前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『F国際ビジネスマンのワールド・ウオッチ㉛』◎「BBCのネルソンマンデラの弔文記事“武闘派から一転、聖人君子の道へ”を読む①」

   

『F国際ビジネスマンのワールド・ウオッチ㉛』

 

◎「BBCのネルソンマンデラの弔文記事“武闘派から一転、

聖人君子の道へ”(12/5)―「南アフリカに内戦を齎さず、
アパ
ルトヘイトを廃止させ、多人種民主主義政治を導入した」①

  http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-22892784

<F国際ビジネスマンのコメント>

 

2013/12/15 マンデラ元大統領の国葬が執

  り行われ、12/10の追悼式には世界の首脳級100

  人が参列したと言う。南アに内戦を齎さず、アパルトヘ

  イトを廃止させ、多人種民主主義政治を導入した傑物へ

  の感謝、賛辞そして哀悼の表現は当然のことと思われる。

 

  歴史的外交と利害関係の深かった欧米からも、ともす

  れば敬して祭り上げる風潮が感じられ、遠い日本人には

  更にその風潮があるように思われるのは、思い過ごしで

  あろうか?

 彼の真価は、遠大な理想実現の為に、気の

  遠くなる様な苦しい獄中生活で持続した思索と悟りに

  ある。

  

  後継者不足で南アの将来を悲観する向きが増えている

  が、ネルソンマンデラ元大統領の本格的な蓋棺録が期待

  される。

 

 些か旧聞で申し訳ありませんが、BBCのネルソンマン
  デラの弔文記事、F氏コメントと全訳、原文をお送り
  します。周辺情報も集め、大変勉強になりました。

  NYTに匹敵する世界取材網です。昨年11月にBBC
  トンプソン会長がNYTの社長に就任していますが、文
  化がかなり似ているのでしょうね。

  訳していて、アフリカの土地勘が無く、往生しました。

 南アをよく知る友人が、後継がボンクラ、汚職まみれで、内戦
  の可能性ありと言っていました。マンデラ自身が「掃き
  溜めに鶴」を自覚していたでしょうから、どの組織も
  人材補給線の枯渇で苦しんでいます。GEの後継者育成
  体制の完璧さに学ぶべきです。全世界から候補者を選ん
  でいます。政界人材補給路の劣化が一番酷いのでは?


  http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-22892784

 

 

 

“武闘派から一転、聖人君子の道へ”

 Obituary: Nelson Mandela

5 December 2013 Last updated at 21:56 GMT

http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-22892784

<F国際ビジネスマンのコメント>

 

1.      筆者のFergal Keane氏は、1990年〜1994年迄

BBCの南ア駐在通信員として、マンデラ氏の27年間

の獄中生活からの釈放を手始めに、アフリカ民族会議

ANC)の議長就任、アパルトヘイト根幹法(人口登録法、

原住民土地法、集団地域法)の廃止、ノーベル平和賞受賞、

南ア初の全人種参加選挙と大統領就任など、

マンデラ氏の政治生活絶頂期に密着取材をしている。

BBC切っての南ア通と言われている。

 

. 指導者の誕生と大成に不可欠な、天賦の才能、父親か

  ら受け継いだ誇り高い反抗心、正義感そして一族王家か

  らの恵まれた指導者教育の後、アフリカ民族会議の共産

  主義運動、アパルトヘイト廃止運動、アフリカナショナ

  リズム等の洗礼を受け、急進的反政府運動、地下活動、

  長期投獄があり、釈放後一転した非暴力主義、多人種融

  和戦略に転換して民主主義体制の確立に至る迄、マンデ

  ラ氏の人格と政治的な偉業について、関係者の発言を元

  に簡潔に纏められている。個人、家庭生活の不遇は、こ

  の偉人に全人格を民主主義国家、新生南アの建設に提供

  させている証かもしれない。

 

. マンデラ氏は、アフリカ民族会議(ANC)の副議長在任

  中、1961年に「民族の槍」と称する軍事組織を作り

  最初の司令官となり、翌62年にエチオピアで自らイス

  ラエルの諜報組織モサドから軍事訓練を受けたと言わ

  れている。この年の8月に逮捕され、64年に国家反逆

  罪終身刑、27年間の獄中生活に入っている。

 

. 投獄される前の「急進的武力闘争主義」から、釈放後 の

  「非暴力全国民融和と多人種参加民主主義」へと大転換

  した彼の軌跡をその発言から整理してみよう。

 一言でいえば、マンデラ氏の過酷な獄中27年間は、彼を

 武闘派の強靭な俗人政治家から聖人政治家へと変身させた。

 

『現実認識と対立主義』から

 

a. 「人権を否定することは、その人間そのものを否定する  

  ことだ。飢えと搾取の悲惨な人生を強いることは、人間

  性を奪うことだ。だが我が国ではアパルトヘイトの制度

  の下、そのような恐ろしい状況がすべての黒人の運命だ

  った」

 

b. 「監獄で27年も過ごせば人生は無駄になったと人はい

  うかもしれない。だが政治家にとって最も重要なのは、

  自分の人生をかけた理念がまだ生きているかどうか、そ

  の理念が最後には勝利しそうかどうかだ。そして、これ

  まで起きてきた全てのことが、我々の犠牲が無駄ではな

  かったことを示している」

 

c. 「刑務所に入らずして、その国家を真に理解することは

  できない。国家は、どのように上流階級の市民を扱う

  かではなく、どのように下流階級を扱うかで判断される

  べきだ」

 

