前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本リーダーパワー史(733) 記事再録『 天才経営者列伝①本田宗一郎の名言、烈言、金言』★『どんな発明発見も他人より一秒遅れれば、もう発明、発見でもなくなる。時間こそすべての生命である』●『頭を使わないと常識的になってしまう、頭を使って〝不常識″に考えろ』

   

日本リーダーパワー史(733)

天才経営者列伝本田宗一郎の名言、烈言、金言

(2009年08月5日)

 前坂 俊之(ジャーナリスト)

 

①   成功は失敗の回数に比例する

 

ホンダの奇跡的な発展の原因はここにある。本田はこう書いている。

「人生は『見たり』『聞いたり』『試したり』の三つの知恵でまとまっているが、その中で一番大切なのは『試したり』であると思う。

 

ところが、世の中の技術屋は見たり、聞いたりが多くて『試したり』がほとんどない。僕は見たり、聞いたりするが、それ以上に試すこともやっている。その代わり失敗も多い。
失敗の数に比例して成功しているともいえる。みんな失敗を嫌うもんだから、成功のチャンスも少ない」
何度もチャレンジして挫折や失敗を繰り返すごとに、成功の芽を発見していく。失敗と成功は紙一重であり、失敗を恐れてチャレンジしなければ、成功は永遠に手に入らない。

実践と行動に裏打ちされた本田らしい言葉だ。

 

②   頭を使わないと常識的になってしまう、頭を使って〝不常識に考えろ

 

ホンダには〝頭の運動会″というのが二年に一回開催される。本田が「運動会はどこの企業も毎年やっているのに、なぜ頭の運動会はないのか」と言い出して始めた。

「オールホンダ・アイデアコンテスト」という名称で、スポークのない自転車、四角の車輪の自転車など珍アイデア続出のコンテストで、ここで出されたアイデアが結実して、製品化されたものも少なくない。コンテストという遊びだから、思い切り常識を引っくり返した〝非常識″なことが行える。アイデアは非常識の中から生まれるのである。

本田は言う。

「常識的、真面目からは何も生まれない。こうした非常識なことが行われているから、ホンダはこれだけ大きくなった」

人間には二通りある。

先にあるものがわからないから、やるというタイプと逆に、わかったからやるというタイプである。前者でないとアイデアはわいてこない、という。ホンダが大きく発展したのは、一人ひとりの創造力と得手や持ち味を十分伸ばしたからだった。

③   得手に帆を上げよ

本田は「鍛冶屋」の息子である。父親が真っ黒くなって、機械づくりをしているところで幼ない時から一緒に真っ黒くなって遊んでいた。機械いじりが飯より好きなのはこのためだ。生涯の仕事としても、この機械いじりを選んだ。

本田の持論は「得手に帆を上げよ」である。人間には得手、不得手がある。得手なものなら、進んでやるし、やればできるが、不得手や苦手なことは、やりたくないし、やってもうまくいかない。やはり「好きこそ物の上手なれ」である。

本田が社長になっても、ナッパ服で、真っ黒くなって工場で機械と取り組んでいると、人は陣頭指揮などと誤解する。本田は好きだからやっているだけの話である。

得手に帆を上げるために、本田は「社員は得意分野で能力を発挿せよ」といい「能ある鷹は爪を隠すな」とハッパをかけた。どのような能力があるのか、積極的にアピールしてくれなければ、上司だってわからないではないか。

会社も人間も「得手に帆を上げる」のが成功の道なのである。

④   能ある鷹はツメを誇示せよ

「能ある鷹はツメを隠す」という諺があるが、本田は「そんなに能力の出し惜しみしていたら、スピード時代の今日には通用しない。せっかくの手腕も宝の持ち腐れだ」と怒る。

 

「自分はこういう考え方をしている」とはっきり意思表示し、「自分は鷹だ」「自分は鳩だ」と、堂々と主張してほしい。

 

自分の個性を十二分に自覚して、表明できてこそ、立派な仕事もできるし、仕事に対する強い自信とプライドをもつこともできる。
世の中に無益なものはない。石ころだってセメントと、混ぜればコンクリートになる。能があるのに口をつぐんで、ツメを隠しておいて、人に評価されようというのは、虫がよすぎるーというのが本田の持論だ。

 

