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日本リーダーパワー史(536)「山本権兵衛が最高の偉人と称えた福沢諭吉(下)」

      2015/01/30

 

           

            日本リーダーパワー史(536)

  • 「山本権兵衛が最高の偉人と称えた福沢諭吉(下)」

「これまでに自分(山本権兵衛)は勝海舟、西郷隆盛、西郷従道大久保利通、伊藤博文などの偉人を知っているが、いずれも得難い人物ではあるが、福沢先生は学者でもあり、非常に大きい人物で自分がこれまで接触した偉人中の偉人というべき人物である」

 

◎<新年歴史クイズ?>ー英雄は英雄を知る。日本一の英雄(トップリーダー)はだれでしょうか。

私は「明治以来の最高のリーダーはだれか」を長年いろいろ知らべ、自分の新聞記者の取材体験などと重ね合わせて研究してきた。この「日本のリーダーパワー史」も500回を超えたが、今どきの歴史音痴の本を読まない軽石政治家、英語もできない外交官、新聞記者、海外恐怖症の経営者らに、少しでも知ってもらいたいと思いながら、書いてきた。

鎖国徳川時代230年の錆びついた扉をたたき壊し、明治を開国に導いた思想的なリーダーのトップは福沢諭吉であり、日清、日露戦争で勝利した海軍建設者の山本権兵衛こそ明治大発展の第一の立役者であるというのが、現段階のわしの見解です。

その福沢と山本の唯一の対談、座談が、以下に紹介する 高橋義雄著『箒のあと』にある。

 

 『箒のあと』高橋義雄著には以下のように紹介されている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A9%

8B%E7%BE%A9%E9%9B%84_%28%E8%8C%B6%E4%BA%BA%29

 

 〔1933年(昭和8)2月16日(「都(現東京)新聞掲載」〕

 

 「箒のあと」・山本権兵衛伯の福沢諭吉談(下)

 

前項の通り山本伯は福沢先生に対して、自己の海軍改革案主張に関する談話を進め引続いて、左記の如く述べられたという事である。

 

こうして自分の提出した海軍改革案を西郷大臣が内閣会議に提出したところが議論百出の末、閣僚中より委員を選定する事となり、山県有朋、伊藤博文、井上馨その他の先輩がこれに当たり、自分がその説明を引受けて、ついに本案成立したのでこの海軍を以て程なく日清戦争に当たり、

 

実験上更に各般の改革を施した次第を述べ、なお今後の方針についても詳細説明する所があったので、福沢先生は大いに満足して、今度は反対に自身の来歴を語り

 

「俺はオランダ語を修めて西洋実学の真価を知り無遠慮に漢学者共を罵ったので、維新前に在っても相当、危険な場面に遭遇したが、維新後に至っては更にその危険を増していつ暗殺されるかも知れぬので,万一の場合に逃げ込める居間のストーブの下に逃道(脱出口)を造った事もあった。

一方では大いに人心を刺激して西洋文明の方向に向うため、あるいは脅かし、あるいは嘲(あざけ)り、その論鋒があまりに過激にわたったかと思えば、今度は俄(にわか)にこれを緩和し座を見て法を説くの筆法を用いたので、福沢には一定の論旨なく飄々(ひょうひょう)として変転するものだなどと、世間より様々な誤解を受けたが、その実、あまり一方に熱中すればその身を危うする惧れがあったからである」という苦心談もあり、

また日本の発達が最初は非常に気遣われたが、日本国民中には相当気力ある者もあって、俺が心配したよりも存外の好結果を来し国運も次第に進歩して来たが、前途を見ればなお様々の困難が横たわって居るので日夜苦慮して居るのであるという様な所見をも述べられー双方の意気が非常に好く投合したので、

先生も大層満足され、さらに昼食とした、自分を案内された座敷は八畳敷ばかりで、片隅に引込んだ床に何やら掛物が掛って居た、

かくて先生の私に対する挙動は初めより胸襟を披いて、わずかも裏も隠す所なく、食後もまた引続いて様々な談話に入った、

これまでに自分(山本伯)は勝安房(海舟)、西郷隆盛、西郷従道大久保利通、伊藤博文などという人物に面会して居るが、考へて見れば此等の人々の中で福沢先生程大きく腹心を開いて人に接し子供の如き無邪気さで、初対面よりあたかも古き友達に対するが如き彼我の界(さかい)を撤去して、愉快に語られる雅量を持って居る人に会った事がない。

 

自分が大西郷より添書を貰って勝安房を訪ねた時、先づどんな人物かと面会して見れば、小作りな医者の様な容体でひょこひょこと現われ出て、何とやら軽軽しい挙動で、これが勝先生かと思われる様であったが、

ただ目がぎょろぎょろとしておるところが凡人と思われず、自分に向ってしきりに薩摩人は乱暴であるから、よほど注意しなくてはならぬと教訓を与えて呉れましたが、しかし初めより人を呑んで掛って禅宗流にいわゆる一喝を喰はせ様という遣口であった、

西郷徒道という人はなかなか真似の出来ない良い所があった人で、松方内閣が選挙干渉をどこまでも押通そうとした時、前日までその評議にあずかって格別異存もなかったのに、その翌日の内閣会議においては、彼が一人立ち上ってこのような事で、お上(明治天皇)に御迷惑を掛けては重々相済まぬ訳であるから、この内閣は断然明け渡そうではないかと切って出たので、高島鞆之助

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%B3%B6%E9%9E%86%E4%B9%8B%E5%8A%A9

やら、その他薩摩の連中等は、あまりに突飛なのに驚いて、彼れ此れ異存も申述べたが、西郷はどこまでも例の調子でこの連中を説き伏せて仕舞った、

彼はよく窮して通ずる呼吸を解し、いよいよという場合には実に俺が悪かったという様に、何等の執着もなく手の平を反す様に、飄然と態度を変えて仕舞う所が彼の得意で、これは容易に真似の出来ない人である、

兄の隆盛等は、その徳を以て人を服するという特長はあったが弟の如く判然と態度を新にする禅僧じみた真似は出来ない人であった、

此等の豪傑はいずれも得難い人物ではあるが、福沢先生は学者でもあり、且つ非常に大きい人物で自分がこれまで接触した偉人中の偉人というべき者であらうと思う云云・・。

以上は山本伯が福沢先生に関する感想談の一部分であるが、その他の談話はあまりに複雑にわたるから先づこの辺で打切る事としやう。

 

 箒のあと・山本伯の福沢談(下)

http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/post-3936/

 

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