前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

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「Z世代のための『人生/晩節』に輝いた偉人伝』★『日本一『見事な引き際の『住友財閥中興の祖・伊庭貞剛の晩晴学①『「事業の進歩発達を最も害するものは、青年の過失ではなく、老人の跋扈(ばっこ)である。老人は少壮者の邪魔をしないことが一番必要である』★『老人に対する自戒のすすめ』 

      2024/05/28

 

 日本リーダーパワー史(102)記事再録

 
        前坂 俊之(ジャーナリスト)
 
 日本の近現代史を振り返みると、責任感と大局観のあるリーダーがまことに少ないことを痛感する。太平洋戦争で戦った米軍の日本兵の印象は「日本軍で一番強くて優秀なのは兵隊、下士官クラス、上に行くほど無能になる。作戦、戦略を練っていた大将、トップクラスが最も無能。なぜなら負けるとわかっている無謀な戦争をしかけたのだから」という。
         
一般的な日本人、庶民はなかなか偉いが、上に行くほど、お粗末になり、責任を取らない。丸山真男以来カール・ウオルフレンらのいう総無責任体制と言われる『日本権力構造の謎』、『封建的中央集権官僚国家ニッポン』、『人間を幸福にしない日本というシステム』が150年間延々と続いているのです。
 
 幕末の英雄で、徳川幕府の幕引き役をつとめた勝海舟の有名な言葉がある。勝海舟が咸臨丸でアメリカに渡り、帰国すると老中から質問された。お笑い日本政治歴史学である。
「おれが始めてアメリカへ行って帰朝した時に御老中から『そちは一種の眼光を具えた人物であるから、定めて異国へ渡りてから、何か目をつけたことがあろう。つまびらかに言上せよ』とのことであった。そこでおれは『人間のすることは、古今東西同じもので、アメリカとて別にかわったことはありません』と返答した。
 
ところが『さようではあるまい。何かかわったことがあるだろう』といって再三再四、問われるから、おれも『さよう、少し目につきましたのは、アメリカでは、政府でも どこでも、およそ人の上に立つものは、みなその地位相応に怜悧(賢い)でございます。この点ばかりは全くわが国と反対のように思いまする』と言ったら、御老中が目を丸くして、『この無礼もの控えおろう』と叱りつけたっけ、ハハハハ……」と。
 
この日本的システムによって、沖縄戦の「ひめゆり部隊」の小女の手りゅう弾による自決みるまでもなく、下の者は責任をとって戦死、自決、自殺(年間3万人)していくが、今回の20年にわたる不況、経済失政の責任をとって辞任し政治家、官僚は1人もいないというトップ無責任体制『日本ミステリー』が、今も繰り返されている。
 
例えば戦争に敗れた場合、一国一城の主(あるじ)は城もろとも家の子郎党、討死、切腹、自決するのが戦国時代までは
通例であった。ところが、明治維新で敗れ、賊軍となった徳川幕藩体制のトップ、『最後の将軍』の徳川慶喜は大正2年まで生き延びて長寿を全うし畳の上で亡くなった。
会津白虎隊の少年たちは最後まで勇敢にたたかい、多くの戦死者をだしなが、敗れた総責任者の会津藩主・松平容保は生き延びている。函館戦争の大将・榎本武楊はその後、明治政府にとりたてられた。
名誉を尊び死を恐れぬサムライの真の姿とは程遠い、このザマである。坂本竜馬、西郷隆盛などはまさに例外的なサムライ、日本人なのである。
 
太平洋戦争も350万人以上の戦死者をだしながら、軍トップ、政治家らの果たして何人が戦争責任、敗戦責任をとったのか。陸海軍のトップらよりも、下士官のほうが東京裁判、BC級裁判では何十倍も死刑になっているのだ。
特に「生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずかしめ)を受けず」(戦陣訓)で軍人・民間人の無意味な自決を強制した東條英機自身が拳銃自殺用に左胸にマークをつけながGHQのMPに逮捕される寸前に撃ち損じるという大チョンボを演じる。軍人トップがこのザマ、まるでマンザイである。
 
 昭和戦後の高度経済成長、経済大国への道も、こうした日本的な失敗する体制の中で「過労死しても働き中毒のサラリーマン、まるでかわらぬ日本軍と同じ死してもやまん、トップは陸軍大学の成績順で大将まで上り詰める、学歴主義、年功序列、無能力主義で、トコロテンの出世でつくられた無能リーダーたち」という構図の中で、1990年まで日本経済はバブルの坂を上りつめた。そして破裂!。
それ以降のグローバリゼイションのなかで真っ逆さまの日本没落、気がつけば経済低迷の泥沼に沈むばかり、自ら変えられない、

脱皮できない蛇は死ぬごとく、まさに自業自得。

戦後、自民党一党支配が半世紀にわたって続き、その政治失政が今日の日本沈没を招いたが、自民党とそのリーダーたちの1人として失敗の責任を総括し、自決、辞任、蟄居、謹慎、反省をするこよなく、こんどは野党席で民主党のあらさがしの『政治ゲーム』に奔走している。まさに自覚なき亡国の政治家たちであろう。権力の総無責任体制は150年変わらず未だ続く。
 
そして20年、『国を変えてくれ』『チェンジ』の期待の中で生れた民主党政権のトップのリーダーシップはどうだったのか。メディアを通じて失望という名のドラマを国民は毎日うんざりこんとみせられた。鳩山前首相、小沢一郎らの無能、無責任の『3文役者ならぬ3文政治家」の永田町C級ドラマが再び繰り返されている。いい加減にしろよ。
引退すると言う前言をコロコロかえて大学学芸会(学園祭)に得意げに出ている・鳩山前首相(何を考えてるのか、宇宙人)全く情けない。田中角栄と同じヤミ将軍になりそこねて、冤罪、無実と逃げまわっている愚かなボス・小沢一郎の何とみっともないことか。
小沢を支持している国益のことなど全く考えず派閥、省益、自分益のみの自分党国会議員、子供政治家の何と、多いことか。
 
そして、超高齢化社会に突入した現在、ますます無能な口害(妄言不実行)、老人リーダーがいつまでも権力にしがみついて、若者の機会と成長を邪魔している。日本の活性化と若返りのためにも、この老害たちは一刻も早く除去しないと、一国を潰してしまう。
いまこそ住友財閥の中興の祖・伊庭貞剛の見事な引き際を見習うべきであろう。明治の貧乏新興国日本のリーダーたちは偉大だった。
 

 - 人物研究, 健康長寿, 現代史研究

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