要するに、自分の主張をはっきり表明すること、自分の価値を理解させること、実力のある者は堂々とその実力を誇示せよ、本田らしい言葉だ。

 

⑤   怖いのは失敗することではなく、失敗を恐れて何もしないことだ

 

「新しい大きな仕事の成功のカゲには、研究と努力の過程で、九九%の失敗が積重ねられている」

とは本田の名語録の一つである。

何か新しいこと、成功に向かって試行錯誤していく過程で失敗は当然である。問題なのは「この失敗を恐れて、何もしないこと」である。なぜなら、失敗を恐れて何もしなければ、成功は絶対にあり得ないからである。

 

人は座ったり、寝たりしている分には、倒れることはないが、何かやろうとして立ったり、歩いたり、駆け出したりすれば、石につまづいてひっくり返ったりすることもある。例え、膝小僧をすりむいても、少なくとも前進である。「失敗するのが怖いんだったら、仕事をしないのが一番だ」

 

「失敗の理由をいくら考えても意味はない。それよりも、次にどうすればよいのかを考えろ」

 

⑥    需要がそこにあるのではない。我々が需要をつくり出すのだ

 

ウォークマンは、一時、若者のアクセサリーとなっていた。ソニーのある技術者が「こんなものがあったら、音楽好きの自分には便利だな」と思って作ったのが爆発的な大ヒット商品となった。本田の言う「常に需要はアイデアと生産手段によってつくり出すものだ」との典型である。

 

新商品ばかりではない。昔からあって、新たな需要がのぞめそうでないものも、やり方次第で新たな需要が生まれる。例えば、カサである。これなど、新規の需要など見込めそうもないと思われるが、戦後、コウモリ傘は爆発的に売れたが、すぐ生産過剰に陥って、メーカーはつぶれた。

 

次に折りたたみ式の傘が考案され、第二のブームが再び訪れた。そしてダメになった。

 

続いて、ボタンを押すと自動的にパッと広がるアイデアで第三の波がきた。本田の言う通り需要は潜在的にあるもので、新しいアイデアで、商品化に成功すれば、石油層にボーリングが到達した時のように、新需要は噴き出す。

 

 時間はすべての生命である

 

米国人ジャーナリストのソル・サンダースは「ミスター・ホンダ」という本田宗一郎の伝記を出版した。

そのサンダースが本田にインタビューした時、約束の時間に本田は息を切らしてやってきた。実際、本田は遅刻していなかったが、「遅くなって申し訳ありません。遅れそうな時は必ず連絡するのですが、渋滞に巻き込まれ…」と弁解した。

 

この話のあと、本田は「私は時間は命であると思ってるんです。約束の時間に五分遅れたら、相手の命を五分奪ったのと同じですからね」と語り、サンダースは感銘を受けた。本田は言う。

 

「どんな発明発見も他人より一秒遅れれば、もう発明でも発見でもなくなる。このような例は多い。だから寸秒の時間もおろそかにできない。寸秒の時間が、偉大な価値を左右する。現代では時は金以上の価値であり、すべての生命である」

 

トップは役員会に出席するべからず

 

本田は創業当初を除いて、役員会にはほとんど出席しなかった。昭和三十九年に役員室ができてからは副社長も顔を出さず、四人の専務に経営を任せてきた。

 

創業した本田、藤沢武夫らが出席すると、結論が二点に流れるのを嫌ったのである。会社を興す人と、盛んにする人間では考え方が違い、創業社長がいつまでもガンバっていると、会社のエネルギーは失われてしまう。このことを本田は身にしみて知っていたのである。  本田は言う。

「私と副社長は創業者で、途中からすべり込んだ経営者とは適って、偉大な権力を持っている。この偉大な権力を持って役員会に臨んでごらんなさい。役員たちはぼくらの話を聞いていて、どう発言すれば喜ばれるか、と考えるでしょう。はじめから筋書きはわかっちゃっているんですよ。

放っておきさえすれば、役員は経営に一生懸命になりますよ。役員会で決めた結果を聞いて、悪ければもう一度練り直してくれと、ひとこと言えばそれですむことですから」

 

 以下もダブルが<破天荒な本田の経営語録>である。

 

