前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

終戦70年・日本敗戦史(115)明治維新直後日本は清国、朝鮮との国交交渉に入るが難航、「中華思想」「華夷序列秩序」「小中華」『事大主義』対「天皇日本主義」の衝突②

      2015/08/03

    終戦70年・日本敗戦史(115) 

                                               <世田谷市民大学2015> 戦後70年  7月24日  前坂俊之 

◎『太平洋戦争と新聞報道を考える』

<日本はなぜ無謀な戦争をしたのか、どこに問題が

あったのか、500年の世界戦争史の中で考える>②

前坂俊之(ジャーナリスト)

オフィシャルサイトhttp://www.maesaka-toshiyuki.com/

  • 「太平洋戦争はなぜ起きたのか」-500年の世界史の中で考えないと全体像は見えない。

  • 明治維新直後日本は清国、朝鮮との国交の交渉に入ったが、難航する。清国の「中華思想」「華夷序列秩序」朝鮮の「小中華」『事大主義』対「天皇日本主義」の「自民族中心主義」(エスノセントイムズ)のギャップであった。

米国ペリー艦隊の来航(1853)が「鎖国で惰眠中の日本」を起こした。明治維新を実現し明治政府は、対外脅威にいかに対応するかで「国家戦略」(「富国強兵」「殖産振興」)を立案、実行した。同じく、清国(中国)、朝鮮(韓国)もこの侵略にたいしてどう対応したか、それまでの鎖国攘夷に一層固執して、正反対となった。その後の「日本興隆」、清国、朝鮮の亡国への運命を分けた。

・1853年(十三代将軍家定)ペリー米艦隊が浦賀に来たが、日本の教科書の明治維新はここから書き出しが始まる。 ところが、ロシア艦隊のプチャーチン艦長がペリーより先に日本へ開国を求めて競争できことはよく知られていない。ほほ1ヵ月ほど遅れて長崎に来航、幕府に修交互市および蝦夷方(北海道、樺太、千島)の境界画定を求める。これが日露交渉の始まりである。

当時のヨーロッパはすでに新聞が発展しており、世界中のニュースは報道されており、米国で日本に向けて、開国を迫る艦隊を派遣するニュースはヨーロッパでは公知の情報だったのである。オランダ国王はすでに数年前にこの情報を将軍に『オランダ風説書』で知らせていたのに、何の準備もしていなかったんである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3

翌・1854年(安政元。将軍家定)日米和親条約が調印され、ここに開国した。 ここから幕末動乱に突入、15年後の1868年明治維新となる。これからまた150年後が2018年、あと3年後は明治維新150年目となる、歴史の変転である。明治100年目は1968年は「明治維新を否定する」記念となったが、今度は世界史の中での「明治維新」として総合的に検証し、またこの時の志士たちのインテリジェンスをもう一度、再検証する必要がある。  

明治維新は世界史の奇跡】明治のトップリーダーは凄い! 世界的歴史家のHG・ウエルズやアーノルド・トインビーらは、明治維新を高く評価している。

18,19世紀の欧米列強によるグローバリズム(植民地主義)に蹂躙されたアジア、中東、アフリカの有色人種各国で、唯一独立を守り通したのは<明治日本だけ>である。

世界的歴史家のH・G・ウエルズやアーノルド・トインビーは『明治日本の躍進は世界史の奇跡』として賞賛しているが、肝心の日本は自国の歴史を知らず、トップリーダーを凄さを知らない「歴史自己過小評価病」に陥っている。 世界革命史の中で流血の最も少なかったのは明治維新(犠牲5万人)であり、ほぼ相前後して起きているフランス革命(490万人)、アメリカ南北戦争(100万)、ドイツ統一国内戦争(25万などとくらべると、日本人の民族性の発露としてこの点は押さえておく必要がある。そ 勝海舟、西郷隆盛の「江戸城無血開場」などは世界史の奇跡に値する。中東での戦争や、シリアのアサド政権そのたの崩壊と政権担当者の末路を見ていると、その国の民主度(話し合いができるかどうかの度合い)が示されている。

その明治維新を達成したのはーーー

その明治維新の志士たちは20の下級武士だったことは注目に値する。】

・明治維新時に最年長は西郷の40歳、大久保38歳、木戸35歳、明治天皇16歳。大隈重信(30)、幕臣側は勝海舟(45)、福沢諭吉(33) ・伊藤博文(初代首相)27歳、山県有朋(陸軍建設)30歳、 山本権兵衛(海軍の父)16歳、

桂太郎(日露戦争時首相)20歳、 松方正義(財政の父)33歳、・大山嚴(陸相、日露戦争時の 満州総司令官)26歳 ・児玉源太郎(日露戦争参謀次長)16歳、東郷平八郎(日本海海戦)20歳、

高橋 是清(外債募集に成功)14歳、 ・財界人は渋沢栄一(日本資本主義の父)28歳、岩崎 弥太郎(三 菱)31歳、中上川 彦次郎(三井の祖14歳)、ジャーナリストでは 徳富蘇峰は5歳

