前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

「英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など外国紙が報道した「日韓併合への道』㉑ 「伊藤博文統監の言動」(小松緑『明治史実外交秘話』)⑥『伊藤はハーグ密使事件は韓帝の背信行為と追及』

      2015/09/12

「 英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など外国紙が

報道した「日韓併合への道』の真実㉑

  「伊藤博文統監の行動」(小松緑『明治史実外交

秘話』中外商業新報社, 昭和2年刊)より)⑥

「伊藤統監は『今次のハーグ密使事件は、

正しく保護条約の違反なるのみならず、日本に

対する敵対行為である」と韓帝の背信行為を追及

伊藤は赫として怒り、首相李完用

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8E%E5%AE%8C%E7%94%A8

を招いて韓帝の背信行為を詰責した。

『前月,新内閣の組織された時に、吾輩は内閣諸公に向い、韓人中往々独立を唱う者あるも、独立の実を得んとせば、宜しく先づこれを得るのは良途に出でざるべからず、今日の如く無謀なる軽挙を敢てするは、これ即ち韓人自ら韓国を亡ぼすなりと警告したことは、貴下のよく記憶するところであろう。

今次の密使事件の如きは、正しく顕然たる保護条約の違反なるのみならず、日本に対する敵対行為である。韓帝既に自ら条約を破り宗国に向って叛を謀るとせば、日本は韓国に対し、直に戦いを宣するに十分なる理由を有するものである。

貴下は首相たる職責を以てこの旨を正式に光武帝に奏聞せられよ。』

平生は天空海濶(てんくうかいかつ)=度量が大きく包容力に富むこと=の襟度(きんど)―立場や考えなどの異なる人を受け入れる心の広さ­=を持っていた伊藤も、この時ばかりは辞色共に激越を極めた。李完用は、非常に恐縮した様子で、

『貴命の趣きは、必ず陛下に伝奏いたしまする。なお今回の事件は因を前内閣時代に発したるも、国王の失態はひいて内閣の責任に及ぶべきものなれば、我等ha惶惑(こうわく)=恐れ惑う=殆どなす所を知らず、責を引いて職を退くより外致し方なしと思っておおります。』

と決心の色を現したが、伊藤はそれを推し止めて、『他国なれば君主は悪事をなす能わずという格言の通り、内閣が君主の行為に係る責任を負うべき筋合であるが、韓国の現状の如く、光武帝が全然内閣に関係なき宦官雑輩を相手に、単独の行動に出づる場合においては、よし内閣が貴を引いて辞職すればとて、事態の解決を庶機すべきでない。現内閣は宜しく留まって善後処置を考慮せねばならぬ。』

と訓諭して李完用を帰した。同時に伊藤は総理大臣西園寺公望に電信を発し、『保護条約は外交上の管理権を我手に収めたるに過ぎず。内政に関する監督権をも併せ得るにあらざれば、将来かかる事変の頻発を防止するに由なかるべし。

この機に際し更に別約を結んで内政の監督を厳にする必要ありと認む。よってこれらの協議を遂ぐるために外務大臣林 董(はやし ただす)を急派せられたし。』と請求した。

西園寺は直に林 董に京城出張を命じ、林が七月十五日に東京を出発し十八日に京城に到着する予定である旨を返電した。

他方において李完用は統監邸を出るや否や即刻参内して光武帝に向い伊藤のいった通りを伝奏した。

しかし光武帝は、垂に伊藤が親翰事件を不問に附した前例に狃(な)れたさま(なれたようす)で驚かなかった。以後を慎しむことにすれば事が済むと、高をくくつておられたらしかった。

しかし、李完用を始め他の内閣員は、数日の後に外務大臣がわざわざ渡韓することになったと聞き、事態容易ならずと見て取り、早く当の責任者たる光武帝を退位させて伊藤の激怒を緩和しようと考え、林の到着する日取から二日前の十六日、光武帝に咫尺(しせき)=。視界がきかず、ごく近い距離でも見分けがつかないこと=し、譲位の止むなき事情を言上したが、帝は以ての外の事だとて耳をかさなかった。その日もまた閣員一同が林外務大臣の到着以前に御処決にならなければ、国家の大事となろうと諌争したが、光武帝は相変らず頑として動かなかった。

