『日本敗戦史』㉛『太平洋戦争敗戦70年目―ポツダム宣言を即座に受諾する政治決断力がなく終戦までの3週間 に50万以上が犠牲に。
2017/08/15
『来年は太平洋戦争敗戦から70年目―
『アジア・太平洋戦争の全被害』➂―
アジア各国での犠牲者は約1800万以上、
ポツダム宣言を即座に受諾する政治決断力がなく、
無駄な会議を延々と続けた終戦までの3週間
に本土空襲などで50万以上の国民が犠牲となった。
昭和20年6月24日 義勇兵役法を制定し
連合軍の日本本土侵攻に対処するため、全国民の軍事組織化を意図、15歳以上~60歳以下の男子、17歳以上~40歳以下の女子を義勇兵として必要に応じて国民義勇戦闘隊に編入できることとした。すでに沖縄戦では、全住民を軍の道連れにしていたが、この法律は、沖縄の本土化を意味した。国民皆兵によって竹やりなどで米軍にたちむかっていくというアナクロニズムで皇国護持を唱えていた陸軍の凶気こそ戦争の実態である。
前坂 俊之(ジャーナリスト)
【本土爆撃の実態】
全国の被災地は215都市 計約645平方キロ、犠牲者は47年1月結成の全国戦災都市連盟が113都市を調べた分だけで51万人、被災人口は964万人。当初は、軍需工場が専ら狙われたが、東京大空襲以降は、中低空で大量の焼夷弾を投下し市街地を焼き尽くす無差別爆撃が始まった。東京は45.3.10の東京大空襲で約27万戸を焼き、約8万4千人が死亡した。
1941年1月、『戦陣訓』とは
当時の陸軍大臣・東條英機が示達した訓令(陸訓一号)で、軍人としてとるべき行動規範を示した文書。現在ではこの中の「生きて虜囚の辱を受けず」という一節が軍人・民間人の多量の無駄な討ち死に・自殺の原因となったか否かが議論の中心となっている。アッツ守備隊玉砕戦死 2638名(戦死率99%)、サイパン島玉砕、戦死約21,000、自決約8,000、捕虜921。
(7)<1945(昭和20)年、いよいよ敗戦は決定的に。>
7月26日 ポツダム宣言で米英中の連合国が署名した内容
① 日本を世界征服へと導いた勢力の除去(6条)
② 日本国は本州、北海道、九州、四国と諸小島に局限される(8条)
③ 戦争犯罪人の処罰(10条)
④ 全日本軍の無条件降伏と日本国政府によるその保障(13条)
⑤ 全日本軍の無条件降伏と政府がそれを保障する事を受け容れられない場合は、(ドイツ同様の)迅速且つ完全なる壊滅あるのみ)と声明。
7月16日 アメリカのアラモゴルドで初の原爆実験に成功
7月26日 和歌山県由良町 、愛媛県松山市の空襲
7月27日 鈴木貫太郎首相は記者会見し「黙殺声明」、斷固戰争完遂に邁進する」この
「黙殺」は同盟通信社で「ignore it entirely(全面的に無視)」
と翻訳される。
7月28日 青森大空襲、広島県呉軍港攻防、大分県日出町、改装空母「海鷹」爆撃
鳥取県大山町の大山口列車銃爆撃
7月29日 京都府舞鶴市、舞鶴軍港空襲、静岡県浜松市、浜松艦砲射撃
7月31日 静岡県清水市 清水艦砲射撃
8月1日 新潟県長岡市 長岡空襲
8月2日 富山県富山市への大空襲、茨城県水戸市への水戸空襲
8月6日 広島市へ原子爆弾投下、死者12万人から約30万人(現在まで)
8月9日 長崎市へ原子爆弾投下、死者75000人-15万人(現在まで)、
ソ連が対日参戦、満州国へ侵攻、御前会議で「国体の護持」を条件に受諾を決定。
8月10日 連合国に「国体の護持」の条件でのポツダム宣言の受諾を打電。
8月11日 米国は「降伏時より、天皇および日本政府の国家統治の権限は連合軍最高司令官に従属する(subject to)」と。この訳について「制限の下におかれる」とする外務省と「隷属する」とする軍部の間の対立。福岡県久留米市への空襲
8月13日 千葉県成東町の成東駅爆破、山梨県大月市の空襲
8月14日 御前会議開催、天皇再び受諾決定。群馬県伊勢崎市、埼玉県熊谷市の空襲、大阪市の大阪城空襲、山口県岩国市の岩国大空襲、山口県光市の光海軍工廠、
8月15日 終戦
<9>「大日本帝国憲法」(施行・明治23(1890)・11・29)
「勅語=朕カ祖宗ニ承クルノ大権ニ依リ現在及将来ノ臣民ニ対シ此ノ不磨ノ大典ヲ宣布ス、我カ神聖ナル祖宗ノ威徳ト並ニ臣民ノ忠実勇武ニシテ国ヲ愛シ公ニ殉ヒ以テ此ノ光輝アル国史ノ成跡ヲ貽シタルナリ、」
第1条 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス
第2条 皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス
第3条 天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス
第4条 天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ
第5条 天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ
第6条 天皇ハ法律ヲ裁可シ其ノ公布及執行ヲ命ス
第7条 天皇ハ帝国議会ヲ召集シ其ノ開会閉会停会及衆議院ノ解散ヲ命ス
第10条 天皇ハ行政各部ノ官制及文武官ノ俸給ヲ定メ及文武官ヲ任免ス
第11条 天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス
第13条 天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス
第57条 司法権ハ天皇ノ名ニ於テ法律ニ依リ裁判所之ヲ行フ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
第2章 臣民権利義務 (18条から32条) (★市民、国民ではなく臣民)
第18条 日本臣民タルノ要件ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
第19条 日本臣民ハ法律命令ノ定ムル所、文武官ニ任セラレ、公務ニ就クコトヲ得
第20条 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ兵役ノ義務ヲ有ス
第21条 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ納税ノ義務ヲ有ス
第22条 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ居住及移転ノ自由ヲ有ス
第24条 日本臣民ハ法律ニ定メタル裁判官ノ裁判ヲ受クルノ権ヲ奪ハルヽコトナシ
第25条 日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外、住所ニ侵入、捜索セラルヽコトナシ
第26条 日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外信書ノ秘密ヲ侵サルヽコトナシ
第27条 日本臣民ハ其ノ所有権ヲ侵サルヽコトナシ
第28条 日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス、義務ニ背カサル限ニ於テ信教ノ自由ヲ有ス
第29条 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作印行集会及結社ノ自由ヲ有ス
●天皇君主制=⇒天皇主権(大権)、統治権、立法、行政、司法、軍の全権を握る。前近代的な王権神授説。あとは日本臣民のみ(主権在民、国民主権ではない)、
●臣民とは⇒君主に直接に支配されるものとしての人民、君主国の国民をいう(共和国の国民を「人民」)。国家権力の行使を受ける客体としての人民。(国家に対して参政権を有する主体としての人民を『市民、公民』という)。
<10>日本国憲法(施行・昭和21(1946)・11・29)
<前文>政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、
ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
第1章 天皇(第1条から8条)
第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴で、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
第2条 皇位は世襲のもので国会の議決した皇室典範の定めで、これを継承する。
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