『2018年「日本の死」を避ける道・日本興亡150年史』⑤『アベノミクスで政権百日は大成功、このナロウパスを突破せよ』(上)
2018/05/06
★『2018年「日本の死」を避ける道はあるのか
ー―日本興亡150年史』⑤―
<『アベノミクスで政権100日は大成功、このナロウパス
(アベロ―ド)を突破しなければ日本の明日は開けない、
国民にその覚悟を問う>
       <月刊『公評』4月号掲載、執筆は2月5日までの認識>
                   前坂 俊之(ジャーナリスト)
●アベノミクスの結果はこの秋に出る。成長産業がカギ
(A)「では次にアベノミクスについての評価をうかがいたい。外資が先導したといわれる「アベノミクス」で岩戸景気以来(1950年)という株価の急騰、為替、円安の進行で、安倍政権誕生わずか3ヵ月で経済界、株式は息をふきかえしているね。日本復活の号砲が鳴ったのかね」
(B)「まだ、その評価を下すのは早すぎるが、正しく3Sだね。ショック、サプライズ、ロケットスタートの3つだよ。
日銀法改正、インフレターゲットを突きつけてマーケットにも経済にも強烈な電気ショックを与えたので、死に体(デフレ)の経済は心臓が動きだした。安倍晋三(しんぞう)は心臓(しんぞう)が強い。経済(勘定)も感情(欲望)によって動く。悲観的な気分(デフレ)から楽観的な期待(インフレ)をもてば、株価上昇と経済回復の期待が高まり、気分一新、ショック療法というわけだね(笑)」
(C)『結果を数字で残したので強みがあります。円安は90円台まで進み、日経平均株価も三年九ヵ月ぶりに11000円台(2月上旬)を回復、リーマンショック前の株価にやっと戻した。この間の上昇率は40%と海外マーケットよりも突出しているが、海外マーケットと比べると出遅れで、それだけサプライズ効果が出ているという事ですよ。これがどこまで長続きするかどうかー』
(B)「もともとアベノミクス(安倍首相の経済政策)の3本の矢は①大胆な金融緩和②機動的な財政政策③民間投資を喚起する成長戦略-です。①機動的な財政出動は20兆円規模の緊急経済対策を決定(復興・防災対策、成長公共事業の総額は4・7兆円)で、60万人の雇用創出効果を見込む。この結果、12年度の新規国債発行額は52兆円にもなり、民主党政権が財政再建目安の「44兆円枠」を突破した。
②の大胆な金融政策は政府と日銀による共同文書で物価目標2%を明記、達成時期は「できるだけ早期に」にと文面に入れて日銀に重い責任を押し付けた。
③の成長戦略こそ最も重要な「第3の矢」です。①②は短期中期の施策の矢で、③の「矢じり」で思い切り引っ張って発射しないと遠くまで飛ばない。経済を再び成長軌道にはのせるには成長戦略なのです。
このために、小泉内閣、第一次安倍内閣当時の日本経済再生本部を設置して、アベノミクスの司令塔として、産業競争力会議の設置、「日本産業再興プラン」(製造業復活)、「国際展開戦略」(企業の海外進出を支援)、「ターゲテイングポリシー」(新市場創出)を策定していくが、長期的な日本経済成長には規制緩和、撤廃など既得権益者、抵抗勢力の打破が不可欠となる。
これがきまるのは6月と遅すぎる。この間にTPPへの参加表明は日本がどうするのかもまだ。これに入らなければ、規制改革の最大のガンである農業問題もできる訳がない。それまでに息切れして失速する可能性も大きい。待ったなしだよ」
(A)「確かにそうなので、アベノミクスは最初のサプライズと安倍首相と浜田内閣参与の矢継ぎ早の<白川日銀総裁悪玉論>の攻撃で、白川も早々に退陣してしまった。アナウンス効果、メディアへの早め早めの情報操作(リーク)だね。
何が何でもデフレ退治のために借金(国債)をさらに積み上げて、危機突破にたったといえるのでは。これにアナウンス効果、メディアへの適切な早め早めの断固たるメッセージを出していく事、これが戦略の原則だよ。安倍は前回の失敗後にいろいろ勉強して、いい参謀を持ったと思います。それが浜田教授です。
 アベノミクスを続けていけば、現在の円安・株高が『本物の経済回復』につながるとの主張だ。」
白川前総裁は「財政再建、国債の暴落の危機、デフレ克服、経済成長という綱渡り」(狭いせまい道)を通る難しさを強調していましたね(前月号、連載(中))、その面で、安倍内閣はルビコン河を渡ったのです。あとは成功する以外にない。失敗すれば日本はデフォルト(国家倒産)、奈落の底に転落ですよ」
(B)「日本の財政悪化の問題は全く改善されていない。公共事業の総額4・7兆円で再び、コンクリートに逆戻り、むだな道路、国家強靭化計画で10年間に200兆円という途方もない公共事業をやろうというのだから、自民党の失敗の昔に逆戻りですね。
その結果、12年度末の日本の債務残高(国債、借入金など)は1085兆円(GDPの2倍以上)という天文学的な数宇にハネ上がっている。ところが、国民の方ではこまったことに見かけの株価の上昇、円安の進行の数字に踊らされて、この返済不可能な国債の論議は誰もしない、先送り。恐怖で眼を背けて見たくないという思考停止ですね」
