ジョーク日本史・禅語は落語以上におもしろい
2009,05、10 前坂 俊之(愚魚)
ジョーク日本史・禅語は落語以上におもしろい
仙厓義梵(せんがいぎぼん)編①

仙厓はジョークの達人
1・・
仙厓が美濃(岐阜)の清泰寺に住職していた時のこと。金森美濃守による藩政は乱脈を極めていた。そこで家老職を更迭してなんとか刷新を図ったが、いっこうに政道は改まらない。
これを見ていた仙厓はさっそく狂歌一首を詠んだ。
よかろうと思う家老が悪かろう
元の家老がやはりよかろう
これが、早速、その悪家老の耳に入ったからたまらない。
「清泰寺の坊主、僧の身にありながら、ご政道に口出しするとは不届き千万」
と、国外追放の厳罰を言い渡した。しかし、仙厓はいっこうに平気の平左の屁の河童。使いの役人を前に、また狂歌一首をひねった。
傘(からかさ)をひろげて見れば天(あめ)が下
たとえ降るともみのは頼まじ
仙厓は飄然と美濃国を出たが、それ以来、二度も美濃に戻ることはなかった。
2・・・・
ある時、仙厓は江戸から博多への帰途、箱根の関所にさしかかった。ところが、どう見間違えたのか、番所の役人が和尚を「尼僧か、面を上げい」と問いただした。
すると、仙厓は無言のままやにわに衣のすそをたくし上げて、股間の一物を突き出しては、カッカッと大笑。度肝をぬかれてロあんぐりの役人を尻目に、すたすたと関所を通りすぎていったとさ・・・。
3・・・・・・
仙厓は博多の聖福寺の住職となっていた時のこと。福岡の藩主・黒田播磨守は、菊の花が大好きであった。このため、城中の庭園には色とりどりの菊花が栽培しては楽しんでいた。もし、誤って家臣が菊の花を折りでもすると、厳罰を下していた。家臣たちは菊にさわらぬ神にたたりなしで戦々恐々としていた。
ところが、小姓のひとりが誤って大輪の枝を折ってしまった。案の定、黒田侯はカンカンに怒り、さっそく閉門を申しつけた。小姓は悲観のあまり、切腹を決意した。この話を聞きつけた仙厓は早速、この小姓を訪ねて言い渡した。
「武士たる者が、菊、の花一本ぐらいで犬死にして何になる。ここはわしにお任せあれ」と自決を思いとどまらせた。
その夜、こっそりと城中の菊園に忍び入ると、何を思ったか、今を盛りと咲き競う菊花を片はしからカマで切り倒してしまった。
あやしい物音に気づいて出て来た黒田侯は、びっくり仰天、刀を引き抜いて、
「おのれ曲者、何やつじゃ」
と切り殺す勢いで迫ると、何と日ごろから敬愛している仙厓和尚ではないか。
「和尚、気でも狂うたか。何をしておるか」と怒り、ただすと、仙厓は平然として
「こんな草でも、こうして刈り取って積んでおけば、何かの時には埋草(城攻めの時、堀を埋めるのに使う草のこと)ぐらいにはなりますぞ」
<足軽小者であっても、日ごろ目をかけておけば、必ずいざという時には役に
立つものだ、と諭したのである。>
明君といわれた黒田侯はすぐに悟って、
「いや、和尚、わしが間違っていた」
と、さっそく閉門を許し、その後は好きな菊の栽培もやめてしまった。
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