①   トップは役員会に出席するな

②  成功は失敗の回数に比例する

③  仕事の成功のカゲには、研究と努力の過程で、九九%の失敗が積み重ねられている

④    怖いのは失敗することではなく、失敗を恐れて何もしないことだ

⑤  失敗の理由をいくら考えても意味はない。次にどうすればよいのかを考えろ

⑥  頭は使わないと常識的になってしまう。頭を使って不常識に考えろ

⑦  需要がそこになるのではない。われわれが需要を作り出すのだ

⑧  「得手に帆を上げよ」「好きこそ物の上手なれ」

⑨  「社員は得意分野で能力を発挿せよ」「能ある鷹はツメを誇示せよ」

⑩  どんな発明発見も他人より一秒遅れれば、もう発明、発見でもなくなる。時間こそすべての生命である

 - 人物研究, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

日本リーダーパワー史(632)日本国難史の『戦略思考の欠落』(25) 『川上操六参謀次長と日清貿易研究所設立の荒尾精③ 日清戦争勝利の秘密―清国兵出兵の第一報をもたらした鐘崎三郎の活躍

日本リーダーパワー史(632) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(25)   …

no image
知的巨人の百歳学(124)ー『天才老人・禅の達人の鈴木大拙(95歳』-『長寿の口癖は「わしは死神と競走で仕事をする」★『死を恐れるのは仕事を持たないからだ。ライフワークに没頭し続ければ死など考えるヒマがない。死が追ってくるより先へ先へと仕事を続ければよいのじゃ』

知的巨人の百歳学(124)  『天才老人・禅の達人の鈴木大拙(95歳) …

『オンライン現代史講座/日本最大のク―デター2・26事件はなぜ起こったのか』★『2・26事件(1936年/昭和11年)は東北大凶作(昭和6ー9年と連続、100万人が飢餓に苦しむ)が引き金となった』(谷川健一(民俗学者)』

『2・26事件(1936年/昭和11年)は東北大凶作(昭和6ー9年と連続、100 …

no image
速報(45)『福島原発事故2ヵ月』悲惨を極める原子力発電所事故―終焉に向かう原子力講演①<小出 裕章>

速報(45)『福島原発事故2ヵ月、100年廃炉戦争へ①』 悲惨を極める原子力発電 …

『鎌倉から見る富士山絶景チャンネル』この冬一番の寒波の中で鎌倉材木座海岸からみた富士山とサンセット富士』2023年1月25日午後5時15分)

鎌倉から見る富士山絶景チャンネル この冬一番の寒波の中で鎌倉材木座海岸からみた富 …

no image
日本メルトダウンの脱出法(543)●「大飯原発判決、司法の姿勢転換点か」●「日本のエネ政策は世界に逆行= 飯田哲也氏」

       日本メ …

no image
<F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(215)>『共謀罪法案、森友、加計、防衛メモ問題などなど、底流で共通しているのは、権力者が、今の日本が置かれている複雑な諸問題を、誠実な言葉遣いで国民と向き合い率直に語ることを避けて来たこと。隠し事が多過ぎる。』★『日本も極右や極左、国際テロリストの標的になる事は時間の問題、 欧米やイスラエルなどの総合的なテロ対策技術を詳細開陳しながら、国民の理解を深めることが必要』★『ポスト安倍を語り始めた海外 ふさわしいのは自民・民進議員ではなく?』

<F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(215)>   都 …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(49)『米兵を異常犯罪に走らせたTBI(外傷性脳損傷)』★『格納容器,排気塔にフィルター無し』

 池田龍夫のマスコミ時評(49)   ●『米兵を異常犯罪に走らせたTB …

『オンライン講座・日本インド交流史の研究』★『大アジア主義者/頭山満」★『リーダーシップの日本近現代史』(307)★『インド独立運動革命家の中村屋・ボースを<わしが牢獄に入っても匿うといった>頭山満』★『★『世界の巨人頭山満翁について(ラス・ビバリ・ボースの話)』★『タゴールとの会見』

日本風狂人伝⑭ 頭山満・大アジア主義者の「浪人王」 https://www.ma

『Z世代のための日本近現代興亡史講座』★『米週刊誌「タイム」の表紙を飾った最初の日本人は東郷平八郎』★『日清戦争の英国商船撃沈事件「高陞号事件」で世界デビューした東郷平八郎』

2009/06/27 「日本リーダーパワー史②」記事再録  「タイム」 …