前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

 ★『アジア近現代史復習問題』福沢諭吉の「日清戦争開戦論」を読む』(6) 「北朝鮮による金正男暗殺事件をみていると、約120年前の日清戦争の原因がよくわかる」●『『日本人も東学党の乱を他国の内乱と見過ごすことなく、朝鮮が自カで鎮圧でき なければ、我兵力を派兵する覚悟が必要だ』

      2017/03/07

 

 ★『アジア近現代史復習問題』・福沢諭吉の「日清戦争開戦論」を読む』(6)

ー「北朝鮮による金正男暗殺事件をみていると、約120年前の日清戦争の原因がよくわかる」●

『日本人も東学党の乱を他国の内乱と見過ごすことなく、朝鮮が

自国のカで鎮圧できなければ、我兵力を派兵する覚悟が必要だ」

 『朝鮮・東学党の騒動について』(「時事新報」明治27年5月30日付〕 

 

 朝鮮における東学党の騒動はこの程来の紙上に記す如く、その勢、頗る猖獗(しょうけつ、猛威をふるう)、なるが如し。

所謂、百姓一揆の類にして一時の騒ぎなれば意に介するに足らざるが如くなれども、ただ掛念すべきは朝鮮政府の威厳行はれずして容易に鎮制すること能はざるの一事なり。

昨年同異の騒動も丁度五、六月の頃にして、彼政府にでは兵隊を派遣し、或は説諭の官吏を発する等,一方ならぬ尽カを以て速に鎮制したりとの事なりしが、わずかに一年を隔つる昨今に至り、

又々再燃して然かも其勢の猖獗なるを見れば、真実、鎮制したるに非ずして、政府の官吏輩が表面に無事を装はんがため、殊更らに鎮制を声言して事案を曖昧に付したるには非ざるか、或は然らずして実際に鎮制の功を奏したるものとするも、未だ一年ならずして再燃とあれば、彼政府の威厳は毫も行はれずして、紀綱全く地に墜ち、人民あげて乱を思うの情を察するに足る可し。

其党の有様を聞くに別に統率するものもなくして全く烏合の徒に過ぎざるが如く

なれども、兎に角に忠清全羅両道の辺にバッコして、現に官吏を殺し、兵器を奪ひ、官兵を破りたる等の報道続々到来するを見れば、暴徒の勢は容易ならざるが如し。

政府にても大に兵を発してその地に向はしめたるよしなれども元来、朝鮮の兵隊は殆んど無規律にして、地方に出るときは人を苦しめ、物を掠むるなど、乱暴至らざる所なきの習にして、人民は賊徒を畏れるよりも、寧ろ官兵を畏れ、その過ぐる所は老若男女荷担ぐして起つの有様なりと云へば、

兵隊の発向はますます民心を激して、かえって党の勢を奮はしむるの奇相なしと云ふ可らず。

其勢ますます盛なるに乗じて、今の政府に不平を懐く士人の輩が其仲間に入り、烏合の衆を統率するにも至らば由々しき大事にして、或は鶏林八道を風靡して遂に政府を転覆するやも未だ知る可らず。

共成行は如何にしても他国の事にして、我国人の興り知らざる所なりとは云ヘども、我輩の所見を以てすれば、朝鮮の内乱は日本立国の利害のために決して等閑に付す可らざるものありと云ふは外ならず、

若しも賊勢、猖獗を極めて政府の力を以て鎮制すること能はざるのみか、政府自身さへも殆んど危急存亡に瀕して一国制御の権力を失ひ、恰も無政府の有様に陥るに際し、

若しも他の強国が之を機会として大に干渉を試みるが如きこともあらば如何す可きや、今日の実際に有り得べき出来事にして宜に容易ならざる次第なれば、

我国人たるものは彼の騒動を他国の内事なりとして看過することなく鋭敏に観察を怠らずして、其騒動いよいよ甚だしく、自国のカにて鎮制の見込なきに至らば、我兵力を仮して鎮制の効を奏せしむるの覚悟なかる可らず。

他国の内事に関して慢に兵を発するは素より能はざる所なれども、其政府よりの依頼とあれば国交際の慣例に於て差支はある可らず。そのへんの機宜を料理するは一に外交当局者の手腕に存するものにして、我輩の務め注意を乞はんと欲する所なり。

若しも我国にして之を等閑に付し相関係せざるときは、朝鮮政府は危急の場合に至り必ず支那に向て援兵を請求することならん。支那は元来、朝鮮を属国視して常に

其保護に怠らざるが故に、斯る場合には請求までもなく大に兵を侵して鎮制の努を執ることならん。

若しも支那の兵力を以て朝鮮の内乱を裁定し、其政府の自立を助くるにも至らば、彼半島国の全権はますますその手中に帰して朝鮮独立の実を害し、其結果は東洋に於ける我国権の消長にも影響すること明白の成行なれば、吾々日本国人はあらかじめ着目して機会を誤らざるの覚悟肝要なる可し。

