前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

世界が尊敬した日本人③6000 人のユダヤ人の命を救った勇気ある外交官・杉原千畝

      2025/03/29

2005年3月20日記事再編集

前坂 俊之

1940 年(昭和15年)7月27日朝、バルト海沿岸のリトアニアの首都・カウナスの日本領事館の建物は数百人の群集に取り巻かれた。杉原千畝領事代理が驚いて調べると、ナチス・ドイツのユダヤ人狩りを逃れてきたポーランドの難民たちだった。
前年9月、第2 次世界大戦勃発でポーランドは分割され、オランダもフランスもドイツに敗北し、ナチスから逃れる道は、シベリア-日本経由で米国に行くしか残されていなかった。
大量ビザ発行の指示を仰いだが、外務省は日独伊防共協定から否定的だった。
ユダヤ系難民は増える一方で、領事館に長蛇の列をつくり、公園に野宿しながら「死から脱出できるかどうか」必死の形相でビザの発行を訴えた。
『この人々を見殺しにするわけにはいかない。見捨てれば私は神に背く』。苦悩の末杉原は訓令違反のビザ発給を決断した。領事館の門を開いた瞬間、難民からは大歓声が沸き起こった。杉原は連日、すべて手書きのビザを数百枚も書き続けた。
8月3日には、ソ連がリトアニアを正式に併合、外務省から「早く撤収せよ」との指示が届いた。
しかし、杉原は毎日毎日、ビザを書き続け、疲れて夜は倒れ込む。ビザを書いてもらった難民の中には杉原の足もとにひざまずいて感謝のキスをする女性もいた。
8月28日に領事館を閉鎖して、ホテルに移ったが、ここでもありあわせの紙でビザを書き続けた。9月1日、退去のためベルリン行きの国際列車に乗り込んだが、最後の最後までビザを書き続けた。杉原が書いたビザは合計2139 枚にのぼる。
個人ビザ以上に家族兼用の旅券が多かったので、「杉原ビザ」で脱出した人は約六千人と見られている。これらのユダヤ人難民はシベリア鉄道などで大陸横断し、船で日本に渡り米国へと逃げていった。その数は約1万5千人にのぼったという。映画「シンドラーのリスト」のモデルとなった人物が救ったのは約1200人と言われており、杉原はこの五倍である。ガス室からユダヤ人を救った世界最大の恩人といっても過言ではない。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Message

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

      関連記事

    no image
    日本風狂人伝(26) 日本一の<ジョークの達人>内田百閒 のユーモア②

    日本風狂人伝(26) 日本一のジョークの達人内田百閒 のユーモア②        …

    no image
    ★5記事再録『ガラパゴス・日本マスメディア(新聞/テレビ)のブラックボックスとしての記者クラブ制度―その歴史と弊害

    日本マスメディアの特殊性―記者クラブの歴史と問題点       <現代ジャーナリ …

    『日本の運命を分けた<三国干渉>にどう対応したか、戦略的外交の研究講座⑤』『米中対立は台湾有事に発展するのか』『130年前の日清戦争と同じ』★『頑迷愚昧の一大保守国』(清国)対『軽佻浮薄の1小島夷(1小国の野蛮日本)と互いに嘲笑し、相互の感情は氷炭相容れず(パーセプションギャップ)が戦争に発展した』『トランプの政策顧問で対中強硬派のピーター・ナヴァロ著「米中もし戦わば」(戦争の地政学)と同じ』

    逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/11/08am700)   &n …

    no image
    「オンライン/『習近平の中国の夢とは』講座」★『南シナ海、尖閣諸島の紛争は戦争に発展するのか』★『中国の夢』(中華思想)対『国際法秩序』 (欧米思想)との衝突の行方は!』★「 2049年に『中国の夢』が実現したならば、正しく『世界の悪夢』となるでだろう』★『「China2049―秘密裏に遂行される世界覇権100年戦略」(マイケル・ビルズベリー著、2015年刊)を読む』

        2016/08/17  &nbs …

    no image
    日本メルトダウン脱出法(827)「黒田バズーカ」第3弾を生んだ崖っぷち事情ー計り知れないマイナス金利導入のインパクト」●「鍵は中国「毒」の伝染遮断、資本規制だ 世界株安底入れのかすかな曙光が見え始めたー武者 陵司」●「黒幕発覚はこれから!?ー廃棄食品横流し事件の深い闇」

       日本メルトダウン脱出法(827)   http://toyoke

    『Z世代のための百歳学入門④』★明治の大学者/物集高量(106歳)の長寿逆転突破力の秘訣➂』★「(人間に必要なのは)健康とおかねと学問・修養の三つでしょうね。若い時は学問が一番、次がおかね。健康のことなんかあまり考えないの。中年になると一番はなんといってもおかね。二番が健康、学問なんかどうでもいいとなる。そして年取ると・・・」

      2018/11/26/29知的巨人たちの百歳学(111) …

    no image
    世界最先端イベント『見える化』/チャンネル世界最大級の観光の祭典『ツーリズムEXPOジャパン-『 『日本財団』日本パラリンピックサポートセンター』●『 東京都の『多摩、島しょと東京の特産品」』★『山口のパビリオン』★『鹿児島のパビリオン』

    世界最先端イベント『見える化』チャンネル 世界最大級の観光の祭典『ツーリズムEX …

    「トランプ関税と戦う方法論⑮」★『ルーズベルト米大統領の斡旋が実って講和会議の席に着いた日露両全権は、いかなる交渉術を発揮したのか-』★『ロシアに圧倒される外交テクニックメディアコントロール』★『小村寿太郎外相は有名な新聞嫌い』

    メディア対策で負けた日本全権団 軍事力による戦いが戦争であり、言葉による戦いが外 …

    『オンライン講座/百歳学入門(236)★『人生/晩節に輝いた偉人たち②』★『日本一『見事な引き際・伊庭貞剛の晩晴学②『「事業の進歩発達を最も害するものは、青年の過失ではなく、老人の跋扈(ばっこ)である。老人は少壮者の邪魔をしないことが一番必要である』★『老人に対する自戒のすすめ』 

    2010/10/25  日本リーダーパワー史(102)記事再録 &nb …

    no image
    日本メルダウン脱出法(643)「中国主導のアジア開銀に先進各国は参加表明、米国のこの外交失敗に1人追随し、巨大市場への参入を見合わせる日本の損得勘定は?

                                            …