日本リーダーパワー史(653) 日本国難史の『戦略思考の欠落』(46)日清戦争開戦での中国側の対日観『日本の謀略がすでに久しいことを論ず』(申報)➡『中華思想、事大主義」から最後まで脱皮できない中国、この 日中異文化理解ギャップを知らないと何度でも誤る。
日本リーダーパワー史(653)
日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(46)
日清戦争開戦での中国側の反応ー『1894(明治27)年8月20日、
光緒20年7月20日「申報」
『(日清戦争開戦3週間後)-『日本の謀略がすでに久しいことを論ず』
ー「日本の狡猾な謀略によってやられた」「被害者意識(その裏側の尊大意識
(中華思想)、事大主義」から最後までぬけ出せない中国、
日中関係はこの繰り返し。
日中異文化理解のギャップ、ズレを知らないと何度でも間違う。
前坂俊之(ジャーナリスト)
(再録 2014/09/20 執筆)ー『中国紙『申報』からみた
『日中韓150年戦争史』日中韓の
パーセプションギャップの研究』(59)
1894(明治27)年8月20日、光緒20年甲午7月20日「申報」
『(日清戦争開戦3週間後)-
『日本の謀略がすでに久しいことを論ず』
<この連載『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』日中韓のパーセプションギャップの研究』(59)
を続けてきた私は開戦3週間後のこの論説を読んで、「またまたまた、この論理か、謀略論によってやられたという」「被害者意識(その裏側の中国が第一という尊大意識(中華思想)、事大主義)から最後までぬけ出せないのか」とうんざりを通りこして、対中国とのつきあいはこの点の異文化理解をしてないと何度でも間違うと思う。
この中国的(漢民族)な思考形式(中華思想)は3千年の歴史で延々と続いてきており、現在も「尖閣問題」『南沙問題」「新疆ウイグル問題」などなど他民族、多国間と紛争、対立を起こしている強烈な排他的な『エスノセントイズム」(自民族優先主義)の『中華思想」なのである。
中国側が「属国」であったと主張する『琉球」「台湾」「朝鮮」問題でも、いつも日本側は中国の了解取り付けようとして(日本だけではなく英、仏、西欧も同じ)、中国に交渉に行き、尊大、自己中の中国との交渉で『針小棒大、言を左右する、前言訂正の中国的な交渉術、外交術に翻弄され、朝鮮では何度も壬午事変、甲申事変、金玉均事件などが繰り返された結果、福沢諭吉の「アジアの悪友とは絶交するという<脱亜論>】となって、堪忍袋の緒を切ったのが、日清戦争の真相なである」
この点は、私のこの連載でも詳述している。
120年前の日清戦争の時代に、科学的、合理的な思考力を備えていた西欧とそれに一歩でも近づき、近代化しようとした日本と、封建主義「中華思想」と「メンツの思考と行動から一歩も抜け出せない清国(中国)がいざ、戦端を開いてみれば、どんな結果になったかーこの後に完膚なきまでに証明される。
1894(明治27)年8月20日、光緒20年甲午7月20日「申報」『(日清戦争開戦3週間後)-『日本の謀略が
すでに久しいことを論ず』
日本人はすでに10余年前から,朝鮮を占拠し,中国を擾乱(じようらんする)ことを狙っていた。久しく中国恐るに足らずと考え,あえて紛争の発端を開いてきたのだ。その端緒は.台湾事件において,琉球人のために報復することを口実に生蕃を征討したことにあった。
全く,琉球が中国の藩属国であり.台湾が中国の領土であり.生蕃が中国の民であることを考慮しなかったのだ。このことは,倭がすでに中国を眼中に置いていなかったことを示している。
思うに,倭はかねがね中国を軽悔し,横暴にもわが領土を侵犯するに至ったにもかかわらず,中国は寛大にこれを対処し,ついに第三国の公使の調停により,倭に50万両を支払った。これは琉球の難民に対する撫じゅつ金,および倭人が設営した施設に対する補償金であり.倭の軍事費を賠償したのではなく,わが国体を傷っけたとは言えない。
ところが倭の公使は,この件を「近国史略」に次のように記している。
「今次の事件にあたっては,政府は臨機応変に出兵を決意し,ついに外交交渉によって補償金を獲得し,かつ長く凛流民が生薯の暴椋を受ける患いをなからしめた。なんたる知勇だろうか。これは.台湾での軍事行動にあたった西郷従道,外交交渉にあたった柳原前光,大久保利通,調停の労をとったイギリス公使ウェードの功もさることながら,何よりも中国が軍務をおろそかにし,上下とも武勇の士がなく,朝廷を挙げて堕弱に流れていたことに起因する」。
ああ.日本の史官の言たるやまことに厚顔無恥と言えよう。倭人は中国の実情を洞見していないのだろうか。思うに,倭人が台湾で自らの要求を通したことが,琉球の滅亡につながったのだ。倭がすでに琉球を滅ぼし,改めて沖縄県とした後も,わが中国は文書を送り,一片の空言をもって日本を詰問するにとどまり,ついに軍事力を行使することがなかった。七省経略の命は下ったものの,ついに実行に移されることはなかった。以前当局者に上書して次のように述べた者があった。
