「Z世代のための日本リーダーパワー史研究』★『幕末、明治維新から約170年、日本を近代国家に発展させる基礎を築いたのは誰か?』★『勝海舟(76歳)であり、その大国難(徳川滅亡→明治維新を平和裏に遂行)突破力を学ぶ』『政治家の秘訣は正心誠意、何事でもすべて知行合一』★『すべて金が土台じゃ、借金をするな、こしらえるな』★『1千兆円(2012の時点)を越える債務をふくらませた政治を一喝、直ぐ取り組めと厳命)
2024/10/25
2012/12/04 /日本リーダーパワー史(350)記事再録
「国家興亡史の第一条ーー兵を起こすはやすく、兵を引くのは難しい。国も借金するのは簡単だが、返済するのは難しい。」
① 『政治家の秘訣は正心誠意、何事でもすべて知行合』(今の政治家にはもっとこの精神が必要。何事も正直に実行あるのみ)
② 『すべて金が土台じゃ、借金をするな、こしらえるな』(これこそ今の1千兆円を越える債務をふくらませた政治を一喝、直ぐ取り組めという厳命)
③ 『借金、外債で国がつぶれて植民地にされる』(政府の現在の1千兆円の借金が命取りになる。いかに国内で95%持っているから大丈夫という政府のウソにだまされるな、と勝先生の体験を基にした歴史的な遺言である)
④『昔の英雄、明君は経済に苦心し成功した』(現在の国債を発行して国民の金を使いうだけで、経済自立再建策を1つも実行できない政治家は全員落第)
⑤ 『他人の本を読んだだけの学者、専門家の審議会はダメ』(おれは学者が役に立たないということを、維新前からよくよく実験したヨ。学者の学問は、容易だけれども、おれらがやる無学の学間は、実にむつかしい(陽明学、知行合一)
前坂 俊之(ジャーナリスト)
以下は「氷川清話」(明治35年版)の現代訳です。
① 政治家の秘訣は正心誠意、何事でもすべて知行合一(今の政治家にはもっとこの精神が必
要。何事も正直に実行あるのみ)
政治家の秘訣は、ほかに何もない。ただただ正心誠意の四字ばかりだ。この四字に拠りてやりさへすれば、たとえいかなる人民でも、これに心服しないものはない筈だ。また、たとへいかなる無法の国でも、ゆえなく乱暴する国はない筈だ。ところで見なさい、今の政治家は、僅か四千万や、五千万足らずの人心を収撹することの出来ないのは勿論、いつも列国のために恥辱を受けて、独立国の体面をさへ全うすることが出来ないとは、いかにも歯がいではないか。 つまり彼らは、この政治家の秘訣を知らないからだ。よし知って居ても行はないのだから、やはり知らないのも同じことだ。何事でもすべて知行合一でなければいけないよ。
② すべて金が土台じゃ、借金をするな、こしらえるな(これこそ今の1千兆円を
越える債務をふくらませた政治を一喝、直ぐ取り組めという厳命)
越える債務をふくらませた政治を一喝、直ぐ取り組めという厳命)
いかに民を治める術を呑み込んでいても、今も昔も人間万事金といふものがその土台であるから、もしこれが無かった日には、いかなる大政治家が出ても、到底その手腕を発揮すことは出来ない。
見なさい、いかに仲のよい夫婦でも、金が無くなって、家政が左前になると、犬も喰はない喧嘩をやるではないか。国家の事だって、それに異ることは無い。財政が困難になると、議論ばかりやかましくなって、何の仕事も出来ない。そこへ付け込んで、種々の魔がさすものだ。
③外債は絶対によくない(国債発行は命取りになる。いかに国内で95%持っているから大丈夫というウソにだまされるな、という勝先生の絶対反対の遺言である。
ところでおれもこの財政の事では、これまで心配したの、しないの、といふ段ではないよ。まーお聴き。幕府の末年は、何のことはない、まるで今の朝鮮さ。金はない、カは弱い、そして人心は離反して居る、その際を見込んで外国の奴らが付け込んで来るといふ風で、なかにもオロシャ(ロシア)は、前々から銭を貸そう!貸そうといって、おれが局に立った時にも、箱館に居た公使が、実にうるさく言って来た。
もっともこの時おれが局に立って居たのも、決して自分から進んでやったのではない。幕府の内輪は傾いて来る。官軍は攻めて来る。さあその用意をしなければならないと言って、みなが箱根あたりまで詰めかけていくと、官軍がもはや眼の前まで来て居たといふ騒ぎで、上も下も狼狽してしまった。
