日本リーダーパワー史(856)「国難突破解散」総選挙の結果は23日未明には確定する。」★『朝鮮半島有事と今回の3度目の冒頭国会解散の意味と歴史類似性を検証する』
2017/11/11
日本リーダーパワー史(856)
安倍首相が「国難突破解散」した総選挙が22日に投票となる。『大義なき解散』『森掛逃走解散』『小池つぶし、民主党つぶし解散』『憲法改正解散』などなどブーイングが起きた。
総選挙は22日に投開票となり、同日深夜には大勢が判明する。各新聞の世論調査では自民の過半数超え、自公の300議席超え、希望の失速などの予想数字が躍っている。日経(7月20日付)第一面では与党が300議席を迫る勢いを保つ、3分の2の獲得は微妙」との大見出しである。
結果は23日には確定するので、それをまって、今後の政治課題にふれたいと思う。
ところで、ここで1つおさえておかねばならぬ歴史的な故事がある。
来年は明治維新150年にあたる。明治以来、日本の安全保障政策の根幹は朝鮮問題であった。バルカン半島がヨーロッパの火薬庫(第一次世界大戦)といわれたが、東アジアの火薬庫が朝鮮半島である。韓国は日本の対馬からわずか50キロの距離で、一衣帯水の地政学的関係にある。そのため朝鮮有事は即、日本有事につながる。
このため、維新後、明治新政府はすぐに、朝鮮との国交関係と修好条約締結をもとめて使節を派遣したが、今の北朝鮮との交渉と同じく難航し衝突してしまう。お互いの「認識ギャップ」(思い違い、誤解、偏見)が埋まらず、明治5年、征韓論が起きた。明治政府は分裂し下野した西郷派と大久保派の対立が決定的となり、明治10年の最後の国内戦争の西南戦争に発展した。
当時の世界情勢は英国対ロシアの2大覇権国が、英国は海路から、ロシアは陸路から「シベリア鉄道の建設」を進めて、ユーラシア大陸最後の植民地の朝鮮、日本を目指して侵攻してきた。
山県有朋は「シベリア鉄道竣工の日はロシアが朝鮮に侵略を始める日」と述べ、軍備増強を訴えた。明治23年、第一回帝国議会の施政方針演説で、山県首相は「国家独立の道は、一つは主権線(日本領土)を守る、もう一つは利益線(朝鮮半島)を防護することにある」と述べた。
この隣国に利益線を引くことは当時の国際法で認められていた国防概念でオーストリアの国家学者・シュタインの説である。
朝鮮半島の帰属をめぐって、清国(中国)、ロシア、日本との間で紛争が延々続き、ついに1894(明治27)年8月に日清戦争となって火を噴いた。
この時の帝国議会は野党が多数を占めており、大荒れで開戦直前に伊藤博文首相は2度にわたって議会を解散した。
1904年(明治37)の日露戦争の原因も同じ朝鮮半島有事である。満州を制圧したロシアが韓国(当時は大韓帝国)に侵攻したので、日本は開戦に踏み切った。
開戦1か月前の第十九回帝国議会開会式で河野広中衆議院議長が天皇への『奉答文』を読み上げ開会を宣言すると同時に解散した。日本憲政史上に残る空前の珍事となった。開戦派によって『奉答文』に内閣弾劾の文が巧妙に組み込まれていたのだ。
以上の2例は、朝鮮半島有事のリスクが高まると、日本政府は冒頭解散して、政治をリセットし、国民意識を統一するのである。幸い、日清、日露戦争は勝利におわり、日本は有色人種国で唯一の先進国の仲間入りを果たした。
今回もこのケースと酷似しているように思う。
トランプの出現で「今年は第2次大戦後で、最も変動の多い節目の年になる」(国際政治学者、イアン・ブレマー)と警告した。さらに、毎日報道されるトランプ対金正恩の「悪口雑言」非難合戦はエスカレートする一方で、北朝鮮有事リスクは一段と高まっている。
「ニューズウイーク」(10月19日)では『トランプの強気が招く偶発的核戦争』の見出しが躍る。
オバマ前米政権で中央情報局(CIA)長官を務めたブレナン氏は18日、朝鮮半島衝突の確率25%とトランプ氏を批判したという。
サンケイの『正論』(10/20)では『未曽有の北朝鮮危機を直視せよ 「国難突破」訴えが足りない モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授・西岡力』との論説も掲載されており、ますますキナ臭くなっていることは間違いない
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ところで、最近、「回想の明治維新―ロシア革命家の手記」(メチー二コフ著、岩波文庫)を読んだ。著者のメチー二コフは明治初年から2年ほど東京外大語学教授を務めた人物である。
彼は江戸の人口の密集地の下町に住んでいたが、口論、ケンカしている日本人の姿をついぞ見かけなかった、という。「日本語には罵倒する言葉さえない。馬鹿と畜生いう言葉が相手に浴びせかける侮辱の極限値なのだ」と驚いている。
トランプのツイッターと丁々発止の外交口撃をしている北朝鮮(韓国)の悪口、罵倒の凄さには驚く。韓国では軽蔑語、侮蔑語は数百以上あり、世界一の悪口大国という。(「韓国人の癇癪、日本人の微笑み」(柳舜夏著、小学館)。
韓国流の伝統的なケンカ作法は口撃中心で、なかなか手を出さない。公衆の面前で、大声で相手を罵倒、挑発しながら延々と自己の正当性を主張し続ける。
最後には取っ組み合いのケンカになる。それも相手側にまともにぶつかっていくのではなく、意表をついた頭突きを鼻っ柱にぶつけて血を流させる」(宮塚利雄・コリア研究所代表)のが常套手段という。
『ケンカはダメ、仲良くしなさい、おとなしくしなさい」の日本流のしつけは全く違う。腹を立てても、顔にも口にも出さない。「この馬鹿野郎』と怒鳴って先きに殴りかかって勝負つく、短いケンカである。これでは日朝外交交渉のコミュニケーションギャップが埋まらない。
今回の北朝鮮有事リスクはトランプと金正恩の腹1つにかかっており、選挙の争点には余りなっていない。「ケンカはダメ、仲良くしなさい」流の日本外交も打つ手は限られている。もし有事となれば死傷者は戦慄すべき数字に上るのに「三猿主義」(見ざる、言わざる、聞かざる)しかないのか。
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