(A)「バブルの時代に『赤信号、みんなでわたれば怖くない』『大赤字、みんなで踏み倒せば怖くない』というわけか。国が借金倒産(デフォルト)すれば、企業も個人も倒産、自己破産、生活苦の大波に襲われるのにね。
インフレターゲットの物価目標2%は「できるだけ早期に」と共同文書に書かれている。しかし、これがどんなに難しい数字かはバブル崩壊後、インフレで2%を超えたのは、消費税増税(1997 年)と原油急騰(2008年)の2回だけなのですね。
(C)「安倍首相の強引な手法での日銀の独立性侵害が論議と、白川前総裁の早すぎる辞任は海外では独立性の蹂躙と見ているところが多い。中央銀行が政府に従属すれば、国債の急増が物価急騰につながり、緊急対策が景気回復につながらず、財政悪化に歯止めがかからなければ、長期金利急騰を招く。
それに、気がかりなのは過去最大の貿易赤字に昨年度は転落している。こわいのは国債の海外投資家の比率も5%から9%に上昇していること。いつ、国債の金利か急上昇するか海外のフェッジファンドとの戦いですね。
六月がぎりぎりのTPPへの参加表明は日本が「アジアの小国」におちぶれない最低限の条件だが、これも自民党は反対なので、安倍が強引にできるわけがない。7月のねじれ参院選までは、既得権益に痛みを強いるTPP参加表明、規制緩和は難航必至「3本目の矢」が遅れれば反転する懸念も大きい、まだ前途未知数で、株価もどうなるか、春先以降は不透明ですね」
(A)「アベノミクスでは日本は救えないと主張するのが、元モルガン銀行東京支店長で、「伝説のトレーダー」といわれる藤巻健史氏で『安倍バブルがはじけた時、国債の金利が上昇して早ければ今年中に日本経済は崩壊する』とまで、言っているよ。行き過ぎた金融緩和でハイパーインフレは起きればインフレを抑制するのは大変難しい。預金封鎖や新券発行などの荒療治を行うしかない」とまで指摘する。
一方、浜田氏は『この先の五~十年で、ハイパーインフレが起きる可能性はゼロだ』ときっぱり否定するのだが、果たしてどうなるのかな。日本経済はいよいよ未知なるゾーンに入ったことは間違いない」
(「では経済次に入りましょう。安倍政権が誕生して3ヵ月、世界の日本への見方も
大きく変わってきました。『アベノミックス』の行方と同時に、『安倍自民極右政権誕生』
と中国、韓国から警戒を持ってみられ、尖閣諸島の日中軍事衝突の火花も一段とエスカ
レートしている。心配だよね」
大きく変わってきました。『アベノミックス』の行方と同時に、『安倍自民極右政権誕生』
と中国、韓国から警戒を持ってみられ、尖閣諸島の日中軍事衝突の火花も一段とエスカ
レートしている。心配だよね」
(C)「まず、尖閣問題の衝突に関していえば、1月14日に中国人民解放軍が全軍に「対日戦争の準備をせよ」の指示を出した、これは中国の新聞、TVメディアも一斉に報道したが、日本のメディアはあまり伝えなかった。その後、尖閣の領海への侵犯も連日続き、2月初めには中国海軍艦船による海上自衛隊護衛艦への火器管制用レーダー照射事件が起きた。
これは政府の命令でやったのか、中国海軍、艦艇の独自の判断でおこなったのか不明だが、中国側は「照射に使ったのは通常の警戒用管制レーダーであって、火器管制レーダーではない」と主張。日本側のでっち上げと反論、日本は証拠を提出すると、互いにエスカレートしているね。」
(B)「ただし、中国政府に情報が入っていなかったことは確実で、日本側のアピールで軍のシビリアンコントロールが効いていないことに警告したのはいいことだと思う。
中国側も国際ルールに触れるということは認識しているので、図星を指されて通常レーダーと弁解している。このあとは、非難の応酬から偶発戦争を避けるためにも『ホットライン』の開設、話し合いのパイプを設ける事が必要で、これは日本側から強くせまるべきだね」
(A)「これまで日中間の紛争、対立、戦争の歴史は台湾出兵からはじまって、日清戦争、満州事変から日中全面戦争へという1945年までは70年間続いた歴史です。この間の軍事衝突のきっかけは、いずれも思い違い、認識ギャップ(パーセプションギャップ)のボタンのかけ違いが発端となって、それに相互の敵意のエスカレーションが最初の偶発的な1発から、どんどん戦闘がエスカレートして、全面戦争へなっていき、ドロ沼の長期戦に成っていくパターンです。
両国とも過去の戦争の経緯と結果を冷静に分析して、無用の衝突を避けるべきで、アメリカは一貫して両国に自制を求めている」
                                                                (つづく)
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