或は仮に一歩を過て独り自から先んずること能はずとするも、支那政府が援兵を発するの場合には、日本も亦彼と同勢力の兵を発して是非とも対等の地位を占めざる可らず。

呉れぐれも当局者の注意を望む所なり。然りと雉も、右は万一の場合の用意にして目下の事に非ず。目下の事としては彼国に在る我居留人民を保護するの一事なり。

東学党の勢、かりに彼政府を転覆するまでに至らずとも、ますます跳梁の勢を逞しくして居留地の辺にその余波を及ぼすこともあらば、我人民の生命と財産とを如何す可きや。

仁川、釜山等には常に我警備の軍艦もあり、今同の騒動においては更に其数を増したるよしなれども、いよいよの場合に立至り、九千余の居留人民を保護するに二、三隻の小軍艦にては覚束なし。而して日本人はすでに海岸の開港場のみならず、内地の京城にも居留するもの少なからざることなれば、軍艦の保護のみにては

如何にも不安心に堪へず、是非とも別に保護の工風なかる可らず。

兵隊を彼地に置くは天津條約の許さゞる所なれども、朝鮮多事の今日に当りては自から臨機の工風なきを得ざる可し。我輩の敢て当局者に望む所なり。

 

                     〔五月三十日〕

 

 

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

日本メルトダウン脱出法(612)「モバイル革命100年で3度目の大変革「E2E経済」の衝撃」『ギリシャ総選挙とユーロ危機の再来(英FT紙)

   日本メルトダウン脱出法(612)   2014年よ、さ …

no image
速報(457)『日本のメルトダウン』『自由の「失われた10年―米国』○「クール・ジャパンの全然クールじゃない動画』

 速報(457)『日本のメルトダウン』 ●『自由の「失われた10年―米 …

no image
記事再録/日本リーダーパワー史(980)-『昭和戦後宰相列伝の最大の怪物・田中角栄の功罪ー「日本列島改造論』で日本を興し、金権政治で日本をつぶした』★『日本の政治風土の前近代性と政治報道の貧困が続き、日本政治の漂流から沈没が迫っている』

 2015/07/29 /日本リーダーパワー史(576)   …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(92)●『岸田外相 チェルノブイリ視察より福島現場を直視せよ』『田中俊一・原子力規制委員長の会見』ほか

      池田龍夫のマスコミ …

no image
速報「日本のメルトダウン」(518)2014年「第3次日中戦争」は勃発するのか 『安倍靖国外交は近衛声明失敗 の二の舞』

  速報「日本のメルトダウン」(518)   20 …

no image
日本リーダーパワー史(819 )『明治裏面史』 ★ 『「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス㉞『日本史決定的瞬間の児玉源太郎の決断力⑥』★『明治32年1月、山本権兵衛海相は『陸主海従』の大本営条例の改正を申し出た。』★『この「大本営条例改正」めぐって陸海軍対立はエスカレートが続いたが、児玉参謀次長は解決した』

 日本リーダーパワー史(819 )『明治裏面史』 ★ 『「日清、日露戦争に勝利」 …

『欲望・利益最優先資本主義から公益資本主義へチェンジする講座』★『百年以上前に<企業利益>よりも<社会貢献>する企業をめざせ、と唱えた公益資本主義の先駆者』ー渋沢栄一(日本資本主義の父)、大原孫三郎(クラレ創業者)、伊庭貞剛(住友財閥中興の祖)の公益資本主義の先駆者に学ぶ』

     2019/01/09日本興亡学入門⑩記事 …

no image
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑰『開戦4ゕ月前の『米ニューヨーク・タイムズ』報道ー『ロシアがもし撤退を遅らせるなら,世界の前で破廉恥な背信を断罪される』●『ロシアの日本に対する待遇は協調的とは逆のもので,現実に欲しいものはなんでも取り,外交的にも,絶大な強国のみがとってはばからぬ態度で自らの侵略行為を正当化している』★『ロシアの倣慢な態度は,人類に知られた事実に照らし,正当化されない』

『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑰ 1903(明治36)年10 …

『オンライン/渋沢栄一講座』★経済最高リーダー・渋沢栄一の『道徳経済合一主義の経営哲学に学べ』<晩年は社会慈善公益事業に財産を還元せよ>

日本リーダーパワー史(88回)   2010/08/20&n …

no image
日本リーダーパワー史(231) < 明治の新聞が報道した『歴代宰相ナンバーワンの伊藤博文を弔う』

日本リーダーパワー史(231)     &nbsp …