★『アジア近現代史復習問題』・福沢諭吉の「日清戦争開戦論」を読む(2)ー「北朝鮮による金正男暗殺事件をみていると、約120年前の日清戦争の原因がよくわかる」★『脱亜論によりアジア差別主義者の汚名をきた福沢の時事新報での「清国・朝鮮論」の社説を読み直す』★『金玉均暗殺につき清韓政府の処置』 「時事新報」明治27/4/13〕』
2017/03/07
『アジア近現代史復習問題』
・福沢諭吉の「日清戦争開戦論」を読む(2)ー
「北朝鮮による金正男暗殺事件をみていると、約120年前の日清戦争の
原因がよくわかる」
★『脱亜論によりアジア差別主義者の汚名をきた福沢の時事新報での
「清国・朝鮮論」の社説を読み通す』
福沢諭吉の論説『金玉均暗殺につき清韓政府の処置』
「時事新報」明治27年4月13日〕
電報の報ずる所、又世間に伝ふる所によれば、支那政府は特に軍艦を派して、彼の上海にて金玉均を暗殺したる兇漢・洪鐘字と共に金氏の死体を朝鮮に迭り届けたるよし。
上海は支那の領地にして、洪は其地に於て明に謀殺の罪を犯したるものなれば、世界一般の慣例に従へば、其犯人は支那の法律を以て罰す可きものにして、又その殺されたる常人の死体の如き、既に検証を終りたる上は、朋友故郷の請求に任せて付興すること相応の手続なるに、
然るに彼政府に於ては謀殺の犯人を罰せざるのみか、其死体と共に朝鮮に迭りたるを見れば、洪の所為を無罪と認めたるものか、又は朝鮮の交際上より其歓心を買ふの意に出でたることならん。
或は支那と朝鮮との条約には、是種の犯罪人、即ち朝鮮人同士の間に起りたる犯罪事件は、すべて其本国に引渡す定めなりとの説もあれども、特に軍艦を以て護送の努を取るのみならず、
金氏の如き今日の身分は決して朝鮮人として取扱ふ可きものに非ざるにも関せず、又現に引取の請求人ありしにも拘はらず、殊更らに之を朝鮮に送りたるは、ただその歓心を買ふの手段に出でたるものと認むるの外なかる可し。
朝鮮の政府にては如何に之を処分す可きやと云ふに、金氏の如きは彼国政敵の一流が年来元悪大罪として目したる所のものなれば、その死体に封して極刑を施し、あらゆる醜辱を逞ふして以て甘心すると同時に、謀殺の常人なる洪鐘字に至りては国家の大忠臣、よくも奸賊玉均を誅したりとて、今の在朝の閥族を始として上下一般に之を歓迎し、或は官を輿へ位教授くる等の沙汰にも及ぶことならん。
全体法律上より見るときは、仮令へ乱臣賊子の輩といえども、之にたいして私に殺戮を加ふるときは、之を普通の殺人罪として死刑に処すること文明国普通の例なれども、若しも朝鮮人が法律の思想に乏くして公私の別を解せず、現に謀殺の大罪を犯したるものを歓迎して、其功を稀賛するやうのこともあるに於ては、今後日韓両国の関係についても甚だ覚束なきものあるが如し。
抑も明治十七年の変乱に我国に遁れ乗りたる朝鮮人は、金玉均、朴泳孝以下数人にして、現に国内に滞留せり。
文明国の例に於ては、国事犯の罪人が外国にのがれるときは、仮令へ其居処を明にするも、本国にては手を下すこと能はざるものにして、例へば英国人が何か国事の罪を犯して仏国に遁れ、その国内に安居することあるも、英人は之を怪しまずして、両国の交際上には差支あるを見ず。
即ち万国公法の通例なれとも、朝鮮人の如き思想を以てすれば、金朴以下の我国に在るは、日本人が其乱臣賊子に私して保護しつつあるものと認め、年来無限の怨を抱きたることならん。
(前年、我政府が金玉均を小笠原島に流し、又北海道に幽したるが如きも、公法上には無益の沙汰なれども、斯く其人の身を苦しめ、以て朝鮮人の情を和せんとするの小策にてありしことならん。)
去れば今この無識無法なる朝鮮人の怨を解て釈然たらしむるには、今回金氏
の一死を以て足る可きにあらず。今尚は我国に寄寓する朴泳孝以下の国事犯人を彼の政府に引渡すの一法あるのみ。
斯くなるときは朝鮮国人も始めて愁眉を開き、日本の厚誼に感じて大に喜ぶことならんなれども、彼等の満足すると同時に、我日本国独立の体面は立つ可らず。自家の国権を犠牲にするに非ざれば隣人の怨は免れずと云ふ。
事態頗る困難のみか、今回の金氏の死体を支那人より受取りで極刑を施すにも至らば、彼国人は更に其感情を新にしてますなす怨を深ふするの意味なきを得ず。
此有様にて推行くときは、双方の感情はますます不味を致して永久和親の交際も覚束なき次第なれば、此場合に当たり何とか工風を運らし、彼国人をして無法の思想を改めしむるこそ通常の処置なる可し。
即ちその工風は先づ穏やかに理由を説き聞せて、其悔悟を促すことなれども、若しも悟らざるに於ては一刀両断、力を以て悔悟の実を成さしめ、以て一段落を告ぐるの外なかる可し。
今回の事件に就き金氏を上海に誘出し刺客をして殺さしめたるは全く朝鮮人の毒計にして、支那人の如きは少しも関係なしと云へり。我輩の如きも事宜の上に於てその無関係を疑はざるものなれども、その全体の成行に就き日本人一般の感情を如何と云ふに、支那人に対して自から釈然たらざるものなきを得ず。
聞く所によれば金氏の上海行に就ては、支那政府の筋、即ち支那公使館の辺にては熱心に周旋して、金氏に対するの情誼は同国の親友も常ならず、最も好意を極めたるよしにて、同氏の施行は専ら其好意を当てにして思ひ立ちたるもののよしなりしに、
一たび日本の土地を離れて上海に上陸するや否や、支那人の畢動は全く一変して、殺害当時の始末といい、死体の処分と云ひ、少しも親切の意味なきのみか、冷淡水の如きその反対に、謀殺の下手人なる洪鍾字に対してはその取扱ひ甚だ寛にして、
現に金氏の死餞検証の際などはりLもせずして、その場に列せしめたる如き、犯罪人を取扱ふの法としては見る可らず。
又その罪人を罰せずして本国に引渡したるは両国間の条約によりたるものとは云へ、特に軍艦を以て之を護迭するに至りては鄭重至極の待遇にして、其意の在る所を解するを得ず。
彼れ此れ思ひ合はして其挙動を考ふるときは、日本人の感情は到底釈然たるを得ざる可し。今回の報道は甚だ簡単にして委細を悉さゞれども、次第にその事情を詳にするに随ひ、我国人の感情はますます鋭敏を加へてますます疑惑を大にすることはなきやと、我輩の今より想像する所なり。
〔四月十三日〕
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