知的巨人たちの百歳学(139)植物学者・牧野富太郎 (94)『草を褥(しとね)に木の根を枕 花を恋して五十年』「わしは植物の精だよ」
2015/11/11
知的巨人たちの百歳学(139)
『一億総活躍社会』『超高齢社会日本』のシンボルー植物学者・牧野富太郎(94)
-
『草を褥(しとね)に木の根を枕 花を恋して五十年』「わしは植物の精だよ」
94歳 植物学者・牧野富太郎 (1862年5月22日~1957年1月18日)
「日本の植物学の父」といわれた牧野が植物研究半世紀年を回顧して詠んだ歌である。「私は植物の愛人としてこの世に生まれてきた。草木の精かも知れんと自分を疑います。」(『牧野富太郎自叙伝』=長嶋書房)。
高知県佐川町の造り酒屋の跡取り息子。子どものころから大の植物が好きで小学校を中退、植物学にのめり込み、20歳から東京帝大理学部植物学教室に出入りして31歳で帝国理科大助手となるが、学歴がないために長く不遇に苦しんだ。
77歳で東大講師を退任するまで北海道から南は遠く台湾、さらに満州(中国東北部)まで足をのばして植物採集。三十歳のころ「ヤマトグサ」を世界に発表して以来、日本産の植物は約六千種だが、このうち千五百種を発見、記載するなど生涯、発見した新種は六〇〇種にのぼり、採集した標本は約五〇万という超人的、世界的な研究成果を上げた。
この間、生活は「火の車」となり学者貧乏の極地。助手時代は十五円の安月給で、牧野宅は子供が多く大世帯の上、標本箱で少なくとも八畳二間が必要なので、小さな家に住むわけには行かない。二、三年で借金が二千円を突破。
借金取りにおわれて家財道具が競売され、食卓すらなくなったことも。家賃が払えず、何度も家主から追いたてを食った。毎年、大みそかになると、本郷かいわいを引っ越す生活が長く続いて、計十八回も引っ越した。
借金取りを避けるため家の門に赤旗が出し、妻が借金とりが来ているという赤信号にして知らせて、赤旗をみると、牧野は家に入らず、まわりをブラブラして、帰るのを待ったという笑えないエピソードがある。
こうした貧乏ぐらしの中で、大学では万年、助手生活という不遇と戦いながら、前人未到の業績を上げたのである。
-
「わが姿 たとえ翁と見ゆるとも 心はいつも花の真盛り」
植物学者や本草学者には長寿者が多い。日本最初の理学博士で近代植物学の父と呼ばれた伊藤圭介(1803-1901)も98歳で、芸術家、学者らで好きなことを続けていると生涯現役の百寿者となるケースは、この本の中でも何人も紹介されている。中でも植物学者は、山野をフィールドワークして植物を採集するので、晩年まで元気になる。牧野は子供のころは病弱だったが、晩年まで健康だったのは「草木に恋して」山野を歩き、足腰が鍛えられたおかげだと述懐している。
そして、健康については86歳の時に生涯をふりかえり、次のように書いている。
学問のためにいつまでも自分の体力を支え行かねばならんと痛感し、特に心を平静に保つ事を大切にしている。私は老人、翁などと呼ばれるのが大嫌いで、
「わが姿 たとえ翁と見ゆるとも 心はいつも花の真盛り」の心境です。
食事は少食で何んでも食べる、胃腸が丈夫なのでよく食物を消化する。
昔は余り魚類を好きではなかったが、この頃はよく食べます。牛肉はスキだが、ニワトリはそうでもない。
コーヒーと紅茶は好き、抹茶はあまり飲まない。酒もタバコも嫌いで全く飲まない。
これが、どれほど健康に良かったか、この歳になっても少しも手がふるえず、字を書いても若々しく、また眼も良い方で老眼鏡は不用で、書いたり、精細な模写するとき場合も肉眼で描きます。
歯は虫歯なし、ただ、耳が大分遠くなって不自由です。頭痛、のぼせ、肩の凝り、体のだるさ、足腰の痛み
