終戦70年・日本敗戦史(77)大東亜戦争開戦「朝日,毎日などの新聞紙面」ーフィリピン戦線ー「ミンダナオ島にも敵前上陸」 「マッカーサー司令官」マニラ退去」
2015/05/23
終戦70年・日本敗戦史(77)
大東亜戦争開戦の「朝日,毎日などの新聞紙面から」ー
フィリピン戦線ー「ミンダナオ島にも敵前上陸」
「マッカーサー司令官」マニラ退去」
マニラの婦女子全員避難〔昭和16年12月16日 朝日〕
〔ブエノスアイレス特電14日発〕 マニラ来電によれば、十四日の日本軍のマニラ軍事基地爆撃により米軍死者七十五名と負傷者三百名を出し、数棟のビルディングが破壊された。この空襲に参加した日本機は○○機だといわれる。
〔サイゴン十五日発同盟〕 当地で傍受したマニラ放送によれば、マッカーサー比島防衛司令官は十四日、マニラ防衛戦の第一回中間戦況を発表した。
一、今週中における日本軍の爆撃回数十四回。
二、ルソン島北方では両軍入り乱れて激戦中。
三、ニコルス飛行場は十四日、猛烈な空襲をうけた。
四、日本軍は十四日、レガスビ基地を空襲、米輸送船二隻大破した。
〔ブエノスアイレス特電十四日発〕 ワシントン発UP電によれば、米陸軍省は十四日、左のごときコミュユニケを発表した。
日本航空部隊はセプおよびクラークフィールドのわが飛行場を爆撃した。日本側が米軍の駐屯する地域外に臨時的な空軍基地を設置せんとする計画をもっていることは明瞭となった。なお右公表後、ハワイ方面の情勢につき、「日本軍の活動についてはその後なんらの報道なし」と述べた。
〔上海十五日発同盟〕 午後五時のマニラ放送は、十五日朝来日本軍の攻撃はもっぱら空軍の活動に移り、日本空軍は正午から午後にかけニコルス飛行場周辺一帯に無数の爆弾を投下したと報じている。
〔サイゴン十五日発同盟〕 十五日午後当地で傍受したマニラ放送によれば、マニラ市の婦女子は全部撤退することとなり、赤十字社は右に要する費用一千五百万ドルの支出を決定した。
ミンダナオ島にも敵前上陸〔昭和16年12月21日 朝日〕
(大本営陸海軍部発表二十日午後五時三十分) 帝国陸海軍部隊は緊密なる協同のもとに、本二十日未明、敵の抵抗を排除し、新たにミンダナオ島に上陸し、戦況有利に進展中なり。
〔上海二十日発同盟〕 マニラ来電によれば、米東亜軍司令部は二十日、「日本軍は多数の日本人が在住するミンダナオ島○○に上陸し、午前中、激戦が継続されたと信ぜられる」旨発表した。
邦人の発展地ミンダナオ島 ミンダナオ島はフィリッピン群島中ルソン島についで大きく、面積は九万五千五百八十七平方キロでわが九州の二倍強に当る。主ダパオに近く秀峰アポ山が火山系の美しきを見せている。コタバト、アグサン、ダパオ河の流域には肥沃な平野が散在しており比島地方特有の台風もなく気候は極めて良好で、農業に最も適している。
同島東部の大半は乾燥期がなく、冬には顕著な雨期となる。ダパオ州ほか七州よりなり、全人口約百二十万。同島には多くの原始種族が住んでいるが、パゴポ、マンダヤ、アノポの三種族は東部海岸とアポ山の周辺に住み、西部にはスパノンという種族が広範囲に分散している。
これらの原始種族は丘の斜面を切り拓き、玉萄黍(とう・もろこし)や陸稲などを植えて食用とし、また麻を植え、これで素晴らしく美しい毛鮭や敷物を織っている。またこれらの種族はほとんど全部偶像崇拝である。
同島の農産物としては米、砂糖、ココ椰子、綿などのはか、いわゆるマニラ麻は同島から産しており、鉱産として注目されるのはスリガオ州に埋蔵量五億トンを有する大鉄鉱床があり、その他にも良鉱があるといわれている。
石炭はサンボアンが州に産する。開港場としてはダパオ、サンボアンガの二港があり、ダパオは同島東岸ダパオ湾の奥にあってダパオ州の首府でもある。
明治36年、比島政府が百万ペソの巨費を投じて建設したベンゲット道路工事のため日本人一千五百人を移入し、この工事終了後、一隊がダパオに渡航して麻の栽培に当ったのを皮切りに邦人が続々と入り、戦前、ダパオは邦人の集団居住地として一万七千人の日本人が居を構え、その八割までがこの附近で麻の栽培に従事していた。
ミンダナオの日本人死傷七十余〔昭和16年12月23日
東京日日(夕刊)〕
