世界リーダーパワー史(942)米中間選挙(11/6)の結果は!下院、上院とも民主党が奪回するのか
2018/10/16
世界リーダーパワー史(942)
米中間選挙(11/6)の結果は!下院、上院とも民主党が奪回するか
前坂俊之(静岡県立大学名誉教授)
トランプ米大統領の事実上の信任投票となる中間選挙が11月6日に行われる
。直前の各種世論調査では民主党が優勢で下院は挽回し、場合によっては上院も制する勢いがみられる。逆に上院は共和党が死守するとの見方もある。そうなった場合には大統領の弾劾訴追が民主党から提議され、米国政治は一層の混乱、停滞、分裂状況に陥るだろう。トランプ大統領は一期の大統領で終わる可能性が大きい。
「ファイブ・サーティー・エイト(518)は10月5日現在で、民主党が下院の過半数を確保する確率を「74・2%」と予想していた。(毎日同)、圧倒的です。
また、米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」によると、民主党は10月5日の時点では48・5%と共和党の41・3%を大きく上回っており、下院はすでに民主党が205議席を固め、過半数の218をうかがう。(日経10月7日朝刊)と、民主党の優勢ぶりを示していた。
全議席が改選となった下院(定数435)は共和党が235議席、民主党が193議席などだったが、10月3日のまでの選挙分析機関「クック・ポリティカル・リポート」によると、民主党は過半数(218議席)に迫る207議席、共和党は197議席を確保し、接戦は31選挙区となっていた。「ファイブ・サーティー・エイト(538)」では、下院は民主党が制する確率が約7割で、逆に上院はが多数派を守る確率は約8割と予測していた(毎日10月12日付)
なぜ民主党が勢いをもり返したのかというと①今回、引退したり再選不出馬を表明した共和党現職は約50人にのぼり、過去の平均22人を大きく上回る。その多くが2016年で大統選でトランプ氏が苦戦した選挙区の議員たちで、トランプ大統領の出現と激しい共和党内の政争に嫌気がさした結果という。
またBBCなどによると、反トランプを掲げる民主党支持者で投票に行くと答えた割合は過去3回の中間選挙投票率(36~42%)より、67%と2倍弱に増えていた」
一方、上院(定数100)の議席は現在、共和党が51、民主党が49ととわずか2議席差と相拮抗していた。今回はこのうち35議席が改選されるが、が、「クック・ポリティカル・リポート」の10月4日現在までの調査では、共和党が5議席、民主党が18議席を確保、残り12議席が接戦となっている。
今回の選挙で目立ったのは女性候補の多さで、史上最多となる257人の女性が立候補しその8割近くが民主党。女性蔑視の言動を繰り返しマイノリティーに不寛容な政策を進めるトランプ大統領への反発が大きいのと16年の大統領選挙でヒラリークリントンが負けたのに対する雪辱戦として女性の選挙意識が高まったことと、民主党が全面的に女性候補をバックアップする戦術をとったことが大きい。
もう1つ、歴史的な中間選挙の特徴が重なってくる。
米調査会社ギャラップによると、1946年以降で中間選挙で与党が下院で議席を増やしたのは、わずか3回、上院では5回にしかない。与党が上下両院で議席を伸ばしたのは、2002年のブッシュ(子)政権(共和)だけで、これは前年に米同時多発テロが発生、米国民の愛国心が一挙に高まったため。1946年以降、中間選直前の大統領支持率が50%を下まわった政権与党は平均で37議席を失っている。トランプ氏の支持率は就任以来、40%前後で推移し、主要調査で50%を上回ったことは1度もないので、大変きびしいといえる。
性的暴行疑惑が取り沙汰されていた保守派のカバノー氏(53)の連邦最高裁判事の承認問題についてトランプ大統領の7月の指名以来、4ヵ月にわたって延々と共和党、民主党の対立が続いたが、米上院本会議はやっと10月6日、賛成50、反対48の僅差で可決した。
この結果、カバノー氏の就任が決まり、9人で構成される最高裁判事は保守派が5人となり、4人のリベラル派を上回った。同性婚、人工妊娠中絶、銃規制など国論と共和、民主党を二分するむつかしい論争で、米社会の方向性を決定する最高裁の判断が保守的傾向に傾くとみられる。
このカバノー氏の承認問題が中間選挙へどう響くかのワシントンポスト紙の世論調査では承認の不支持が51%、支持が41%、特に女性では不支持が58%(支持35%)。中間選挙での投票行動では、33%が「民主党支持に傾き、共和党の27%を上回った。
女性では民主党支持40%、共和党支持26%と、大きな差がついた(時事通信10月13日付)。いずれにしてもトランプ大統領に分が悪いが、「米国民、合衆国憲法にとって、この承認はとてつもない勝利だ。民主党の反対取組みの失敗で共和党は下院の過半数を維持できる」と本人は強気の姿勢を示している。
「米中間選挙 民主、下院選で大勝難しく 共和、トランプ人気で粘り」(東京新聞10月15日付)では、