【以上ように革命、大改革は若者のエネルギーでしかできない、現在の「超老人大国」の日本は全く無理  

英国、ロシアの侵略で「日中韓」の運命は「風前の灯」に。日本は清国、朝鮮との国交の交渉に入った。

ところが、明治維新の4年前には1864年(文久3)、李氏朝鮮で大院君が仏人宣教師、8千人のカトリックを処刑。鎖国・排外主義を続け、その後の明治政府との修好条約も拒否、日本と対立する。

   明治政府は明治元年(186811月、朝鮮に修好

朝鮮・李王朝は長年の中華思想の影響で支那(中国)を宗主国と仰ぐ一方、「華夷序列」から、支那から遠く離れたベトナム、東南アジア、日本などは夷秋(文明化していない民族)と蔑む冊封体制(事大朝貢体制)をとっていた。

朝鮮国王・李太王の実父で実権をにぎっていた大院君は、こうした文化的優越主義(中華思想)にこり固まり、自らを「小中華」と称して日本を「東夷」と一段と低い野蛮国とみていた

。清国は朝鮮を「礼」によって書式、用語を厳しく統制していた。   明治元年(1868)12月、明治新政府は王政復古の内容を朝鮮に通告して修好を求めたが、国書の中に「皇」「奉勅」などの文字が入っていたのに朝鮮側は驚き、清国に伝わることを恐れ、国書を突き返した。

「皇」は清国皇帝しか使われず、天皇が朝鮮国王の上に立つことを意味したため、日本は朝鮮支配の野心があると誤解した。以後、何度も交渉に行くがその都度、面会拒絶、時間の伸ばしで交渉は進まず、日本側は征韓論(明治6年)が高まってくる。

  両国の異文化コミュニケーションギャップによって、朝鮮は「開国は内政干渉である」と強く反発した  

  • 「日韓和解のための歴史相互コミュニケーションー「最初の日韓衝突・壬午事変はなぜ起きたのか
  • http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/289.html
  • ●『日本リーダーパワー史(438)日米中韓150年戦争史ー第1次米朝戦争を勝利と錯覚、誤認した大院君の朝鮮、韓国①  http://www.maesaka-toshiyuki.com/history/1237.html
  • 『日本リーダーパワー史(439)日米中韓150年戦争史『征韓論の深淵』
  • 大院君は日本の外交関係などへとも思ってなかった 
  •  http://www.maesaka-toshiyuki.com/history/1238.html
  • 朝鮮の「反日的な姿勢」の歴史  

  • ①日本には千年の恨みがある「恨の思想」(倭寇、秀吉朝鮮出兵など)
  • ➁中華思想・華夷秩序の中で「小中華」として、東夷の小日本に中国文明を伝えたという優越意識、兄貴意識があり、日本を見下ろす「反日意識」
  • ➂強いものになびく事大主義に固まり中国を宗主国として長年仰いできた。
  • ④日中間の文化的同質性(漢字文化、仏教、儒教、宗教文化、服装・食文化)と異文化コミュニケーション、パーセプション(認識)ギャップ、歴史認識ギャップの3重のネジレ、すれ違いが「日清戦争」へ爆発する。
  • ⑤韓国・中国と日本は、地政学的に(1衣帯水)運命共同体の関係にあり、ロシアの侵攻に対して日中間で共同戦線を張ろうとしたが拒否され、中国からは敵国視。
  • ⑥は韓国の近代化改革を後押しするが、韓国の宮廷は内部抗争にあけくれ、親清国・攘夷派の「事大党」と開国・日本派の独立党の分かれて対立、テロを繰り返し改革は進まず、日本大使館は2度にわたって襲撃され、多数の犠牲者が出た。
  •   結局、朝鮮「小中華」の背景には「中華思想」がある。1000年間、中国宗主国として仰ぎ、その属国に安住し、東夷の日本を一段下と見下していた。
  •   中華思想・漢民族至上主義とは  

    「中華・華夷秩序」では「中国が世界の中心であり、首都から遠く離れた四方の異民族は蛮族として取り扱い動物扱いで四夷(東夷、南蛮、西戎、北狄)として差別、蔑称した。

  • 外国、かつての朝貢国や日本などの周辺の国々に対して中国流を押し付ける独善的な外交手段をとり、中国人の対外認識は依然として旧弊な「中華思想」から脱していない。
  •   東夷(とうい)東方の異民族を指す、日本人は東夷で倭の国、小日本、中国に朝貢しない東の野蛮人。
  • ・南蛮(なんばん)中国南方の少数民族や南方からきた西洋人などをさす。虫の同類。
  • ・西戎(せいじゅう)西方の異民族をさす。西域などの諸国など。羊の同類。
  • ・北狄(ほくてき)北方の異民族を指す。北方諸国。遊牧民族への蔑称。犬の同類。
  •  中華華夷秩序では朝鮮(小中華)は文明人日本人夷狄)は野蛮人

  1. 明治維新直後、朝鮮、清国と国交交渉に入るが難航したが、その原因は清国の「中華思想」「華夷序列秩序」朝鮮の「小中華」『事大主義』対「日本思想」の各「自民族中心主義」(エスノセントイムズ)の対立であった。いわば「文明の衝突」である。これ以降、現在までも日中韓150年戦争が続いている。