比島ミンダナオ住邦人一.万八千名の安否が気遣われているが、二十二日、森領事よりの外務省宛て公電によれば、「二十日の皇軍上陸によって主要邦人は解放されたが、現在までに判明せる邦人の被害は死者三十余名、負傷者四十余名である」という。
米兵、邦人を機銃掃射〔00本社特電二十二日発〕
大東亜戦争開始以来、海に陸に空に皇軍の赫々たる大戦果に、米英の魔の手は次第に東亜から追い払われているが、この皇軍の米英打掛の大戦果に感謝する傍ら、われわれ銃後の思いは遥か敵地にあって、「日本人ここにあり」の意気を示している在留邦人の安否である。
皇軍は開戦以来、支那大陸の租界接収には恩威並び行ってこれを保護し、また香港島攻撃に当っては二回に亘って平和の軍使を送って、非戦闘員に無益な災害の振りかかるのを防いで来た。
しかるにこれに反して絶えず口に正義、人道を唱える米人が、実に天日ともに許さぬ鬼畜にも劣る残虐行為をわが居留民に加えた。
皇軍は去る二十日、比島ミンダナオ島に奇襲上陸を敢行、直ちに敵守備兵を撃退するとともに、日の丸を待つわが居留民一万八千人の救出に当った。驚くべし、鬼のごとき米兵はミンダナオ開拓の恩人であるわが同胞の一団に対し、機関銃の猛射を浴びせて、非戦闘員に危害を加えて退却した。
皇軍は目のあたりの非人道ぶりに痛憤しっつ、この邦人中の一万二、三千人を無事救出、同胞は血涙とともに輝く日章旗を仰いだが、更に神につかえる身の米宣教師でさえも、多年使用した邦人使役人十名に対して相当な被害を加えて居た事も判明、今更ながらヤンキーの本性たる残虐振りに茫然としたが、かかる行為は実にかの通州事件における支那保安隊の残虐ぶりに勝りても劣らぬ行為として、断然許すべ懲りざる行為である。
ミンダナオの首都ダパオを占領〔昭和16年12月24日 朝日〕
(大本営陸海軍部発表二十三日午後五時五十分) 二十日未明、ミンダナオ島に上陸せる帝国陸軍部隊は、わが海軍と緊密なる協同のもとに靭強なる敵の抵抗を粉砕し、同日午後五時、首邑ダパオを完全に占領せり。二十一日までに敵に与えたる損害は、俘虜約六百、敵の遺棄死体約二百なり。
「マッカーサー司令官」マニラ退去〔昭和16年12月25日 朝日〕
〔ブエノステイレス二十三日発同盟、マニラ来電〕 米東亜軍司令部は、マックァーサー東亜軍司令官はマニラを退去することになった旨、二十三日発表した。
〔プエノステイレス二十四日発同盟へ米国経由マニラ来電〕 皇軍の陸、海、空三方面よりするルソン島作戦はいよいよ高潮に達し、特にマニラ方面に対する圧迫は二十四時間来とみに深刻になったと報ぜられる。なかんずく皇軍航空部隊のマニラ襲撃は連日に亘り敢行され、二十三日午前も全市港湾地区を攻撃、
市庁舎その他に直撃弾を命中せしめているが、米東亜軍司令部もついに恐れをなして、同市の無防備都市宣言を考慮中であると発表した。
比政府、米軍司令部がマニラ撤遠〔昭和16年12月27日 朝日〕
〔ブエノスアイレス26日発同盟、マニラ来電〕 比島政府及びアメリカ軍政各機関は皇軍の猛爆に、ついに二十六日、マニラより移転を開始するとともに、ケソン大統領は大要次の通り声明した。
政府はマックァーサー東亜軍司令官の勧告により、政府を他に移すことに決した。余は軍司令部当局と協力、移転先より引き続き政務を掌握する。
一方セイヤー米高等弁務官も同時に次の通り発表した。
マックァーサー司令官の命により、政府の安全を期するため政府ならびに弁務官署を 他へ移転することとな.った。ただし必要な機関職員を残し、市の安寧維持にあたらせる。.最後の勝利を期して抗戦を続けることに変わりはない。
米軍、戦況危急を発表〔リスボン26日発同盟、マニラ来電〕 アメリカ東亜軍司令部は26日、マニラ撤退に先だち、最後のコミユニケをもって悲痛な戦況を発表、マニラ防衛の危機を市民に告げた。
東南よりマニラに向け進撃している日本軍の圧力は刻々増大しっつある。同方面では激烈な戦車戦が展開されているが、わが軍の損害は甚大である。一方北部戦線でも日本軍は砲火を集中して圧迫を加えつつある。日本空軍の活動も日一日と激化しっつある。
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