米議会政治史や選挙情勢に詳しい米アメリカン大学のデービッド・バーカー教授(政治学)は
⓵ -下院では民主党の躍進と共和党の過半数割れが予想されている。現有議席(193)から30議席程度に増える。
② -上院の情勢は結局は共和51議席、民主49議席の現有から変わらないーと予想している、
また、CNN(2018.10.15 )によると、「CNNの世論調査では、2020年の米大統領選でトランプ氏が再選されると予想する人は米国民の46%と、今年3月時点より増えていることが、わかった。逆にトランプ氏が敗れるとの回答は47%で、で勝敗の予想がほぼ並んだ。3月に実施した前回調査では、40%対54%で敗れるとの意見が上回っていた」という。
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米国最高裁判所の強い権限
カバノー判事の任命をめぐって4ヵ月にわたって共和、民主の激しいつばぜり合いがあったが、結局10月9日にやっと議会で承認されましたが、なぜあれほどもめにもめたのか
カバノー氏はジョージ・W・ブッシュ政権の法律顧問を経て、2006年から連邦控訴裁判所判事となった。81歳で今回退任したケネディ判事と比べて圧倒的に若い。連邦裁判所判事の任期は終身なので、カバノー氏は最高裁判事として今後30年以上は最高裁判所の判決に大きな影響を及ぼすことになる。
裁判所判事の任命が米国で大問題になるのは、米国の裁判所は政治で極めて大きな役割を果たすからだ。日本の司法制度では、三権分立で裁判所は政治的な問題には一歩距離を置き、中立の立場で正義を実現する機関だが、米国は全く違う。
「移民国家、他民族共生国家」の憲法の守護神をとして、米国民の人権と自由、公正、正義を尊重し実現する裁判所の立場から共和党、民主党が激しく対立し、国論が二分する政治的、社会的な問題、性差別、人工妊娠中絶や同性婚などLGBT問題、銃規制など人々のライフスタイルについてまで積極的な司法的な判断を下す。そのために、裁判所は文化戦争の主戦場であると位置づけられている。
連邦最高裁判所判事は、1869年以来、9名で構成されている。これまでは保守派が4名、リベラル派が4名、保守寄り中道派1名で、今回引退を表明したケネディは保守寄り中道派だとわれていた。カバノー氏は長年にわたり共和党の法律顧問な立場だったので、消費者金融保護局の権限縮小、環境規制縮小を唱えるなど、トランプ政権が進める規制緩和に賛同し、同性愛者の権利拡充や人工妊娠中絶などLGBT問題には批判的であるため、民主党は猛反対してきた。
ホワイトハウスの内部崩壊は毎月の定例行事と化した。
クレイジーハウスと化したホワイトハウス内のドミノ倒し、内部崩壊は毎月のように続いている。トランプ大統領が寵愛していたヘイリー米国連大使(46)が10月9日に突然の辞任を発表した。 ヘイリー氏はトランプ大統領のお気に入りで、トランプの外交方針を実現する先兵として国連で各国とやりあい、エルサレムへの米大使館移転やイラン核合意からの離脱など「米国第一主義」の外交を実践してきた。ポンペオ国務長官やグテレス国連事務総長にも辞任は知らされていなかったっほどで、突然の辞任はさまざまな臆測が飛び交っている。
米メディアによると、トランプ氏側近として自由に発言できていたヘイリー氏が、ポンペオ氏やボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の政権内の影響力が強まったことに嫌気がさしてやめたという見方。また次の次の大統領候補を狙っての辞任したのではないかという憶測も飛んでいる。
ホワイトハウスでのもう1つの権力争いは「ニューヨーク・タイムズ」が米国の憲法規定を使った大統領解任を画策したと報じ、その本人がローゼンスタイン司法副長官であるとすっぱ抜いた記事(9月21日)がでた。
当初、ニューヨークタイムズの匿名論説の記事(9月5日付)を見て、かんかんに怒こり「犯人を探し出せ」と命令していたトランプ氏がお前(ローゼンスタイン)はクビだと、言うのかどうか注目されていたが、大統領は10月8日、ト更迭の考えは「ない」と明言した。ロシアゲートを巡る捜査の最終責任者の同氏を中間選挙を前に、クビにすれば捜査に介入との批判は免れず、中間選挙へのマイナスになると判断した模様だ。
そして、お次はマティス米国防長官の辞任を示唆するトランプ氏の発言が飛び出したこと。いよいよトランプの周りには国際協調派は誰もいなくなるのかね。ブルーンバーグ(10月15日)によると、トランプ氏はCBSとのインタビューで「2日前にマティス長官と昼食を取った。彼は民主党員のような人だと私は思う。彼は去るかもしれない。ある時点で、皆離れる。人は去る。それがワシントンだ」と述べた。マティス長官はトランプ素人外交の暴走に歯止めをかけていた唯一の人物で、米外交政策を安定させる重要な役割を担ってきただけに、今後が心配になってくる。
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