そんな間際であるから、誰も好んで局に当る人はない。そこで止むなくおれが出ると、例のオロシャなどが、一時の間に合せのために、是非金を貸そうから、それで存分戦争をして内国の始末をお付けなさい、その間は、われわれも黙って、箱館で見て居ませうといって、しきりに迫って来る。
おれも その時、戦争はしたし、金はないし、力は弱いし、実に途方に暮れてしまって、
よりは、むしろ打死でもする方がいくら易いか知れないと思ったくらいであったけれど、しかしながら、一時凌ぎに外国から金を借りるといふことは、たとへ死んでもやるまいと決心した。
といふものは、まあ嫌なのと、不面目なのとは、耐へるにしたところで、借金のために、抵当を外国人に取られるのが、実に堪らない。よしまたそれをも耐へるとしたところで、借金を返す見込がないから仕方がない。これが一家や、一個人のことなら、どうなってもたいしたことはないが、なにしろ一国のことだから、もし一歩誤れば、何千万人といふものが、子々孫々までも大変なことになってしまうのだ。
それでおれが局に立って居る間は、手の届く限りはどこまでも借金政略(外債)を拒み通した。
しかし、その後、徳川慶喜(最後の将軍)様の時になっては、とうとう幕府も往生して、はるばる仏蘭西(フランス)まで金借りに行くことになった。使者は、あの向山黄村で、随行員は、田辺などの連中であった。
ところがかへって仏蘭西(フランス)自身が彼のやうな革命騒ぎになったものだから、他国へ金を貸すどころの話でない。そこで、向山らは仕方が無いから、和蘭(オランダ)まで回っては来たが、さてそれから日本へ帰る旅費がない。それは最初、向山らは、仏蘭西へ着きさへすれば、金は確かに借れるものと、あまり大丈夫に当て込んだから、行く時に帰国の旅費を持たなかったのだ。しかし、まあ、やっとのことで、和蘭で旅費だけを工面して、ようやく帰った。
そこで、ご覧よ。朝鮮(韓国)でも支那(中国)でもいま、ちょうど日本の幕末の通りで、貧乏で弱り切って金を外国からから借りるといふ段になったのだが、さあこれからがほんとうに禍(わざわいー金の担保に植民地にされてしまった)が襲って来るのだ。
④ 昔の英雄、明君は経済に苦心し成功した―(現在の国債を発行して国民の金を
使うだけで、経済自立再建策を1つも実行できない政治家は全員失格)
天下の富をもってして、天下の経済に困るといふ理窟は無い筈だ。
古の英雄は、みな経済のために苦心したヨ。織田信長は、経済上の着眼が周密であったから、六雄八将に頭となり得たのサ。
武田信玄も甲州の砂金をひそかに掘り出して、いろいろな経済制度を立てた。また南朝の正統も、北朝の細川頼之の経済のために倒れた。あの芭蕉のごときも、非常の経済家だったヨ。近江商人は、みな芭蕉の遺法に則ってやるのサ。
一番感心するのは北条氏の政治だ。元冠が三年続いても、軍事公債は募らず、総理大臣白から奔走することはなく、九州の探題に防禦させておいて、それで綽々として余裕があるのだからノー。
承久の乱の時には、北条泰時が単騎、西に馳せ向へば、行くこと三日で十万騎が集まったとは、当時の兵姑や募兵の事は、羨ましいほど整って居たらしい。これは平生経済の事に注意して居たからの事サ。陪臣であって九代も続き、しかも国富み、民服したのは、もっともの次第だ。北条氏の栄えたのは、つまり倹(倹約)のためで、その亡びたのは、驕り(ぜいたく)のためだヨ。
北条氏の仏法に帰依したのを見て、単に禅に凝ったと思ふのは問違ひだヨ。これもその大目的は経済のためサ。当時宋が亡んで、元が起るときだったから、北条氏は宋の明僧智詩を多く招いて五山を開き、盛んに仏法を信じた。そこでかの無学禅師を初めとして、末の人民が引き里きらず、続々と日本へやって来るにつれて、銭の輸入は実に驚くほどであった。この事は、宋元通寶の我国に存することが現におびたゞしいのを見ても分る。つまり仏教を信じたのも、経済に利用するためサ。
しかし、利用といっても、真正の信仰がなくては、宗教の利用は出来ないヨ。
北条氏の憂うるところは、ただただ天下の子民といふことばかりだった。それゆえに、栂尾の明慧が、あるとき、泰時に向つて、北条氏が帝室に対する処行につきて告した際にも泰時hs、いかにも恐れ多いことだけれども、民百姓のことを思ふと、止むなく、かくせざるを得ないと、先父も常々申されたと答へたさうだ。その決心は、実に敬服べしだ。おれも幕末の時に、果して北条氏の決心にならいえるか得ないかと、白から省みて考へたら、とても自分はできなかった。