 - 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『オンライン講座・ウクライナ戦争の経過』★『ジェノサイド・ロシアの末路(上)』★『ロシアのウクライナ侵攻から2ヵ月』★『プーチン大統領の「核使用発言」』★『歴史は人類の犯罪と愚行と不幸の記録以外の何物でもない』

  ウクライナ戦争・ジェノサイド・ロシアの末路(上) 前坂俊之(ジャー …

no image
速報(378)『日本のメルトダウン』●『日本の新内閣:未来に背を向けて』●『外国人投資家の「安倍トレード」はまだ続く』(海外紙報道)

速報(378)『日本のメルトダウン』   ●『日本の新内閣:未来に背を …

no image
速報(315)◎『不確実性の雲:暗中模索する世界経済』●『心配すべきはChindown」だー中国経済の減速で損、得する国』

速報(315)『日本のメルトダウン』   ◎『不確実性の雲:暗中模索す …

no image
日本のメルトダウン(523)【社説】貿易赤字の教訓―現実から乖離するアベノミクス」●「TPP交渉の停滞、日本にとって問題」

 日本のメルトダウン(523) ◎【社説】貿易赤字の教訓―現実から乖離 …

no image
よくわかる日中韓150年戦争史ー「約120年前の日清戦争の原因の1つとなった東学党の乱についての現地レポート』(イザベラ・バード著「朝鮮紀行」より)

まとめ「東学党の乱について」各新聞の報道 イザベラ・バード著、時岡敬子訳「朝鮮紀 …

no image
<裁判員研修ノート⑨> 『無実を訴えて62年』―加藤新一事件の再審で無罪判決が下る

無実を訴えて62年―加藤新一事件の再審で無罪判決            前坂 俊 …

「Z世代への遺言」「日本を救った奇跡の男ー鈴木貫太郎首相②』★『ルーズヴエルト米大統領(68)死去に丁重なる追悼文をささげた』★『鈴木首相とグルー米国務省次官のパイプが復活』★『ポツダム宣言の受諾をめぐる攻防』★『鈴木首相の肚は聖断で一挙にまとめる「玄黙」戦略を実行 』

ルーズヴエルト米大統領(68)死去に丁重なる追悼文をささげた。 鈴木首相の就任1 …

no image
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』< 米国、日本、東アジアメルトダウン(1061)>★『トランプの今度の場外乱闘の相手は、「史上最悪の狂暴悪役・金正恩低国」北朝鮮で、互いの罵詈雑言の応酬はヒートアップし「第2次朝鮮核戦争!?」は勃発するのか①』★『トランプ真夏の世界スリラー劇場」第2幕のはじまりはじまり』

『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 米国、日本、東アジアメルトダウ …

no image
世界/日本リーダーパワー史(898)『米朝会談は5月に迫る!』★『5月の日米首脳会談でトランプが日本を切り捨てる可能性』●『 中朝“血の同盟”にトランプ氏激怒 軍事オプションに障害…「核・ミサイル開発」時間稼ぎ許す恐れも』★『コラム:北朝鮮の金正恩氏、「変心」は本物の可能性』

世界/日本リーダーパワー史(898)『米朝会談は5月に迫る!』 5月の日米首脳会 …

「Z世代のための日本リーダーパワー史研究』★『電力の鬼」松永安左エ門(95歳)の75歳からの長寿逆転突破力②』★『戦時下は「渇しても盗泉の水をのまず 独立自尊の心証を知らんや」と隠棲し茶道三昧に徹する』★『雌雄10年、75歳で「電気事業再編成審議会会長」に復帰』★『池田勇人と松永安左エ門の「一期一会」』★『地獄で仏のGHQのケネディ顧問』』

   2021/10/06/日本史決定的瞬間講座⑪」記事再録 …