『リーダーシップの日本近現代史』(259 )/「シュバイツァー博士(90歳)の長寿の秘訣」★「世界的チェロ奏者のパブロ・カザルス(96歳)」の「仕事が長寿薬
百歳学入門(104)ー天才老人になる方法—記事再録
『会社』には定年があって人生に「定年」はない。「生涯現役」で、自分の好きな仕事に打ち込めば、「臨終定年」になる。「シュバイツァー博士(90歳)の長寿の秘訣」と「世界的なチェロ奏者であるパブロ・カザルス(96歳)のケース」
前坂 俊之(ジャーナリスト)
日本では多くの企業、自治体などの定年は60歳、65歳などとそれぞれに決められている。年金の支給年齢もこれにスライドしており、老人の定義は「65歳―75歳が前期高齢者」75歳からは「後期高齢者」、80歳以上は「末期高齢者?」(この用語が正式に使われているかどうかは確認していない)と呼ばれているらしい。
日本では定年退職後のサラリーマンが「ぬれ落ち葉」と呼ばれている。会社で月給をもらうためだけに好きでもない『仕事』を習慣病的にこなしていただけのほとんどのサラリーマンにとって、会社という母船からロープをきられると、エンジン(生きがい、自発的な動機)のない「個船」は毎日、漂流するだけで、そのうちに老後の荒波に沈没するケースが多い。萎れて老け込んだ「ぬれ落ち葉」はすぐ枯葉となって土中に消えていく運命なのです。
健康大国、ジョギングしアグレッシブな老人の多いアメリカの「シルバーの呼び方は、日本とは違います。
65~74歳は「ベビーオールド」
75~84歳は「リトルオールド」
85~94歳:「ヤングオールド」
95歳以上「リアルオールド」(ホントの老人)
というわけで、日本の老人観とは大いに違います。
◎「シュバイツァー博士(90歳)の長寿の秘訣」
「自分がどんな病気にあおうとも、いちばんいい薬は自分のするべき仕事があるという自覚だ」
「私は死ぬつもりはないんだ。仕事ができるうちはね。仕事をしていれば、なにも死ぬ必要はない。
だから、私は長生きをするよ」
[アルベルト・シュバイツァー]
以下は(『歳より若くあるために』石川恭三 青春出版社1997 )で紹介されている『いい話』です。
アフリカの地でライ病の患者さんに手厚い看護を施し、貧しい人たちに対しても自分の持てる最大限の力で医療につとめた、シュバイツァー博士です。
彼はまた、セバスチャン・バッハの研究家としても著名で、自身も世界的なオルガン奏者のひとりでした。 そのシュバイツァー博士がこんな言葉を残しています。
「私にはやるべき仕事が常にある」
80歳を越えてなお、医師として患者の診断にあたり、回診にも出かけました。住まいが壊れればみずから大工道具を持って修理もします。当然、世界各国から書類や手紙が舞い込みますから、それにも返事を書きます。時間を見つけてはオルガンの前に座り、バッハを奏でるのです。
まさに朝起きてから深夜ベッドに入るまで、博士にはやるべきことがあったのです。そのやるべきことで埋め尽くされた時間が、「生き甲斐でもあり、健康法でもある」と博士は語っています。
シュバイツァー博士は85歳の時にある雑誌のインタビューで「自分がどんな病気にあおうとも、いちばんいい薬は自分のするべき仕事があるという自覚だ」「私は死ぬつもりはないんだ。仕事ができるうちはね。仕事をしていれば、なにも死ぬ必要はない。だから、私は長生きをするよ」
そして、「やるべきことの自覚とユーモアを調合したものこそ、最高の妙薬なり」と語っている。シュバイツァー博士が亡くなったのは、インタビューから5年後の90歳であった。
◎世界的なチェロ奏者であるパブロ・カザルス(96歳)のケース
シュバイツァー博士にインタビューしたこの雑誌編集者は次には世界的なチェロ奏者で有名なパブロ・カザルス(96歳)
