前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

百歳学入門(73)沢庵禅師(73)の『剣禅一致』ー心海持平なる時、前に敵なく、後ろに物なし。無の境地じゃ>

      2021/05/14

 百歳学入門(73


吉川英治創作の宮本武蔵の師・沢庵禅師(73)の『剣禅一致』

<打とうと思わず、打たじとも思わず、心海持平(しんかじへい)

なる時、前に敵なく、後ろに物なし。ここが無の境地じゃ>

 

前坂 俊之

(ジャーナリスト)

 

沢庵 宗彭(たくあん そうほう)は天正元年121日(1573)――天保21211日(1646127)、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての臨済宗大徳寺住持。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%A2%E5%BA%B5%E5%AE%97%E5%BD%AD

 

 

不動智神妙録

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E5%8B%95%E6%99%BA%E7%A5%9E%E5%A6%99%E9%8C%B2

 

この書は沢庵が執筆した剣法(兵法)と禅法の一致(剣禅一致)」についての書物である。『心が一つの物事に捉われれば(意識し過ぎれば)、体が不自由となり、迷えば、わずかながらでも心身が止まる。
これらの状態を禅の立場から良しとせず、達人の域に達した武人の精神状態・心法を、「無意識行動」かつ心が常に流動し、「迷わず、捉われず、止まらず」であることを説く。

 

沢庵禅師はこういっている。

 

『心というものは、ころころと転がるものじゃ。自由のものじゃ。行きたいところにゆき、停まりたいところに止まる。

 

そこでこの心を引きしめてかからねばならない。

 

一心不乱というのが、それを、剣でいえば、剣を学ぶこと以外に、心をちらさぬ。心を乱さぬ。寝ても起きても、そればかりに夢中になる。

 

これがぜひとも必要なことじゃが、さりとて、これをひっくくっておいては至極不自由なものとなる。

 

たとえて申すと、雀の子を捕らえて困るというので、猫を縄で縛っておくよぅなものじゃ。

それは誰でもすることじゃ。だが、この猫にしつけさえすれば、縄でくくつておかずとも、雀の子は捕らえない。

 

いや雀の子と一緒に遊ぶようになる。そうなると、しめたもので、このとき、猫なく、雀の子なく、したがって心が自由な働きをすることになる。

 

俗人の心というものは、たいていは雀の子を捕らえる心配がある猫のようなもので、これをひっくくっておかねばならない。

 

禅の修行を志したなら、雀の子と一緒に遊んでも間違いの起こらぬ猫のような心とせねばならない。

 

縛られていたものが自由になるので、はじめて心が心の働きをする。そこが無の世界じゃ。剣法についていえば、敵を打とうと思うのは、猫が縄を引き切って、雀の子を捕ろうと焦るのと同然さ。

 

さりとて、また打つまいと思うのもいけない。これは雀の子と遊んでやるぞとわざとらしく構えるのと同然。そのわざとらしさがよろしくない。

 

打とうとも思わず、打たじとも思わず、心海持平(しんかいじへい)なるとき、前に敵なく後ろに物なし。ここが無の境地じゃ』

 

 

 聞けば、そうかなと合点されるが、さて実際になると、そうゆくものでない。禅は、書を読んだからというて、師の指導をうけたからというて、それで大悟徹底するものでない。血の出るような体験の産物なのじゃ。

 - 人物研究, 健康長寿 , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
現代史の復習問題/「延々と続く日韓衝突のルーツ⑧』記事再録/1894(明治27)年7月13日付『英国タイムズ』『(日清戦争2週間前)「朝鮮を占領したら、面倒を背負い込むだけ』★『日本が朝鮮を征服すれば,この国が厄介きわまりない獲物であることを思い知らされる一方,中国にはいつまでも敵意を抱かれることになる』

『中国紙『申報』などからみた『日中韓150年戦争史』㊽『英タイムズ』「(日清戦争 …

no image
知的巨人たちの百歳学(112)-『早稲田大学創立者/大隈重信(83歳)の人生訓・健康法ー『わが輩は125歳まで生きるんであ~る。人間は、死ぬるまで活動しなければならないんであ~る』

  『早稲田大学創立者・大隈重信の人生訓・健康法― ➀語学の天才になる …

no image
日本リーダーパワー史(856)「国難突破解散」総選挙の結果は23日未明には確定する。」★『朝鮮半島有事と今回の3度目の冒頭国会解散の意味と歴史類似性を検証する』

  日本リーダーパワー史(856)   安倍首相が「国難突破 …

★『Z世代への遺言・日本ベストリーダーパワー史(4)浜口雄幸物語④』★『アベクロミクスの責任論と<男子の本懐>と叫んだ浜口雄幸首相は「財政再建、デフレ政策を推進して命が助かった者はいない。自分は死を覚悟してやるので、一緒に死んでくれないか」と井上準之助蔵相を説得した』

2019/10/23  『リーダーシップの日本近現代史』(112)』記 …

『オンライン講座<イラク戦争から1年>『戦争報道を検証する』★戦争報道命題①「戦争報道はジャーナリズムのオリンピックであり、各国メディアの力量が問われる。★⓶『戦争は謀略、ウソの発表、プロパガンダによって引き起こされる』★『➂戦争の最初の犠牲者は真実(メディア)である。メディアは戦争を美化せよ。戦争美談が捏造される』

  2003年12月5日<イラク戦争から1年>―『戦争報道を検証する』 …

日本リーダーパワー史(814)『明治裏面史』 ★ 『「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス㉙『日本史決定的瞬間の児玉源太郎の決断力』★『2階級降下して参謀次長になり、この機会(日露戦争開始4ゕ月前)に起って、日本は文字通り乾坤一擲の大血戦をやる以外に途がない。不肖ながらわしが参謀次長として蝦蟇坊(大山厳)の忠実なる女房役になろう』

   日本リーダーパワー史(814)『明治裏面史』 ★ 『「日清、日露 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史(17)記事再録/ガラパゴス日本『死に至る病』―国家統治/無責任欠陥体制『大本営』『大本営・政府連絡会議』『最高戦争指導会議』 『御前会議』の内幕

   2017/08/16日本敗戦史(46) &n …

『日中歴史張本人の 「目からウロコの<日中歴史認識><中国戦狼外交>の研究②』★「袁世凱の政治・軍事顧問となった坂西利八郎(在中国25年)が「日中親善・衝突・対立・戦争の歴史ネジレ」について語る②』

    2014/11/25  記事再録 …

『ウクライナ戦争の終わらせ方の研究①★『独裁者・プーチンが核兵器発射で脅している戦争を終わらせるのはなお難しい』★『太平洋戦争を鈴木貫太郎首相と昭和天皇の<阿吽の呼吸>で玉音放送で終結させた国難突破力は世界史にも例がない』

日本リーダーパワー史(746)歴代宰相で最強のリーダーシップを発揮したのは第2次 …

『日本の運命を分けた<三国干渉>にどう対応したか、戦略的外交の失敗研究』⑰』★『なぜ「黄禍論」は「日本禍」となったか 』★『W・K・フオン・ノハラ著、 高橋輝好訳『黄禍論-日本・中国の覚醒』(2012年)二冊を読んで、大変啓発された』★『三国同盟の主犯は在日ドイツ公使「マツクス・フオン・ブラント」だった』

 逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/11/17am700) なぜ「 …