などは絶えてなく、指圧などは全く不用です。このように健康なので、別に養生法もしていないし、処世訓もない。
『いつまでも生きて仕事にいそしまん、また生まれ来ぬこの世なり
せば 何よりも貴とき宝もつ身には、富も誉れも願わざりけり』
Wiki牧野富太郎
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%A7%E9%87%8E%E5%AF%8C%E5%A4%AA%E9%83%8E
牧野記念庭園
http://www.makinoteien.jp/03-makino/
高知県立牧野植物園
http://www.makino.or.jp/dr_makino.html
関連記事
-
-
ハチャメチャ日本人列伝(36)ー『大正時代の不良少年NO1はサトウハチローだよ』★★『 転校十一回、落第三回、父親から勘当されること十七回。 ひどい時には一日二回勘当された」
ハチャメチャ日本人列伝(36) 大正時代の不良少年NO1はサトウハチローだよ …
-
-
『オンライン/長寿歴史学講座』★『徳川家康・秀忠・家光の三代将軍に仕え、徳川幕府250年の基礎を築いた史上最高の戦略家・南光坊天海(108歳?)の長寿法は『長命には粗食、正直、湯、陀羅尼(だらに)、御下風(ごかふう)あそばさるべし』
2018/11/13   …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(20』『オーストリア・ウイーンぶらり散歩④』『旧市街中心部の歩行者天国を歩き回る』★『ウイーン国立歌劇場見学ツアーに参加した。豪華絢爛、素晴らしかったよ』
2016/05/17 『F国際ビジネスマンのワールド・カ …
-
-
日本リーダーパワー史(951)-「ジャパンサッカー『新旧交代の大変身』★『パスは未来(前)へ出せ、過去(後)でも、現在(横)でもなく・』(ベンゲル監督)★『老兵死なず、ただ消え去るのみ、未来のために』(マッカーサー元帥)
2018/10/30/日本リーダーパワー史(951)記事再録再編集 ジャパンサッ …
-
-
日本メルトダウン脱出法(839) 【市場】いよいよ終わりの始まりが始まった」●「金融市場混乱の陰で拡大する世界経済への不安」「日本人の知的好奇心は20歳ですでに老いて、スウェーデンの65歳と同レベル」●「企業にはびこる「東大卒」至上主義に意味はあるのか?」●「日本では政治家に放送の政治的公平性を判断させるのか/鈴木秀美氏」
日本メルトダウン脱出法(839) 【市場】いよいよ終わりの始まり …
-
-
『オンライン/75年目の終戦記念日/講座』★『1945年終戦最後の宰相ー鈴木貫太郎(78歳)の国難突破力が「戦後日本を救った」』★『その長寿逆転突破力とインテリジェンスを学ぶ』
2015/08/05 日本リーダーパワー史(5 …
-
-
真紅の夕焼けの鎌倉湾に黒影の絶景の富士山が浮かぶ、カヤックが2隻(2023年5月9日午後6時ー材木座海岸より撮影
真紅の夕焼けの鎌倉湾に黒影の絶景の富士山が浮かぶ、カヤックが2隻(2023年5月 …
-
-
「Z世代のための日本リーダーパワー史研究』★『電力の鬼」松永安左エ門(95歳)の75歳からの長寿逆転突破力③』が世界第2の経済大国』の基礎を作った』★『人は信念とともに若く、疑惑とともに老ゆる』★『葬儀、法要は一切不要、財産は倅(せがれ)、遺族に一切やらぬ。彼らが堕落するだけだ」(遺書)』★『生きているうち鬼といわれても、死んで仏となり返さん』
2021/10/06 「日本史決定的瞬間講座⑫」記事再録 …
-
-
百歳学入門(57)スルガ銀行創業者・岡野喜太郎(101歳) 『欲を離れるのが長寿の妙薬』
百歳学入門(57) スルガ銀行創業者・岡野喜太郎(101歳)健康長寿法 …