『非暴力融和主義』へ

d. 「生まれたときから、肌の色や育ち、宗教で他人を憎む

  人などいない。人は憎むことを学ぶのだ。もし憎しみを

  学べるのなら、愛を教えることもできる。愛は、憎しみ

  に比べ、より自然に人間の心にとどく」

 

e. 「遺恨の念は、毒を飲んでおきながら、それが敵を殺し

  てくれると期待するようなものだ」

 

f.  「自由に通じる容易な道が存在しないことは分かってい

  る。単独で行動したのでは成功できないことはよく分か

  っている。だから国家の和解のため、国家建設のため、

  新しい世界の誕生のために、一丸となって共に行動しな

  ければならない」

 

  http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-22892784

 

 

                             つづく

 - 現代史研究 , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『 2025年は日露戦争120年、日ソ戦争80年とウクライナ戦争の比較研究②』★『日露戦争でサハリン攻撃を主張した長岡外史・児玉源太郎のインテリジェンス②』★『山県有朋や元老たちの判断停止・リダーシップの欠如』

●山県有朋や元老たちの判断停止・リダーシップの欠如    日露戦争当時 …

no image
  世界も日本もメルトダウン(965)『日本政治「安定」の謎=河野龍太郎氏』●『  日本の大企業に蔓延する、思考の共産主義[樋原伸彦』●『華人系は嘘っぱち、ドゥテルテに騙されるな!―田中角栄元首相に重なる面が多いフィリピンの新大統領』●『(動画2分)ソ連に愛国的なロシアの歴史教科書 ソ連崩壊の記述は』●『オバマの腑抜けFONOP、“中国の”島に近づかず はるか沖合を通航するだけ、米海軍周辺からは怒りの声』●『トランプ「第3次世界大戦」発言の深層にあるもの』

  世界も日本もメルトダウン(965)     コラム:日本 …

『最悪の国難(大津波)を想定して逆転突破力を発揮した偉人たちの研究講座』★『本物のリーダーとは、この人をみよ』★『大津波を予想して私財を投じて大堤防を築いて見事に防いだ濱口悟陵のインテリジェンス②』★『野口恒の震災ウオッチ』東日本大震災の復興策にも生きる「浜口梧陵」の業績ーー復興策の生きた教材-』

2011/08/26  『野口恒の震災ウオッチ』記事再録 野 …

no image
日本リーダーパワー史(338)◎「此の一戦」の海軍大佐・水野広徳の『日本海海戦』の勝因論①」

日本リーダーパワー史(338)   ● 政治家、企業家、リー …

no image
『F国際ビジネスマンのニュース・ウオッチ②』3・11から1年ー「ニューヨーク・タイムズ」が日本の戦後民主主義に落第点をつけた

『F国際ビジネスマンのワールドニュース・ウオッチ②』 <3・11福島原発事 …

no image
『日本占領・戦後70年』昭和天皇の『人間宣言』はなぜ出 されたのか②『ニューヨーク・タイムズ』などの『占領政策と天皇制』の論評

・ 『日本占領・戦後70年』 「1946年(昭和21)元旦の天皇の『人間宣言』は …

『日本の運命を分けた<三国干渉>にどう対応したか、戦略的外交(外交の要諦 )の研究』㉑』★『三国干渉』後に川上操六はインテリジェンスをどう組み立てたか『日英同盟締結に向けての情報収集にエース福島安正大佐 をアジア、中近東、アフリカに1年半に及ぶ偵察旅行に派遣した」

2019/09/29 『リーダーシップの日本近現代史』(65)記事再編集 前坂  …

no image
日本リーダーパワー史(970)ー『政治家の信念とその責任のとり方』★『<男子の本懐>と叫んだ浜口雄幸首相は「財政再建、デフレ政策を推進して命が助かった者はいない。自分は死を覚悟してやるので、一緒に死んでくれないか」と井上準之助蔵相を説得した』

日本リーダーパワー史(970) 政治家の信念とその責任のとり方   統 …

no image
知的巨人の百歳学(131)-『石油王・出光佐三(95)の国難突破力/最強のリーダーシップ/晩年長寿力』★『『人間尊重』『つとめて困難を歩み、苦労人になれ』『順境にいて悲観し、逆境にいて楽観せよ』★『活眼を開いてしばらく眠っていよ』

2011/07/31記事再録/  日本リーダーパワー史(179) 『国 …

no image
日本メルトダウン脱出法(727)「年金では暮らせない“下流老人”を苦しめる格差の実態」●「ふらつく安倍政権を見て余裕が出てきた中国ー安保関連法案に想定外の逆風」

 日本メルトダウン脱出法(727)   年金では暮らせない“下流老人” …