「中国と日本の通商は,日本にとって有利である。1つには交易に紙幣を用いることを許している。2つにはヨーロッパ諸国の需要がない海産物は,中国だけが販路となっている。3つには路程が近く輸送に便利である。このように中国は日本に利益をもたらしているにもかかわらず,日本はかえって中国に野心を抱いている。
なんという誤った考えだろうか。私が考えるに,日本人がかくも頑悪であるからには,情理を尽くして弁舌をもって論じても効果はない。必ずや,まず文書により通告し,しかる後に武力を行使すべきだ。もし今次も中国が隠忍自重す
れば,日本はさらにその飽くなき野望を募らせるだろう。わが中国は使節を遥派し,道理に従い問題を処断させるべきだ。
もし日本がこれに従えば,中日両国にとって幸いだが,もし従わなければ,日本に起因する問題なのだから,中国はこれを受けて立たざるを得ない。即刻駐日公使を召回し,通商を停止し,かつ次のように明言すべきだ。
『アジアの大局から見て.中日両国は,唇歯輔車のごとく相互に協力しあうべきだ。ところが貴国は以前からの友好関係を尊重せず,自ら盟を破ってわが中国の辺境を侵犯し,わが中国の藩属国を脅かし,度々折衝を重ねたが耳を貸そうともしない。
問題の責任は貴国にある。わが中国は協議して友好関係を保とうとしたが,これに応じなかったではないか』。現在の計策としては,長く和平を保ち,紛争を防ぐためには,相互の貿易を停止し.各々自国の領土を固く閉ざし,侵犯しあって兵端を開くことなく,互いに疑心暗鬼にならないため,以前のように往来を断つことが最上だ。
日本の計画によれば,まずは中国艦隊を打ち破り,その後.大部隊を天津の南と山海関付近に上陸させ,そして.すでに述べたように,遅くとも11月の30日までには北京へ乗り込むことになっている。ジャパン・メール紙は先月30日付の紙面で例のごとく政府のために弁じて(と考える
べきだろう).このようなひどい屈辱を中国に加えねばならないわけを明らかにしている。
ジャパン・メール紙は目下の戦争の原因について述べるにあたり1873年までさかのぼる。
その年.釜山で日本の役人が朝鮮の当局から無礼な仕打ちを受けた。そこで日本は.朝鮮もしくは中国に補償を求めてもよいかと中国に問い合わせた。中国は朝鮮の行為に対するあらゆる責任を否認したので,日本は朝鮮と条約を結び.1876年には他の国々も日本の例に倣った。
1884年,金玉均事件が起こり.日中両軍はソウルで衝突したが,1885年に次のような合意が成立した。「朝鮮で騒乱が発生した結果,日中いずれかが,朝鮮に居住する自国民を保護するために軍隊を派遣しようと望むときは,まずその旨の通告を他方に対して行わねばならない。また,騒乱が収まったときは直ちに軍隊を撤退させなければならない。本合意は,朝鮮を日中共同の保護の下に置くというに等しいと考えて差し支えない」。
本紙が強調して呈示した箇所はジャパン・メール紙一流のやり方をよく示している。ほんの数日前同紙は,中国が誠意をもって行った同国の意図に関する通告に対し日本は苦情を申し立てたことはないしそのつもりもない.と言っているのだ。
ところがどうしたわけか今度は,中国は事前に通告を行わなかった,と言い出したのだ。この主張については,われわれは全く根拠がないものと確信している。
しかしながら,これは単なる枝葉の問題に過ぎない。戦争の原因は,ジャパン・メール紙によれば次のようなものだという。
朝鮮はその政治システムが徹底的に改革されない限り決して真の独立国とはなり得ない.と日本は見ている。そこで,日本は中国にそうした必要不可欠の改革を協力して推し進めようと提案したが,その提案には.もし中国が協力しようとしないなら日本は独力で改革を実行するだろうということが付け加えられていた。
中国は属国に内政干渉を行うことは自国の慣行にそぐわないという理由から日本の提案を拒否し,メール紙自身の主張では.朝鮮から兵を引かざるを得ない事情が自国にあったため日本に対してもそうするよう要求した。
「この要求に日本政府は応じなかった。それどころか-朝鮮における日本の兵力を増強した。日本政府が朝鮮にどの程度の兵員を送ったのか正確なところは不明だが,1万を超えていることは間違いない」
戦争の原因についてメール紙は記事の最後の部分で次のように述べている。
「中国は日本と協力することを拒否し,日本が朝鮮の政治に必要な改革に着手するのを阻止するために閲派の政治家と通じるようになったので(日本はそう信じて疑わない),日本政府は朝鮮における中国軍のこれ以上の増強を阻止することを決めた。
というのも,それらの兵は閔氏一派を支援するために,また,旧来の悪弊を維持するために動員されるに違いないと考えたからだ。そこで日本の軍艦数隻が.おそらくは南陽湾に上陸しようとしていたと思われる兵員を乗せた中国の輸送船の進路を遮断した。その結果.事実上戦争の火ぶたが切られたのだ」
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