⑤北条氏は、この通り善良なる政治家であったけれども、いづれ無学文盲で、後醍醐天皇の勅文をさへ読むことが出来なかった。しかし、実際の手腕は、あの通りサ。おれは学者が役に立たないということを、維新前からよくよく実験したヨ。学者の学問は、容易だけれども、おれらがやる無学の学間は、実にむつかしい。
関連記事
-
-
『インテリジェンス人物史』(13)記事再録/『真珠湾攻撃から70年―『山本五十六のリーダーシップ』ー 最もよく知る最後の海軍大将・井上成美が語るー
リーダーパワー史(869) 2011/09/27執筆<日本リーダーパワー史(19 …
-
-
『Z世代のための日中韓三国志の<福沢諭吉の脱亜論>の研究講座②』★『 福沢諭吉はなぜ「日清朝の提携」から「脱亜論」に180度転換したのか②』
2019/08/09日本リーダーパワー史(765)記事再録 今回の …
-
-
速報(72)『日本のメルトダウン』★原発最新情報10本★『ウランいらず「トリウム原発」の可能性』ほか
速報(72)『日本のメルトダウン』 ★原発最新情報10本★『ウラン …
-
-
『Z世代のための日本最初の民主主義者・中江兆民講座③』★『中江兆民(53)の死に方の美学』★『医者から悪性の食道ガンと宣告され「余命一年半・・」と告げられた』★『兆民いわく、一年半、諸君は短促なりといわん。余は極めて悠久なりという。 もし短といわんと欲せば、十年も短なり、五十年も短なり。百年も短なり。 それ生時限りありて、死後限り無し」(『1年半有』)』
2023/11/22 『Z世代のための死生学入門』記事再 …
-
-
世界/日本リーダーパワー史(912)-『米朝首脳会談(6/12日,シンガポール予定)はどうなる ー実現か、延期か、ギリギリの交渉が続く』★『米大統領、北朝鮮非核化の早期合意に懐疑的 金氏書簡は1日受け取り』
世界/日本リーダーパワー史(912) 12日に米朝首脳会談=予定通り開催、トラン …
-
-
速報(381)『日本のメルトダウン』『安倍財政で日本は年内にも破綻、「ガラガラポン」藤巻氏』◎『アジア諸国で高まる反中国感情』
速報(381)『日本のメルトダウン』 ◎『安倍財政で日本は年内にも …
-
-
速報(170)『日本のメルトダウン』☆『政官財の楽観的ムードが一番怖い、危機は50年続く―田坂広志前内閣官房参与の会見』
速報(170)『日本のメルトダウン』 ☆『政官財の楽観的ムードが一 …
-
-
『Z世代のための旧統一教会復習講座』★『日本の冬の陣―安倍国葬と旧統一教会』★『●「旧統一教会」は「カルトビジネス(悪徳商法)」「コングロマリッド」(総資産約8千億円)』(22年11月15日までの情報です)
2022/12/03 の記事再録 日本の冬 …
-
-
『オンライン/昭和史研究』『昭和天皇による「敗戦の原因分析」①★『敗戦の結果とはいえ、わが憲法改正もできた今日において考え て見れば、国民にとって勝利の結果、極端なる軍国主義 となるよりもかえって幸福ではないだろうか。』
2015/07/01   …
-
-
『全米を熱狂させたファースト・サムライのトミー(立石斧次郎)』――
1 <日本経済新聞文化面2004年8月2日朝刊掲載> 前坂 俊之<静岡県立大学国 …
- PREV
- 「Z世代のための日本リーダーパワー史研究』★『電力の鬼」松永安左エ門(95歳)の75歳からの長寿逆転突破力③』が世界第2の経済大国』の基礎を作った』★『人は信念とともに若く、疑惑とともに老ゆる』★『葬儀、法要は一切不要、財産は倅(せがれ)、遺族に一切やらぬ。彼らが堕落するだけだ」(遺書)』★『生きているうち鬼といわれても、死んで仏となり返さん』
- NEXT
- 「Z世代のための日本最強リーダーパワーの勝海舟(75)の研究②』★『勝海舟の健康・長寿・修行・鍛錬10ヵ条」』★『余裕、綽綽(しゃくしゃく)として、物事に執着せず、拘泥せず、円転・豁達(かったつ)の妙境に入りさえすれば、運動も食物もあったものではないのさ』★『学問に凝り固まっている今の人は、声ばかりは無暗に大きくて、胆玉(きもったま)の小さい。まさかの場合に役に立つものは殆んど稀だ。』』

