『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』㉖ 長崎事件を語る」(日本は国力、軍事力で中国には全くかなわない)
2015/01/01
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』
日中韓のパーセプションギャップの研究』㉖
前坂俊之(ジャーナリスト)
長崎清国水兵事件とは1886年(明治19)8月1日にアジア随一を豪語した清国海軍(日本の海軍力など目ではない)が北洋艦隊の定遠、鎮遠、済遠、威遠の4隻をデモンストレーションに日本に向けて、長崎港に入港、清国水兵が勝手に上陸して遊郭『丸山楼』に上がり、コミュニケーションギャップから乱闘事件を起こし、それを阻止しようとした警官、市民と大乱闘事件に発展し、結局、清国人士官1人死亡、3名負傷。清国人水兵3名死亡、50人余りが負傷。日本人側も警部3名負傷、巡査2名が死亡、16名が負傷。日本人住民も十数名が負傷)という大事件となった。
この事件の交渉役は鳩山由紀夫の曽祖父の鳩山和夫(衆議院議員、国際弁護士)が担当、被害弁済の交渉を行ったが、いつもの通り中国流の言の左右、国際主義の否定、ごね得、大言壮語の中華思想的交渉術によって、一向にらちが明かず、これも8年後の日清戦争の原因の1つになった。
以下の「申報」は中国的な認識(中華思想、尊大、ごう慢、自己客観視ができない、2000年続く非近代人性格)をよく表している。日本などあらゆる点で問題にならない小国で、中国の敵ではないと過小評価しながら、日清戦争で全敗するよ、途端に『日本に侵略された』泣き声で、韓国とともにと被害者面する恨み節である。
日清戦争120年の現在―中国内では共産党指導で「侵略国日本」の虚偽の大キャンペーン」を張っているらしい。各国間の交渉、歴史のディテールを相手国の報道、世界の報道と比較、検討、客観的に見ながら、考える必要がある。
今、中国は経済面では米国をぬいて世界一になったとうぬぼれて(これは大東亜戦争の前に日本軍部が世界一の海軍、陸軍力とうぬぼれたのと同じ)て、米国と対等な関係を要求し、米中で世界を支配しようなどと中国軍部のバカどもが、米中対話で大言壮語したらしいが、非近代人、ましたや21世紀の国際問題に関心もないミーイズムの独りよがり習近平共産党1党独裁体制(国民議会選挙のない、自由なメディアもない世界唯一の遅れた前近代国家)は皇帝支配(国民・市民なし)の中華帝国の実態と全く変わりないのである。
1886(明治19)年11月23日光緒12年丙成10月28日「申報」
「客人と近年の中日情勢-長崎事件などを語る」
(日本は国力、軍事力で中国とは比較できないほど劣位)
長崎における紛争事件(長崎清国水兵事件)
http://maesaka-toshiyuki.com/detail?id=1833
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E5%B4%8E%E4%BA%8B%E4%BB%B6
については.本紙でくり返して記し,冗長をいとわず議論を重ねたが,事が重大であるだけに,このように詳細に論じたのだ。先に客人が私の書斎を訪れ.挨拶の後,私に次のように言った。
「21日の貴紙によれば,日本政府はすでにアメリカから3000万ドルを借り,また黒田伯爵を召喚して帰国させたそうですね。また中国の官員も,この事件はあと数日を待ち,なお責任を回避するのであれば,いったん等議を打ち切り別に議すると述べたと言います。
こうしてみると,日中両国の関係は徐々に悪化しているようですね。両国ははたして戦端を開くのでしょうか。それとも国内安定のために問題を解決するのでしょうか。また近年の情勢から見て,はたして中国は日本と戦うことができるのでしょうか」。
私は次のように答えた。「わが中国は,かねがね礼譲を重視し.いたずらに勢力を広げ,軽々しく戦闘を起こすようなことはありませんでした。他国との交
渉も,またこのとおりなのです。日本は以前から台湾に食指を伸ばし.また朝鮮に野心を抱いています。
中国は,寛容な態度でこれに対処してきました。国内では防諜に努め,国外では友好関係を維持していたのです。このたびの兵士の紛争は.小さな争いにすぎません。これを台湾や朝鮮の事件と比べれば,どうして日本人が再三引き延ばしを図るといって,和平を捨て戦端を開くようなことがありましょうか。しかしもし日本人が中国と争おうとしたとしても,また中国の敵ではないのです。
日本に媚びる者は,日本政府は明治6年の政治体制の変化以来,わずか12年にして,機器は精巧.汽船は敏速,陸海軍は精強となった。
すでに西洋に追随して随習を一掃しており,中国はこれに対抗することができるだろうか』と述べるかもしれません。しかし彼らは,日本が学んでいるのは.西洋文明の上っ面だけであって,本質ではないことを知らないのです。いたずらにうわべを飾って隣国に誇っているのであり,富強な国などとは言えません。ではわが中国はどうでしょうか。国土は広く物資は豊富であり,18省を合わせれば,租税収入は毎年放千万両にのぼります。
