知的巨人の百歳学(145 )-声楽家・中川牧三(105 歳)-『生涯涯現役/健康長寿法、「好きなことを好きなようにやってきたら、いつの間にか100歳を迎えていました」
知的巨人たちの百歳学(130)
<105歳 声楽家・中川牧三の生涯現役/健康長寿法>
105歳 声楽家 中川牧三 (1902年12月7日~2007年2月6日)
日本におけるイタリア・オペラの草分けで、百歳を過ぎてもなお現役としてオペラを指導している。
若い頃からヨーロッパへ留学し、戦前は世界を舞台にテナー歌手として活躍。2005年にイタリア政府より日本人初の『連帯の星』最高位の勲章「グランデ・ウフィチャーレ勲章」を授受した。長年日本イタリア協会会長も務めた。
104歳になっても歌のレッスンを欠かさない。
弟子は大学の教授から20代の若者まで多数おり、多いときには月に10回もこなす。熱が入ると発声やオペラ・アリアを2時間ぶっ通しでやり、弟子たちが音をあげることもあるというから驚きである。
特別な健康法はしていない。「好きなものを好きなだけ食べて飲む」
と言うように、104歳になったときもフォアグラ、魚料理、ステーキ、デザートのフランス料理をたいらげ、出されたビールやワインも飲み干す。食欲はさして衰えていない。朝食には砂糖をかけたトマトが定番であり、意識的に肉(動物性たんぱく質)を摂っているだけだという。
声を出すことを職業にしている音楽家、政治家、俳優らに長寿者は確かに多いが、中川の場合も声楽家である。
発声による複式呼吸が老化防止に役立ち、歌うことでストレス発散、精神安定が長寿につながったのでは。
そもそもオペラを含めた音楽への情熱は半端ではない。
日本のオペラはまだまだ発展途上で、本物に一歩でも近づくために若手音楽家の指導、教育に力を入れる。これが心の張り合いにもなっている。そういえば中川は大変なおシャレ。
イタリア仕込みの粋なファッションでよく現らわれ、イタリアに赴くときには若いガールフレンドとのデートを楽しみにしているとも。
まさにかくしゃくたる生き方を謳歌しているセントナリアン【百寿者】である。