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池田龍夫のマスコミ時評(87)◎『汚染水の海洋流出の難題解決を急げ(7/26)』 ●「核兵器、軍事的には無用」とパウエル発言(7/22)

      2015/01/01

   池田龍夫のマスコミ時評(87)

 

◎『汚染水の海洋流出の難題解決を急げ(/26)

 ●「核兵器、軍事的には無用」―パウエル

元米国務長官が重要発言7/22

 

ジャーナリスト 池田龍夫

 

『汚染水の海洋流出の難題解決を急げ(/26)

  

 福島第1原発事故から3度目の夏。暑苦しい防護服を着ての屋外作業を昼間に行うことは、とても出来ない。
このため、夜間から午前の涼しい時間帯で作業を進めているという。しかし高濃度放射性物質に阻まれて、
作業は難航。汚染水の海洋流出が、当初から心配されていた。

        隠蔽体質の東電、やっと流出を認める

 東京電力は722日、「井戸の地下水位と海の潮位データとの関係を分析した結果、地下水の汚染物質が海へ流出していた」と初めて公表した。原子力規制委員会には18日に報告したというが、東電の対応の甘さだけでなく、隠蔽体質は相変わらずで、情報公開が遅れるとはとんでもない話である。原発事故直後、各国から汚染水の海洋流出を怖れる声が寄せられていたのに、2年以上経過した時点での公表は余りにも遅すぎる。国際的信用を失墜させた責任は極めて重大だ。

 

        廃炉に向けた最重要課題

  毎日新聞724日付社説は、「福島第1原発では、汚染水が毎日100㌧ずつ増え続けている。地下水の海に放出する計画は地元漁協の理解を得られていない。地中の土を凍らせて壁を作り流入を防ぐ『凍土流水壁』(地下ダム)の完成は15年度の見通しだ。政府は廃炉の工程表作りに関わっているが、汚染水対策は廃炉に向けた当面の最重要課題。地元への説明や予算措置を含めて政府がもう一歩前に出て、でき得る限りの対策が求められている」と警告している。

 日経も24日付社説で、「汚染水の発生を減らす抜本策を講じないと、増え続ける汚染水のせいで福島原発の収束作業が滞る事態が予想される。東電の汚染水対策は破綻にひんしていると政府は認識すべきだ。もはや東電だけでは手に負えなくなりつつある。政府が一歩前へ出て世界の知恵を集め、長期的な展望にたった対策を考えて実行に移していく必要がある。汚染水流出によって、海産物の風評被害の再燃が懸念される。福島県外の市場でも、水揚げした水産物の放射能を調べて消費者の信頼回復に取り組んできた。新たな汚染水流出は水産業の復興をめざす関係者の努力を台無しにしかねない。海の汚染状況の把握に政府と東電はもっと力を入れ、風評の払拭にも努めるべきだ」と指摘していた。

           鬼気迫る〝潜入ルポ〟に戦慄

  また日経は20日付朝刊で、1~2面にわたって〝潜入ルポ〟を展開。「冷却水タンク限界に迫る」と報じていた。「炉心は今も高熱を発し、安定した冷却は円滑な廃炉作業に欠かせないが、循環させる冷却水に1日で400㌧の地下水が流れ込む。冷却水は海に流す処理方法が定まらないまま増加を続け、現在30万㌧。35万㌧現状の容量は目前だ。80万㌧までの増設計画がある半面、自転車操業が避けられない」との報告に戦慄を覚えた。当事者能力のない東電、積極的対応を示さない政府――新たな危機にどう対処すべきか、衆知を集めなければならない。7/22

 

 「核兵器、軍事的には無用」パウエル元米国務長官が重要発言(7/22

 

 

「原爆忌」まであと半月、核兵器の抑止力が未だに罷り通っている現実に、苛立ちが募っている。そんな折、「広島・長崎を思い出せ。核兵器は極めてむごい兵器のため使えず、軍事的には無用な存在だ」と語った、元米国務長官の正論に感銘ひとしおだ。

朝日新聞710日付朝刊が報じたインタビュー記事で、取材に応じたのはコリン・パウエル氏(76歳)。1991年の湾岸戦争では統合参謀本部議長としてクゥエート奪還作戦を指揮。200105年には国務長官の要職を務めた。イラクへの単独攻撃に慎重派だったが、最終的にはブッシュ大統領の意向に応じたことを「自らの汚点」と恥じている。

 

        インド、パキスタン関係の悪化を修復

「核兵器は無用の長物」と強調し、2002年には核武装したインドとパキスタンとの関係悪化の仲裁に乗り出し、広島・長崎の悲惨な写真を何度も示して、「対立緩和」に導いた秘話も語っている。「まともなリーダーならば、核兵器を使用するという最後の一線を踏み越えようとは決して思わない。使わないのであれば、基本的には無用だ」と断言したのは、今なお対北朝鮮、対イランとの緊張関係に警鐘を鳴らす発言である。

前日の記事を受け、711日付朝刊オピニオン面に詳報を展開した朝日新聞の問題意識を高く評価したい。パウエル氏の率直な考えを引き出した記者の質問もよかったと思う。感銘した発言を紹介しておきたい。

 

        日本に非核化政策の堅持を求める

 

「我々は多くの国を説得してきた。たとえばリビアは説得された。(ブラジルやアルゼンチンのように)自ら納得して核開発を止めた国もある。彼らは『経済を立て直したほうがいい』と考えたのだ」…「日本の核武装は、理にかなった行動ではない。日本は過去60年で、原爆や戦争による破滅状態から、素晴らしい経済や生活水準を手に入れ、最も成功した国の一つとなった。日本が核兵器や開発計画を持たず、持つという意味もないことを再確認することだ。日本がその立場から離れれば、非核化の進展は難しくなってしまう」など含蓄に富む警告ではないか。日本が核兵器を持つことがいかに有害かを説く姿が印象的だ。

安倍晋三内閣の原子力政策は後向きで、米国の核抑止力に頼り過ぎではないか。日米同盟の相手国・オバマ政権は、非核化政策への転換に切り替えており、その点でもパウエル発言の意味は大きい。

自民党、日本維新の会の一部から〝核武装論〟が出てきた現実を放置することはできない。国民も非核化、護憲の日本構築に努力すべきである。

 

(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。

 

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