と対談しています。
カザルスさんが90歳のときです。プエルトリコのカザルスさんの自宅を午前8時頃に訪問します。居間で待っていると、夫人と一緒にカザルスさんがよろよろと老人然として現れた。
「彼は関節リユウマテと肺気腫を患っていて、腰は曲がり、人の腕にすがってピアノの前にようやく座った。呼吸もゼーゼと荒く、最初は関節リユウマテのために指が動きません。
ところが、しばらくそうしているうちに、指はすっと伸び、背中はピンと緊張感を帯びて、すばらしい音を紡ぎ出すます。
曲はバッハの平均律グラビアという難しい曲なのですが、口でハミングし、
「バッハが私のここに呼びかけるのだ」と心臓をトントンと叩くほど、熱中し入り込んでいきます。目が眩むようなすばらしい音曲を奏でて関節リユウマテなどはみじんも感じさせない様子にインタビュアーは感動します。
演奏後、カザルスさんは、すっくと立ち上がって、今度は足など少しも引きずらないで、すいすいと食堂に入っていきます。文字どおり、『仕事が彼に生命を吹き込み、「元気の源はやはり目の前にある仕事だ。生き甲斐を持っている人は強い」と書いています。
<以上は(『歳より若くあるために』石川恭三 青春出版社1997 )>
関連記事
-
知的巨人の百歳学(161)/記事再録/百歳学入門(81)▼「長寿創造的経営者・大阪急グループ創業者の小林一三(84歳)の長寿経営健康十訓」
百歳学入門(81)▼「長寿創造的経営者・大阪急グループ創業者の小林一三(84歳) …
-
知的巨人の百歳学(160)/記事再録/2010/01/25 百歳学入門⑨『10年前の日本超高齢社会の現実と過去と未来の考察』★『私なりの解決/研究本「百寿者百話」前坂俊之著 海竜社(2008年)を出版』
2010/01/25 百歳学入門⑨ …
-
裁判員研修ノート⑤小沢幹事長疑惑報道のルーツはここにあるー<見込み捜査>と<見込み報道>の人権侵害
小沢幹事長疑惑報道のルーツはここにある 犯罪報道の<見込み捜査>とマスコミの<見 …
-
日本リーダーパワー史(227)<日本最強の山本権兵衛―全身これ肝。炯眼人を知りて、克く任じ、豪胆事に当りて、善く善ず』
日本リーダーパワー史(227) <坂の上の雲の真実― …
-
近現代史の重要復習問題/知的巨人の百歳学(158)-『渋沢栄一(91歳)の国民平和外交を潰した関東軍の満州事変の独断暴走が、日本を破滅(戦争)の道へ陥れた。この4ヵ月後に渋沢は亡くなった』
近現代史の重要復習問題/知的巨人の百歳学(158) 明治、大正、昭和で最高のトッ …
-
まとめ『平櫛田中』ギネス世界最長寿芸術家・田中翁(107)『60、70はなたれ小僧。80、90人間さかり、100歳わしもこれから』
<まとめ>平櫛田中について ギネス世界最長寿芸術家・ …
-
池田龍夫のマスコミ時評(120) 『安倍首相の【戦後70年談話】が再び「日中韓歴史摩擦」を再燃させるか!』
池田龍夫のマスコミ時評(120) 『安倍首相の【戦後70年談話】が再び「日中韓 …
-
知的巨人の百歳学(157)/記事再録/鉄道王・根津嘉一郎(79歳)の「克己心」ー「己に克つ」ことこそが健康長寿法
知的巨人たちの百歳学(116) 根津嘉一郎(79歳)の「克己心」ー「己に克つ」こ …
-
日本リーダーパワー史(790)ー 「国難日本史の歴史復習問題」★「日清、日露戦争に勝利」 した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス⑧』 ★『元勲伊藤博文と巨人頭山満の日露開戦の禅問答』「伊藤さん、あんたは今日本でだれが一番偉いと思いますか」と意外極まる一問を放った。
日本リーダーパワー史(790) 「国難日本史の歴史復習問題」ー 「日清、日露戦 …