更に切なるものあるときは、むしろ東洋に於いて日本を敵とするの不利益あるも、これを忍んで以って欧洲同盟の利益を収めんとすることなきにあらず。
 
例えばこの頃のごとき、ドイツhは東洋に於いて敢えて大利害を感ずるの国柄にあらざるにも拘わらず、自ら進んでかの「友誼的忠告」主動者、発頭人たりしにあらずや。また仏国は平素常に我に対して交誼を救うしたるにも拘わらず、なお忠告同盟の一国たり。
 
けだし彼等は必ずしも日本を仇とするの心あるにあらざれども、右の自己の利とする所、さらに大なるものあるよりしてついにやぬを得ずかかる挙動に出でたるものと知るべし。すなわち彼、我を愛せざるにあらず、ただ彼、自から己れを愛すること、我を愛するよりも要に切なればなり。
昔、蘇子斉の王に説いて曰く「諸侯の故に明にし、地形の理を察する者は、約せずして親しみ、相質(ち)せずして固く、はしらずして疾し。事を衆(おおく)して反せず、こもこも割して相憎まず、ともに強くしてますますもって親し。なんとなれば形、憂を同うして、兵、利に趨ればなり」と。
 
さきに英国の首相ソールベリイ侯は、同盟の事を釈して、「同盟の条約は一片の故紙に過ぎず。利害を共にする者の相提携するこそ、天然真乎の同盟なり」と云えり。同盟の極意をとく者、古今東西符節を合すがごとし。されば今日欧州列国の中より我が同盟たるべきものを選ばんと欲せばまず彼、列国相互の関係、内情を観察することはなはだ肝要なるは、多言をまたずして明らかなり。

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