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世界/日本リーダーパワー史(902)ー『米朝会談はどうなるか、米国はイラン問題を優先し、 東アジア情勢は先延ばしで日本ピンチか!』(上)

      2018/05/08

 

『米朝会談はどうなるか、米国はイラン問題を優先し、

東アジア情勢は先延ばしで日本ピンチか!』(上)

<以上は4月15日までの分析>

 

前坂 俊之(静岡県立大学名誉教授)

 

5月に開催予定のトランプ米大統領と金正恩朝鮮労働委員長の首脳会談をめぐって東アジア情勢は急展開している。金氏が北京詣で習近平主席に泣きついて3月26日に中朝首脳会談を7年ぶりに開催、正恩氏の外遊としては初めてで冷え切っていた両国の関係正常化をアピールした。

韓国、北朝鮮の首脳会談は4月27日に韓国で開催することが決定、安倍首相も4月17、18日の2日間の予定でトランプ詣でをしての日米ゴルフ会談で、米朝会談で日本抜きでの交渉が進むことを何とか阻止したい方針だ。

東アジア各国の「化しあい」「腹の探り合い」の外交戦が

一層白熱化している。

一方、トランプ氏はお得意のディ―ル(取引)外交で中国との全面関税戦争のジャブを繰り出し、中国は即座にWTO(世界貿易機関)に提訴する対抗措置をとり、乱打戦となっている。

 

日本は期待していた関税非対象国から外され、トランプとの親密さをアピールしていた安倍晋三首相は安全保障と貿易戦争で一転して窮地に立たされた。今後の朝鮮半島の情勢はどうなっていくのか。

5月12日、トランプ氏はイラン合意を破棄し、制裁発動か。

「5月には米朝会談と共に同12日に、対イラン制裁再開の是非を決める期限を迎える。トランプ氏はイランの制裁発動をする方針とみられる。そのためには北朝鮮とイランを相手にして二面的な軍事作戦は展開することができないので、対イラン強硬策を優先させると見られています。米朝会談で非核化の一定の歯止めをかけて、問題を先送りして米国の西太平洋からの撤退が進むとの見方が浮上している。」

「米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道では、サウジアラビアのムハンマド皇太子は、3月に訪米し、トランプ米大統領とも会談し、イランに再度経済制裁を課すよう直訴した。そうしないと、中東戦争が勃発するという。

トランプは3月22日にマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)を解任し、その後任に、イラン強硬派のボルトン元国連大使を指名した。トランプ氏と同様にボルトン氏は欧米など6カ国がイランと結んだ核合意を破棄し、対イラン制裁を復活ささせる意向とみられる。

トランプが新国務長官に対イラン強硬派のポンペオ中央情報局(CIA)長官を指名したのも、イランに圧力をかけるサインです。その是非を判断する期限は5月12日。つまり、中東で戦争が勃発すれば、米国にとっては中東問題が優先順位が高いので、こちらに米軍を派遣する。2面作戦は出来ないので、北朝鮮問題は先延ばしされるという見方が広がっているのです。」

トランプ氏が「お前はクビだ」を連発!

「その前兆現象がトランプ大統領のツイッターの首切り人事の連発だったのだな。3月6日にコーン前経済会議委員長を解任した。3月13日にはティラーソン前国務長官を首にしたことを一方的にツイッターで発表した。続けてマクマスター前安全保障担当大統領補佐官を辞任させて、トランプに意見した大物を一掃したわけです。」

「コーン氏はゴールドマンサックスの元CEOで、金融界の重鎮。国際経験が豊富で10年間に1.5兆ドルという巨額減税を立案した本人です。トランプに面と向かって鉄鋼やアルミの広範な輸入制限は「報復措置を招く」と反対し、北米自由貿易協定(NAFTA)からの離脱にも異論を唱えていた。

 

彼が退任を発表した日にはトランプの無謀な経済政策に失望して米株式市場は大暴落しました。そのコーン氏の後任にはラリー・クドロー氏(選挙中からトランプを支持していた保守派の経済評論家)がつき、ティラーソン長官の後任にマイク・ポンペオ中央情報局(CIA)長官が横すべりした。マクマスター補佐官の後任にはジョン・ボルトン氏を指名したのです。」

「つまり、あんたが大将のトランプ氏は自分に意見する煙たいスタッフを一掃し、すべて彼好みのイエスマン、超強硬派ばかりを集めたわけですね。トランプは首席補佐官の役職を廃止し、自ら大統領兼スポークスマンを兼ねることを検討中といわれる。エアホースワンの機長を兼ねて、操縦かんを握って、曲芸飛行を一層、派手なものにしたいのでしょうが、前代未聞のパフォーマンスですね。これまでもダッチロールを繰りかえしていた『エアホースワン」(大統領機)は、今度こそ急降下して墜落の危機迫るだね(笑)』