つづく

 - 戦争報道 , , , , , , , , , , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本リーダーパワー史(889)-NHKの『西郷どん』への視点<自国の正しい歴史認識が なければ他国の歴史認識も間違う>●『今、日中韓の相互の歴史認識ギャップが広がる一方だが、明治維新、西郷隆盛、福沢諭吉への日本人の誤認識がそれに一層の拍車をかけている』

日本リーダーパワー史(889)- NHKの『西郷どん』―自国の正しい歴史認識が …

no image
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』㉑「 日本か朝鮮を狙うのは有害無益なことを論ず」(申報)

      『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』 日中韓の …

『オンライン/2022年はどうなるのか講座➄』★『過去に固執する国に未来を開くカギはない。不正な統計データの上にデジタル庁を築いても砂上の楼閣』★『厚労省の不正統計問題(2019年2月)」は「不正天国日本」を象徴する事件、2度あることは3度ある<ガラパゴスジャパン不正天国病>』★『太平洋戦争中の<ウソ八百の大本営発表と同じ>」★『昭和の軍人官僚が国をつぶし、現在の政治家、官僚、国民全体が「国家衰退、経済敗戦」へ転落中であることを自覚していない』

2019/02/18  日本リーダーパワー史(969)記事再録 「厚労 …

「オンライン講座・日本興亡史」の研究」⑰』★『徳川幕府崩壊をソフトランディングさせた勝海舟(76歳)の国難突破力①『政治家の秘訣は正心誠意、何事でもすべて知行合一』★『すべて金が土台じゃ、借金をするな、こしらえるな』★『③ 『借金、外債で国がつぶれて植民地にされる』★『『昔の英雄、明君は経済に苦心し成功した』★『『他人の本を読んだだけの学者、専門家の審議会はダメ』(おれは学者が役に立たないということを、維新前からよく実験したヨ。学者の学問は、容易だけれども、おれらの無学の学間は、実にむつかしい』

  2012/12/04 /日本リーダーパワー史(350)記事再録 ◎ …

no image
 ★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日英同盟はなぜ結ばれたのか」⑤ 1902(明治35)年2月16日『露ジュルナル・ド・サン・ベテルスプール』- 『英日条約』に対抗『清国、朝鮮の独立と保全. その他のロシアの利益は大シベリア横断鉄道の 完成によって十分保証されている』●『2月19日『ノース・チヤイナ・ヘラルド』   日英同盟の成立ー『日本は地理的位置の問題を除けば,完全に西洋の国家である。』

 ★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日英同盟はなぜ結ばれたのか」⑤   …

no image
『リーダーシップの日本近現代興亡史』(219)/「2019年の世界と日本と地球はどうなった」(上)「米中貿易関税協議は一部で妥協したものの、米大統領選まで対立は続く」★『「香港選挙の勝利を確信していた習近平主席は大ショックを受け,誤判断した中国指導部も今後どう対応すればよいか混乱状態に陥っている」(香港大紀元』

2019年の世界と日本と地球①                          …

no image
 世界、日本メルトダウン(1035)–『朝鮮半島チキンレースの行方はどうなる』★『連日、報道されている北朝鮮情勢緊迫について、北朝鮮、米国、関係各国の情報操作、プロパガンダ、ニセニュースが横行中』●『戦争の最初の犠牲者は真実である』●『空母の朝鮮半島派遣でトランプ政権が釈明 「今は朝鮮半島に向け航行中」』★『北朝鮮のミサイル実験失敗、米軍のサイバー攻撃の仕業か』

 世界、日本メルトダウン(1035)– 『朝鮮半島チキンレースの行方 …

no image
 日中北朝鮮150年戦争史(41)『日中歴史復習問題』★「日清戦争の内幕ー中国人民軍(清国軍)もらった「売命銭」分しか戦わない、汚職腐敗軍隊。 中国3千年の歴史は皇帝、支配者の巨額汚職、腐敗政治であり、「習近平政権」(1党共産党独裁)にも延々と続いている。①

 日中北朝鮮150年戦争史(41)   日清戦争敗北の原因「中国軍(清 …

no image
日本リーダーパワー史(644) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(37) <戦争で最も重要なことは「インテリジェンス」第2は『ロジスティックス』である>(モルトケ戦略) ▶ 川上参謀次長は日清戦争2ヵ月前に「日本郵船」(近藤廉平)に極秘裏に用船を手配し、大兵をスピーディーに送り込んだ。

日本リーダーパワー史(644) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(37)   …

日中北朝鮮150年戦争史(6) 日清戦争の発端ー陸奥宗光『蹇々録』の証言②『頑迷愚昧の一大保守国』(清国)対『軽佻躁進(軽佻浮薄)の1小島夷(1小国の野蛮人)』(日本)と互いに嘲笑し、相互の感情は氷炭相容れず(パーセプションギャップ拡大)が戦争へとエスカレートした。

日中北朝鮮150年戦争史(6)  日清戦争の発端ー陸奥宗光の『蹇々録』で読む。 …