前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(107) ◎『気がかりな「アベノミクス」の景気動向(2 / 7)』

   

  

 池田龍夫のマスコミ時評(107)

 

◎『気がかりな「アベノミクス」の動向(2 / 7

 

    池田龍夫(ジャーナリスト) 

 

 為替変動、金利操作などが複雑に絡む景気動向の判断は極めて難しい。エコノミストの見方もまちまちで、素人は戸惑うばかりだ。

 

黒田東彦日銀総裁の金融緩和政策に注目

 

安倍晋三首相は昨年3月、アジア開発銀行総裁の黒田東彦氏を日銀総裁に起用した。アベノミクス推進のためと観測されている。日銀には総裁と2人の副総裁のほか政策委員が6人いる。

 

        政策委員の一人が、先行きを懸念

 

日経新聞21日付朝刊に掲載された「日銀政策委員インタビュー」は興味深かった。日銀の木内登英委員がインタビューに応え、消費税率引き上げを控え市場でくすぶる追加緩和について「経済や物価が多少下振れする程度では、追加策による副作用が効果を上回る」と慎重な姿勢を示した。

 

また昨年4月に導入した量的・質的金融緩和は、2015年春をメドに「緩和継続や縮小の是非を慎重に判断すべきだ」と語った。

 

木内委員の提案は日銀内では少数意見のようだが、黒田総裁ら中心メンバーも追加緩和はひとまず不要との認識を示しつつも、2年過ぎても物価上昇率が2%で安定するのに必要な時点まで緩和を続けたい考えという。

 

        米国の経済政策が世界に影響

 

真壁昭夫信州大教授は講談社の電子書籍「現代ビジネス」(1月23日号)で、「黒田総裁が追加緩和策は不要と言い切った背景には、追加策というカードを温存しておきたいとの意図がありそうだ。

 

4月に消費税率が引き上げられて、景気が大きく落ち込むようなケースで、そのカードを切らざるを得ないとの読みも考えられる。あるいは、中国や欧州などの海外経済のリスク要因が顕在化して、金融市場全体がリスクオフに傾き、円高が進むときにも、日銀は追加緩和策を求められることは明らかだ。

 

その時、日銀は追加緩和策を切り札として使うことができる。もう一つ気になるのは、米国のルー財務長官が、円安傾向の進展に懸念を表明したことがある。米国が、円安・ドル高を真剣に懸念する段階ではないと見られるものの、財務長官とすれば、ドル高のスピード調整をしておきたいと考えていることだろう」と分析している。

 

       消費税アップ後の庶民の生活は?……

 

米国のサジ加減が、世界の経済に大きな影響を与えていることは、まぎれもない事実。この変化をどう読み取るか、金融当局にとって難しい局面が当分続きそうだ。今のところ円安誘導の効果もあって株価上昇など景気は上向きだ

 

4月からの消費税3%アップ前の駆け込み需要がかなり認められる。しかし、各企業・商店は4月からの対応に腐心している。特に庶民の生活がどうなるか先行きが心配だ。政府の適切なカジ取りが望まれる。

 

(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。

 

 

 

 - 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

Z世代のための明治のベンチャー企業家』★『わが国電気事業の先駆者・大沢善助の波乱万丈人生』

ホーム >  人物研究 > &nbsp …

no image
速報(197)『日本のメルトダウン』 ●『2012年、世界経済に垂れ込める暗雲』●『1930年代の教訓:行く手に潜む落とし穴』

速報(197)『日本のメルトダウン』   ●『2012年、世界経済に垂 …

no image
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』⑳朝鮮のなぞ-ロシアの進出で、日中と紛争の可能性」

    『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』 日 …

no image
日本メルトダウン脱出法(838)「アベノミクス、行き詰まりへの道」●「世にも奇妙な日本国債のマイナス利回り」●「 シャープ再建は、もう手遅れ 失われた4年間の愚策」●「日銀が恐れるマイナス金利後のリスクシナリオ」●「慰安婦報道で露呈した朝日新聞の「体質」」

  日本メルトダウン脱出法(838)   アベノミクス、行き詰まりへの …

no image
『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』-『新型コロナと世界の沈没―コロナ共存社会は数十年続く可能がある⓷』(8月15日)★『「大国の興亡」の歴史、覇権国の行方は?』★『時代は、時代に後れる者を罰する』★『『3ヵ月をきった米大統領選挙の行方は?』

 『新型コロナと世界の沈没―コロナ共存社会は数十年続く可能がある⓷』( …

no image
『ガラパゴス国家・日本敗戦史』㉙『来年は太平洋戦争敗戦70年目<アジア・太平洋戦争での全体の犠牲者も 十分調査されていない

·      &nb …

no image
速報(331) 『日本のメルトダウン』原発事故・東電のテレビ会議の情報公開拒否に見る『民主主義落第国家』日本の惨状―

速報(331) 『日本のメルトダウン』 福島原発事故・東電のテレビ会議の情報公開 …

『わが黄金の湘南海山ぶらぶら日記回想録』★『湘南の海に夏が来たよ!。2023年7月2日午前9時、海開きとなった鎌倉海水浴場から稲村ケ崎、七里が浜海岸は、久しぶりの夏空にサーフィンを楽しんでいる「サカナ」多い。左に江ノ島、まっすぐ伸びた七里ヶ浜。幸福指数が一挙に上がった!』

国道134号線は湘南海辺の最高のドライブロードだ。 逗子なぎさ橋珈琲店」に七時の …

no image
<裁判員研修ノート②>全告白『八海事件の真相(中)』<昭和戦後最大の死刑冤罪事件はこうして生まれた>②

全告白『八海事件の真相』(中)   <死刑冤罪事件はこうして生まれた> …

「オンライン・日本史決定的瞬間講座⑨」★「日本史最大の国難・太平洋戦争敗戦からGHQ「日本占領」と「単独講和」を乗り越えて戦後日本の基礎を築いた吉田茂首相の<国難逆転突破力>④』★『76歳でこんどこそ悠々自適の生活へ』★『1963年(昭和38)10月、85歳となった吉田は政界から完全に引退したのです』★『最後までユーモア精神を忘れず』★『享年八十九歳。戦後初の国葬で送られた』』

  こんどこそ悠々自適の生活へ 1954年(昭和29)12月、「造船疑 …