前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『2014世界各国―最新ミステリー、サプライズニュース①』中国の2大ミステリー「①万里の長城」 「②中国の覇権」

   

2014世界各国―最新ミステリー、サプライズ、面白ニュース①』

 

 

中国の2大ミステリー?「①万里の長城の謎」

「②中国の覇権は短い」ということ

 

前坂 俊之

(静岡県立大学国際関係学名誉教授)

 

★中国の謎―中国の「万里の長城」は中国人が「中華思想」を信奉し
<攻撃民族ではなく守成民族>である歴史的な証拠物件である

 

 

人口も国土面積も歴史も世界トップクラスの巨大・中国のシンボル的な存在が「万里の長城」である。

 

中国の国土は日本の二六倍、東西に長く雄鶏の形をしているが、長城は周辺の外敵から守るために築かれた長大な城壁。現存する長城は明時代(13681644

後半に築造されたもので、西は玉門関から標高数千mの山脈の稜線を延々と続きシルクロードの河西回廊を走り、黄河を渡り、東は渤海湾に臨む山海関で海に消える総延長2700kmにものぼる人類史上最大の建造物である。

 

世界の他にも古代ローマの長城や英国スコットランドにも長城は残っているが、これほどのものはない。

長城の構造はレンガ造りで,内部は粘土で固め、高さ約9m,幅は上部で約45m,底部で9m、壁には銃眼を設け,約100mごとに見張城が置かれているものが多い。

 

なぜ、こんな巨大な万里の長城を築いたのか。それは中国の悠久の歴史、過去二千数百年にわたって、北方騎馬民族、遊牧民族、匈奴、騎馬軍団らの外敵から執拗に波状攻撃、襲撃、略奪を繰り返されてきたためである。司馬遼太郎は外敵の攻撃を「遊牧民族が放牧地とした草原に鍬を入れ、沙漠化を進めた漢民族への報復のため」という。

 

長城の起源は春秋戦国時代にさかのぼり、当時は北方遊牧民に限定せず、中原の地に建国した漢民族の国々も、長城を築いて外敵の侵入に備えた。BC221年,中国を統一した秦の始皇帝がこれらの北辺の長城を連結し.西方へと延長して北方遊牧民族に対する防衛線とした。その後、歴代王朝は築城を延長し、補修、修復しながら現在まで残ったという。

 

この長城建設に中国人の民族的特性である①巨大なもの好き②息の長さ③攻撃よりも防御④中華思想(中国が世界の中心で、進んだ文化であり、周辺民族は野蛮とする思想)が現れている。

 

 

2020年代の中国経済覇権の時代は短命に終わる!?

 

「米国国家情報会議」(NIC)の「2030年の世界トレンド予測」によると、

GDP」「人口」「軍事費」「技術投資」の4点から試算した国力比較では、2030年までに「アジア地域」は「北米+欧州地域」より大きくなる見通しで、中国とインドがスーパーパワーとして台頭する。

 

2020年代中には中国は米国を抜き世界第l位の経済大国になる。欧州、日本、ロシアの経済力は弱体化、2030年には中国GDPは日本のGDP140パーセント上回ると予測する。

 

 ただし、「世界一の経済大国」中国の地位は意外にも短命となる。2030年の時点では、中国がインドを上回っているが、インドの成長率が中国を凌駕するため2030年代はインドが「世界景気の牽引役」となり、中国経済の発展は「過去の栄光」となる。

 

その原因は労働人口(人口ボーナスと言われる生産年齢人口)と老齢化のスピードにあり中国の労働人口のピークは2016年(99400万人)を頂点に減少に転ずるが、インドの労働人口のピークは2050年ごろになる見通し。

 

急速な高齢化が進む中国では2015年には、65歳歳以上の高齢者人口は2億人を突破し、全人口の17%に達すると見られている。これは「一人っ子政策」の失敗によるものだが、中国の専門家はこの状況を「末富先老」(豊かに前に老いる)と呼び、警鐘を鳴らしてきたが、「中国の覇権は短い」との見方が増えてきている。

 

19世紀のイギリス、20世紀のアメリカのように一国で国際社会をリードする「ヘゲモニー=覇権国」「世界帝国」はなくなり、世界のあらゆる地域で覇権国の交代が起こる。

 

