前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

知的巨人たちの百歳学(181)記事再録/<料理研究家・飯田深雪(103歳)の生涯現役/健康長寿法>「毎日を創造する気持ちで過ごす生活に飽きはこない」「すべては祈りによって与えられた大きな恵みです」

   

2015/10/13/知的巨人たちの百歳学(129)の再掲載

103歳 料理研究家 飯田深雪(1903年10月9日~2007年7月4日)
昭和20年、終戦直後から焼け跡の仮住まいで造花(アートフラワー)教室を開校。

日本のフラワーデザインの創始者。

海外暮らしの経験を活かして西洋料理ばかりでなく、テーブルセッティングやマナーの普及にも貢献した。NHKテレビの「今日の料理」では初期から講師を務めていたが、100歳を記念して同番組に特別出演、見事なビーフシチューを作って健在ぶりを示した。

101歳のときにはテレビのインタビューで「老後は南の島に行って住みたいですね」と答え、周囲の人々を笑わせている。彼女いわく「自分は少しも歳をとった気がしないの。心に年齢はないのね」。毎日が忙しく刺激的であり、それがこの言葉となった。

幼い頃は病弱だった。結婚生活は辛いだけのものだった。

彼女自身、長生きできるなどとは思ってもいなかった。だが、聖書との出会いによって生きる希望と勇気を与えられた。「朝起きると朝食までの二時間ほど聖書を読んで過ごしています。私の暮らしは祈りなくしては一日も立ち行きません」と、信仰が心の支えになった。さらに使命感と心の安らぎを信仰から与えらのである。

「どうすれば自分自身の心の満足が得られるのかと検討したりするのではなく、自分は今、何を果たすべきかを第一に考え実行するとき、不思議に心に充実感がもたらされ幸福感がみなぎります。この心の喜びが健康にもよい結果を招くのです」。

「神への祈りを知らない人は必ず孤独感があり、体に悪い影響を与えます。憂いは肺を犯し、憤りは肝臓を隆起させ、悲しみは心臓を悪くすると医師も断言しております。

目に見えるものばかり、あるいは物にのみ依存していては、決して心の平安を得ることはできないのです」。

「最高のマナーはまわりの人たちへのあたたかい心づかいです」
健康的な食生活とは?の質問に「自分の暮らす土地で育った季節の野菜や果物を食べること」と答え、これが料理教室の講義の柱となっている。
各国、各地それぞれ気候風土が異なり、その気候風土に応じた食べ物が土地から収穫され、それを地元の人々が食べることは大自然の摂理に従っている。生涯、勉強家であった。
「勉強くらい人生を明るくし、人間らしい充実感で充たしてくれるものはない。若かろうと年老いていようと、自分の現在の立場や職業を天職・使命と考え、とことんまで自分の分野を勉強することがもっとも正しい道だ」。
マナー上手は人生上手となる。「マナーとは本来、あれは違うこれは間違いなどとこだわるのではなく、人の気分を損ねないように、その場の大勢に合わせることなのです。教養の低い人ほど一つのマナーに固執し、別のマナーがあることを知らずに恥をかくのです。虚栄心がなく、あるがままに、精一杯もてなそうとする心が伝われば、私たちは自然とその人に好感を抱くようになり、その人は愛に包まれて幸福に過ごすことになる」。

生前の口癖は「天国は素晴らしいところ。花が咲き乱れ、父や母に会えるのも楽しみ。死ぬことに何の不安もない」。今ごろ、天国で旧知の人々と再会し、どんな会話を楽しんでいるのだろうか。
時間があれば新聞5紙に目を通し、世界情勢をテーマにした本を読み、内外の情勢に目を光らせる。それらの情報は料理、マナーにも無縁ではないし、異文化、異国人を理解するためにも必要なことだからだ。
今でいう地産地消である。むやみやたらと外国産の食べ物に依存する危険性を飯田は早くから指摘していた。「日本人は米穀をもっと大切にすべきです。でないととんでもないしっぺ返しをくうでしょう」と。

 - 人物研究, 健康長寿, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
速報(179)『日本のメルトダウン』動画『TPP・政治・原発を一刀両断する」(ジャーナリスト3人会)11/4』(50分)

速報(179)『日本のメルトダウン』   動画『TPP・政治・原発を一 …

日本リーダーパワー史(694)(再録)-150年、日中友好、対立、戦争の歴史裏面史ー 「五百年に一人しか出ない男」ー日清貿易研究所を設立した荒尾精

日本リーダーパワー史(694) (再録)-150年、日中友好、対立、戦争の歴史裏 …

no image
「プラゴミ問題」(プラスチックスープの海)ー今すぐにでも取り組まなければ「海洋国家日本」「魚食民族日本人」の明日はないと危惧する 

  「プラゴミ問題」(日本海はプラスチックスープの海)         …

no image
日本リーダーパワー史(459)「敬天愛人ー民主的革命家としての「西郷隆盛」論ー中野正剛(「戦時宰相論」の講演録①

 日本リーダーパワー史(459) 「敬天愛人ー民主的革命家としての「西 …

no image
百歳学入門(77)ウナギ狂で老らくの恋におぼれた斎藤茂吉(71)と晩年長寿の斎藤茂太(89)

                               …

no image
日本興亡学入門②『グロバリゼーションで総敗北するガラパゴス・ジャパン』

日本興亡学入門 ②                                …

no image
★『地球の未来/明日の世界どうなる』< 東アジア・メルトダウン(1078)>『日本は「朝鮮半島」に深入りするべきではない 今後の日韓両国関係の在り方とは?』★『北朝鮮問題で今後起こりうる3つのシナリオ 武力衝突か直接交渉か、クーデターは薄い』●『安倍首相、NYタイムズに寄稿…「北との対話は意味がない』★『北朝鮮暴走に対する中国の見解――環球時報社説から』●『北朝鮮の核実験、今後は頻発する公算大』

  ★『地球の未来/明日の世界どうなる』 < 東アジア・メルトダウン(10 …

no image
115年前ー1896年(明治29)、三陸沖大津波では最高30メートルの津波で、岩手、宮城県で2万7千人が死亡

115年前ー明治29年三陸沖大津波で30メートルの津波、2万7千人死亡 &nbs …

日本リーダーパワー史(671) 日本国難史の『戦略思考の欠落』(53) 「インテリジェンスの父・川上操六参謀総長(50) の急死とその影響➁ー田村 怡与造が後継するが、日露戦開戦4ヵ月前にこれまた過労死する。

 日本リーダーパワー史(671) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(53)   …

オンライン講座・百歳現役学入門― 団塊世代は元気な百歳をめざそう, <健康長寿、社会貢献の秘訣は』★「少くして学べば、則ち壮にして為す有り。壮にして学べば、則ち老ゆとも衰へず。老いて学べば、則ち死すとも朽ちず」(佐藤一斎)』

 2018/04/14『百歳学入門(198)』再録 前坂 俊之(ジャー …