正真正銘のタカ派ボスのトランプ政権

「大国なのに、みんな素人の米政権―米国のドナルド・トランプ政権の人材流出が止まらない。」(選択18年4月号)によると「政権発足から一年二カ月あまりで、約半数の高官が解任や辞任で去り、交代率は約五〇%で「少なくとも過去百年はなかった」(米シンクタンクの米国史専門家)事態である」という。

とにかく、今回の人事でトランプ政権には超タカ派か、そこそこタカ派か、ハト派は一人としていない、正真正銘のタカ派政権となった。その結果、一方に傾きすぎた船は転覆するように、イラク戦争から15年が経過した今、劇的な判断ミスが起こるリスクが一段と高まった、と言える」。

 

「“狂犬マティス国防長官”が「悪魔の化身」と呼んだボルトンがトランプ政権の今後のキーマンとなるのではないか。ジョージ・W・ブッシュ政権時代に米国連大使を務めたボルトン氏はイラン核合意など複数の外交問題を軽視し、米国は軍事力の行使をためらうなという超強硬派です。

[3月23日のロイター報道によると、ボルトン氏はもし米朝会談がトランプ大統領の思うようにいかない場合、ボルトン氏が軍事対応を迫る急先鋒になるのではと見られている。 トランプは「米国第一主義」を1人でこれまで以上に強引に進めるため『エアフォースワン』の行方予測の不可能性は一層高まったといえるでしょうね]

「別の意見もあるよ。米朝首脳会談についてヘンリー・キッシンジャー元国務長官は、伝統的な外交政策の考え方からは導き出せなかった好機であり、「米国が主導権を握り直し、関係国を対話に引き出せるかもしれない」と述べている。

たしかに、トランプ就任1年目の国務省の人事はトランプ氏対ティラーソン前長官の対立で、空席が目立ち、政策遂行が停滞していたが、ポンペオ長官への交代によって今後は改善されるかも知れない。

トランプ流のスピードトップダウンで、事務能力は向上にするのではないかという見方です。強硬派の面ばかりが強調されるボルトン補佐官についても、国務次官や国連大使を経験したその交渉力と実務能力の高さを無視するわけにはいきません。」

「CNNの4月7日の報道では、米朝が首脳会談準備に向け秘密裏に直接会談進行中、という。国務長官に指名されたポンペオ国務長官(前米中央情報局(CIA)長官とそのチームが首脳会談を準備のため北朝鮮と秘密裏に直接対話をしている。 北朝鮮も非核化について議論する用意があるといいい、会談場所は平壌か、モンゴルの首都ウランバートルも議論されたという。」

「朝日新聞(4月10日)の報道では、米国は北朝鮮の保有する核兵器、核ミサイル関連施設の完全廃棄を要求しており、合意できれば同時に両国代表部を平壌とワシントンに設置し、平和協定を結び国交正常化ができれば、その後に制裁を解除するという手順です。しかし、北は米国敵視政策の完全放棄が必要と主張し、体制保障を求めている。首脳会議ではこの原則同意にとどめようとしているらしい。」

「非核化」の解釈ギャップが大きく、問題を複雑化

「この協議は簡単に進むとは思えない。もともと、北朝鮮とアメリカの「非核化」の解釈は180度異なっている。北朝鮮は米国が韓国から軍を引き揚げることなどを条件に、核を放棄する姿勢だが、もともと北朝鮮の協定破りの常習犯。これまでに北朝鮮は非核化を条件に何度も援助を獲得して、秘密裏に核ミサイルの開発を続けてきた前歴がある。

金氏の目的は、核保有国として認めてもらい、これまで通り金体制を維持できる保証をと引き換えに、核開発の停止だろうが、米国側は完全な核放棄とその査察体制を要求する。核関連施設も千カ所以上あり、その非核化全プロセスの証拠と確認の査察は事実上困難。

中国の非核化の定義は北朝鮮と同じで、中国は北朝鮮に核兵器の放棄を本気で要求していない。ボルトン氏は米朝首脳会談で金氏の態度が従来と変わらなければ、「ここは時間稼ぎの場ではない」と即座に打ち切って、強硬手段に移るでしょう。」

「核大国を宣言して、飢餓を我慢させてきた北朝鮮の国内事情をみても非核化には高い高いハードルがある。北朝鮮専門家の高英起氏のブログによると突然『非核化』のための話し合いに臨むと宣言すると、➀国内に動揺が広がる。②軍内部の動揺をどう防ぐか。③政府内のコンセンサスが必要だ―という難題を克服しなければならない、と指摘しいている」

「トランプは4月9日に「北朝鮮とは5月、または6月初めに会うだろう」と予定されていた5月の首脳会談は若干ずれこむ可能性を示唆したが、会談開催の準備は順調に進んでいることを明言した。」

つづく

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

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