また炭鉱や鉄鉱が広く分布しており,これを採掘して軍需に充てれば,いくら採っても,どれだけ使っても尽きることはありません。日本の領土は中国の2省にも及びません。領土が狭いので人民も少なく,人民が少ないので,財貨があったとしてもこれを地中に捨てるようなものなのです。
このように,第1には日本は土地がとても中国に及ばないのです。また兵士についてはどうでしょうか。日本では去年徴兵制を施行しました。1家に2人以上の青年男子があれば,その1人は必ず徴兵されることになったのです。
自らの肢体を傷つけてまで,徴兵を逃れようとする者もいると言います。そもそも兵士は勇敢であることが重要であり.兵法に通じていることが不可欠です。もし教習を受けていない人民を無理やり戦わせたとしても,混乱し騒ぎ回らなければいいほうで心を合わせて敵に当たり,勇猛に突撃することなどとても望めません。
一方わが中国には,陸海軍を合わせて100万を下らない兵士がいます。皆平素から訓練を受け,よく息がそろい,一度事が起これば.朝に召集され,夕べには軍に編成することができます。
フランスのような強国とさえも互角に戦い.どちらに廟利が帰するともわか
らなかったではありませんか。日本はこれに比べかなり遜色があります。このように,第2には日本は兵士がとても中国に及ばないのです。さらに軍艦についてはどうでしょうか。日本には装甲艦はわずか2.3隻あるだけで,ほかは皆木造艦です。操縦は巧みであるとはいえ,船体が堅固でないために,怒癖に巻き込れるだけで,すでに危ういのです。
もし数トンもの巨弾を受ければ.おおむね木っ端微塵に砕け散ってしまうでしょう。敵に肉薄しての激戦などできるでしょうか。一方中国は,ドイツから
購入した南深などの3隻の装甲艦のはか,南洋・北洋両海軍所轄の装甲艦は,数十隻を下りません。いずれも皆堅牢で敏捷です。
加えて福州船政局や黄塙製造局での建艦も,日に日に盛んになっており,絶えず進歩改良を続けています。
近ごろまた新たに海軍衝門を設立し.いっそうの充実を図っているのです。こうして比べてみれば.いずれがまきり,いずれが劣っているかは明らかでしょう。このように,第3には日本は軍艦が中国に及ばないのです。
このように.日本は以上の3点で中国に及びません。さらに国庫は底を突き.国債は山積し,重税が人民の恨みを買っているので.中国と勝敗を決することは,だれの目にも不可能なのです。こうしてみれば,どうして中国が日本と戦えないことがあるでしょうか。
しかしこれは,はっきりとして明らかな事態について述べたに過ぎません。よ
り深く恩いをめぐらせば,日本人は考えを変えて反省し.中国と争おうとは思わないでしょう。日本はロシアと境を接しています。
もし蝦夷島がロシアの侵略を受け.併合されたならば,障壁が取り除かれて防御のすべがないのです。ロシアがあえて侵略しようとしないのは,乗ずべき隙がないからに過ぎません。しかし内心は常にそのことを願っているのです。あるいは,アジアにあるロシアの領土は,中国と・書林・新握・黒竜江などの地方で接している。
日本はロシアとは友好関係にあるので,もし中国と日本が戦端を開けば,ロシアは陸路によってひそかに書林などの地方に侵入しようとするだろう。日本人はロシアが中国を牽制することを知り,これを頼りとして中国を恐れないのだ」と考える者もあるかもしれません。
彼らは,左文妻【宗業】が新茸を平定して以来.天山路各地にすで
に着々と強力な軍隊を配置し,ロシア人がいかに貪欲で凶暴でも,如何ともしがたいことを知らないのです。とすれば,ロシアが新たに領土を得ようとすれば,日本を措いてどこにあるでしょうか。故に,日本と中国が友好関係にあり,相互に助けあえば,外国はあえて日本を軽視せず,中国と日本が敵対すれば,唇滅びて歯寒しというたとえどおり強大な隣国の圧迫を免れないのです。
こうしてみれば,日本と中国の国力が匹敵していたとし子も,軽々しく戦端を
開くことはできません。ましてやこのように国力がかけ離れているのですから,些細な長崎の一事件をもって.同じアジアの一国としての誼を忘れ.にわかに開戦するようなことができましょうか。中国は日本の官員が引き延ばしを図り,事にかこつけて責任を回避しようとしたので,出兵しようとしたのです。
日本政和こも見識ある者は少なくないのですから,まさに自制して友好関係を結ぶべきでしょう。中国はつとに信義に厚いことで知られており,決して軽々しく条約を破棄するようなことはないのです
黒田伯の召喚や.アメリカへの借款などのことは,商人の伝聞によったもの
で,確実な情報ではありません。事実だったとしても.虚勢を張っているのに過ぎないでしょう。なぜ,和戦の利害がわからないことがありましょうか」。客人はこれを聞いて,首肯して立ち去った。たまたま本紙から1編の論説を求められたので,順序を追ってその言葉を記し,印刷に付した
日中韓150年三国志『日清戦争勃発に至るパーセプション・ギャップの研究―海軍力増強と
長崎清国水兵事件の勃発①
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