前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(61)◎『再稼動など「原子力規制委」の責任は重大』◎『「脱原発の灯 国会包囲」の市民運動』

   

 池田龍夫のマスコミ時評(61)
 
再稼動など、「原子力規制委」の責任は重大(83
「脱原発の灯 国会包囲」の市民運動(81
 
池田龍夫(ジャーナリスト)
 
再稼動など、「原子力規制委」の責任は重大(83
 
 衆参両院の議院運営委員会は8月1日、「原子力規制委員会」初代委員長として内閣が提案した田中俊一氏(前内閣府原子力委員長代理)を呼び、所信を聴取した。
 
 原子力規制委は、福島原発事故を反省して独立性の高い国家行政組織に基づく「3条委員会」と位置づけられ、大きな権限を持つ。各党は所信聴取を踏まえて党内で検討、8月上旬にも衆参本会議で政府人事案を採決、9月に発足させる予定だ。
 
 田中俊一氏は日本原子力研究開発機構の要職にあったため「原子力ムラの人物」との批判もあり、議運委に臨んだ田中氏は慎重な姿勢で質疑に応じた。
 先ず原発再稼動について「(政府の暫定的な)判断基準を含め、慎重に確認、評価する」と強調。再稼動に踏み切った大飯原発3、4号機(福井県)に関して「活断層があれば当然停止してもらう」と述べた。現在、大飯原発と志賀原発(石川県)についての活断層再調査が行われており、「活断層調査は事業者任せではなく、委員会として調査に加わっていく」とも語った。
 
 また「40年を超えた原発は厳格にチェックし、要件を満たさなければ運転させない姿勢で臨むべきだ」と述べ、規制委の透明性を守ることで、今までとは違う、事業者とは一線を画した行政ができる。基本的には原則すべて公開したい」とも強調した。
 
 「原子力規制委」は独立性を守って、安全対策の強化を目指してもらいたい。国民もまた、〝口先だけの対応〟を監視続けなければならない。
 
 
 
「脱原発の灯 国会包囲」の市民運動(81
 
 
 「脱原発の灯 国会包囲」――7月29日午後、「原発再稼動反対の抗議行動」は最大規模の市民運動に発展。霞が関から国会議事堂、首相官邸周辺は喧騒に包まれた。とにかく物凄い人並みで 主催者発表では延べ20万人が参加したそうだ。
 
夕方からは蝋燭やペンライトをかざしてシュプレヒコールを挙げる場面が「ユーストリーム」によって動画配信され、リアルな映像に舌を巻いた。市民13団体の協力が実ったもので、特定の政治色や団体色を排除した市民運動と言えるだろう。
                     
                  国会議員多数とドイツ「緑の党首」も参加
 
 7月16日の「脱原発・10万人大集会」について7月18日付本紙ウオッチ欄で取り上げたが、在京6紙の報道が真っ二つに分かれている実態が変わらなかったので、「ニュース価値」の観点から再度問題を提起したい。
 
29日の集会には、民主党の川内博史議員ら数人、河野太郎・自民党議員ほか志井和夫共産党議員、福島瑞穂社民党議員らも参加。亀井静香、田中康夫両議員らも駆けつけて、「再稼動反対」を口々に訴えていた。ドイツの「緑の党」党首が演壇で訴えた姿に感銘を受けた。このような場面が動画によって全国に一斉配信され、視聴者からはツイッターで反響が続々寄せられていた。 
 
                         朝日・東京新聞が1面トップ、読売など3紙は社会面ベタ扱い
 
この現象は、好むと好まざるとにかかわらず、日本社会の一断面をリアルに捕らえている。そこで7月30日付朝刊6紙を点検した。朝日新聞と東京新聞が1面トップ扱い。朝日は2面に詳報、東京は社会面トップに扱っていた。毎日新聞は社会面2番手扱いだった。他の3紙の扱いや如何に?読売新聞が第2社会面、日経新聞社会面、産経新聞が第3社会面に、すべてベタ扱いだった。
 
市民運動について、これほど鮮明に評価が分かれたことに驚かざるを得ない。NHKなどのテレビ放映も冷淡であるため、世の中の情報を遮断された一般国民が多いのではないか。
 
                                                                             日本にも「緑の党」誕生
 
7月28日、日本にも「緑の党」が結成された。ドイツの「緑の党」に触発されたもので、クリーンエネルギーを目指す「脱原発依存」の市民運動は、今後も高まるであろう。
「原発再稼動に反対する何万人もの波が国会を包囲した。震災前の日本には戻さないという強い意志が、戻そうとする既得権益者たちと激しくぶつかり合う。変えられない社会を変える。日本の将来を左右する闘いは続く」との東京新聞30日付「筆洗」の指摘に、共感する。
 