今後は米国の衰退と中国の覇権も短期に終わり、世界は多様性の中での多国間協力・共存・緊張体制に移行し国家ではない団体やネットワークが国際社会での発言力を増すと分析している。

 - 現代史研究 , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『Z世代のための百歳学入門(187)』★『「長崎の平和祈念像」を創った彫刻家・北村西望(102歳)の創造の秘訣』★『日々継続、毎日毎日積み重ね,創造し続けていくと、カタツムリの目に見えないゆっくりした動きでも、1年、2年、10年、50年で膨大なものができていくのだ。』

  2019/10/29  『リーダーシップの日本 …

no image
日本メルトダウン脱出法(880)『日本の地層に何が起きているのか、立石雅昭氏(新潟大学名誉教授)』●『日本が生き残るための処方箋 月尾嘉男氏(東京大学名誉教授)』●『大震災でも変われない日本が存続するための処方箋 橋爪大三郎氏(東京工業大学名誉教授)』●『ブログ:原発事故から30年、チェルノブイリは今』

 日本メルトダウン脱出法(880) 日本の地層に何が起きているのか 立石雅昭氏( …

『Z世代のための歴代宰相の研究③』★『日露戦争を勝利した世界史上空前の宰相・桂太郎の国難突破力③』―「その後,『日英同盟』の破棄と「日独・日中同盟」を孫文と提携した秘密会談の内容』★『孫文の秘書通訳・戴李陶が『日本論』で発表(1928年)した』

  2022/11/29/ 日本リーダーパワー史(1232)記事再録 …

no image
日本の最先端技術「見える化」チャンネル/『文字から音声認識の時代へ』★『AI・人工知能EXPO2019(4/5)』-TISの「業務用スマートスピーカーによる音声文字起こし、スマホで会議録、報告書がサクサクできる』

日本の最先端技術「見える化」チャンネル AI・人工知能EXPO2019(4/5) …

『Z世代のための日中韓外交史講座』⑳」★『150年前の「岩倉遣米欧使節団」の国家戦略と叡智に学べ』★『『1872年―岩倉遣米欧使節団がロンドンに到着』(英タイムズ1872年8月20日付)』

2012/09/22  日本リーダーパワー史(322)記事再編集 前坂 …

『オンライン/「百歳・生き方・死に方・臨終学入門(117)『 斎藤緑雨、司馬江漢、正岡子規、高村光太郎の死に方』

    2015/08/28 &nbsp …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(155)』『とうとうホンハイの傘下入り。世界市場の有為転変に眼を瞑り、過去の成功体験に浸り続けると地獄が待っているという典型です』●『英紙が報じた「アベノミクスの末期症状」ステルス増税が日本にとどめを刺す』

  『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(155)』  焦点:シャ …

no image
大阪地検特捜部の証拠改ざん事件を読み解くために③死刑・冤罪・誤判事件の続発ー30年変わらない日本の体質①

大阪地検特捜部の証拠改ざん事件を読み解くために③   裁判官・検事・弁 …

「Z世代のためのウクライナ戦争講座」★「ウクライナ戦争は120年前の日露戦争と全く同じというニュース⑧」『開戦1ゕ月前の「独フランクフルター・ツワイトゥング」の報道』ー「ドイツの日露戦争の見方』★『『ヨーロッパ列強のダブルスタンダードー自国のアジアでの利権(植民地の権益)に関係なければ、他国の戦争には関与せず』★『フランスは80年代の中東に,中国に対する軍事行動を公式の宣戦布告なしで行ったし,ヨーロッパのすべての列強は,3年前,中国の首都北京を占領したとき(北支事変)に,一緒に同じことをしてきた』』

2017/01/09  / 『日本戦争外交史の研究』記事再録 …

no image
記事再録/歴代最高の経済人とは誰か②ー『欲望資本主義を超克し、21世紀の公益経済学を先取りしたメッセの巨人』~大原孫三郎の生涯①ー『単に金もうけだけの経済人はゴマンとおり、少しも偉くない。本当に偉いのは儲けた金をいかに遣ったかである。儲けた金のすべてを社会に還元するといって数百億円以上を社会貢献に使いきったクラレ創業者・大原孫三郎こそ日本一の企業家

歴代最高の経済人は誰か②ー『大原孫三郎の生涯①   2019 …