(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。
 

 - IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『昭和戦後の戦略的宰相の系譜講座』★中曽根康弘元首相の戦略とリーダーシップ』★『「戦後総決算」を唱え、国内的には明治以来の歴代内閣でいづれも実現できなかった行財政改革「JR,NTT,JTの民営化」を敢然と実行』★『「ロン・ヤス」の親密な日米関係だけでなく、韓国を電撃訪問し、日韓関係を一挙に改革し、胡耀邦氏と肝胆合い照らす仲となり、日中関係も最高の良好な関係を築いた、有言即実行型の戦後最高の首相だった』

    2019/12/14 &nbsp …

F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(24)』「プラハ(チェコ)は「ヨーロッパの魔法の都」「建築博物館の町」をぶらり散歩、その美の街に 息をのんだ①『「カレル橋からプラハ城へ」』

2015/06/19  『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッ …

no image
★5 日本リーダーパワー史(754)–『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争を英国『タイムズ』米国「ニューヨーク・タイムズ」は どう報道したか」②(11-20回)★『 戦争とは外交の一手段。<恫喝、罵倒、脅迫、強圧のケンカ外交で相手は参ると思って、日本を侮ったロシアの油断大敵>対<日本の礼を尽くしてオモテナシ、臥薪嘗胆、無言・沈黙・治にいて乱を忘れず、天機至れば『一閃居合斬りも辞さぬ』とのサムライ外交との決戦が日露戦争で、両国の戦略論、パーセプションギャップ(認識ギャップ、思い違い)をよく示している。』

  日本リーダーパワー史(754) 『世界史の中の『日露戦争』ー (英国『タイム …

●『三井三池炭鉱炭塵爆発から60年』敗れざる者の豊かさ──「三池」を抱きしめた「半未亡人」たち」ジャーナリスト 池田 知隆著<『現代の理論36号』(23年11月刊)>

戦後最悪の炭鉱事故・労災事故とされる三井三池炭鉱の炭塵爆発。死者458名、一酸化 …

『オンライン講座・日本はなぜ敗れたか、ベンチャーがなぜでないのかの研究』★『 日本の統一教育(文部省)の欠陥、「個性無視、型にはまった人間を粗製乱造した画一的な教育制度が日本を滅ぼした」★『いまも政府、文部省の中央直轄のダイバーシティー(多様性)無視の失敗教育を繰り返し、2度目の日本沈没寸前!』

   2015/04/26/終戦70年・日本敗戦史(67) …

『オンライン講座/日本興亡史の研究』★『末広鉄腸の『インテリジェンス①』★『1888年(明治21)、優勝劣敗の世界に立って、日本は独立を 遂げることが出来るか』★『<各国の興亡は第1は金力の競争、第2は兵力の競争、 第3は勉強力の競争、第4は智識(インテリジェンス)の競争であります』

2015/11/23 日本リーダーパワー史(610)記事再録 前坂俊之 …

no image
人気リクエスト記事再録 『百歳学入門(186 )』-百歳長寿社会へのお手本『世界ベストの画家・葛飾北斎(90歳)の創造力、晩年学こそ長寿力』★『北斎こそ世界を席巻した「ジャポニズム」「ジャパンアニメ」「ジャパンクール」の元祖である』

2011年1月15日執筆<超高齢社会のモデル> 世界ベストの画家・葛飾北斎―90 …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(93)「原発ゼロの今こそ、新エネルギー政策構築を急げ』『オスプレイ日米共同訓練の行方が心配』

  池田龍夫のマスコミ時評(93) ●「原発ゼロの今こそ、新エネルギー …

no image
  日本メルトダウン( 971)トランプ次期大統領誕生ー日本大ショック!「ピンチをチャンスにせよ」ーこれまでの米国他力本願から、 独立自尊、自力本願行動力で逆境を突破せよ

   日本メルトダウン( 971) トランプ次期大統領誕生ー日本大ショック、 「 …

no image
『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』-『国産スーパーコンピューター「富岳」が8年ぶりに世界一へ』★『コロナ防止対策の世界的な競争力ランキング(23カ国・地域の指導者の比較評価)で、日本の指導力は最下位に』★『『ガラパゴスアナログジャパン』の安倍政権の実行力はガラパゴス諸島に唯一生息する絶滅種族のゾウガメのノロイ歩みと重なって見えた』(7月15日)

『国産スーパーコンピューター「富岳」が8年ぶりに世界一へ』    前坂 …