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クイズ「坂の上の雲」ーー極秘『明石工作』は日露戦争約1年後に暴露されていた

   

クイズ「坂の上の雲」
 
極秘「明石工作」は日露戦争約1年後に暴露されていた
 
明石元二郎大佐の謀略をロシヤ紙が報道ー『ロシヤ・叛徒(革命家)と日本資金(上)』
 
             前坂俊之(ジャーナリスト)
 
(明治39年8月21日付、大阪毎日新聞)通信セントペテルブルグ(七月十九日 特設通信員 フラシシス・マックラフ)
 
 過日来、露国政府が、全国にわたれる革命運動の騒擾を瞞着せんとして、種々の手段を弄したるも、一も効果を奏するあたわざりは今更、喋々の要なし。
 
しかれども、今その1,2の例を挙げんに、今般、露国政府半官報的機関新聞もて創刊せられたる「ロシヤ」は、当今、露国の一問題となりおる耕地問題に関し、「ジプロマチカス」の題下において、もし露国の耕地問題、まことに墺独(オーストリア・ドイツ)国境における同問題の紛争にして、ますます激甚のものとならば墺独両国はこれを傍観せずして、ついに干渉を試みるに至るべし。
 
これを事実に徴するも、先年、耕地問題の紛争が墺独国境を超えてギリシヤに侵入せんとしたる時、墺独両国はほとんどまさに干渉を敢えてせんとしたるによるあ明白ならずやと、威し文句を並べて更にセントペテルブルグにおいて官僚派の機関新聞として有名なる「ノウオエ・ウレミヤ」は一の小冊子を出版したり。
 
この小冊子は表紙に「露国革命の裏面、叛乱と日本の資金供給」と題し、露国叛徒が日本より軍資を仰ぎたる記事を掲げたり。しかしてその間に立ちて資金を供給したる者は、セントペテルブルグの日本公使館附武官明石大佐なりというにありて、大佐が革命党員まことに有名なるコーカサスの革命党員ジョージ・デカノゼ、フィンランド革命党員コンニ・シリアクス、並びにその他のものと交換したる書簡なるものを以って、ほとんどその紙面を埋めたり。
 
そのいう所によれば、明石大佐は日露戦争の破裂するまで、公使館付武官として露都にありしも、戦争開始後はスエ―デンの首府ストツクホルムに移り、同地よりヨーロッパにおける日本の秘密運動を指導したるものにして、
 
大佐は露国革命党員に十分の軍資、換言すれば多大の小銃、弾薬を給して彼等を武装せもめ、内乱を起すの便宜を与えて少なくともコーカサスにおいて大騒動を爆発せもめ、以って極東への軍隊派遣に支障を生ぜ止めて、露国政府を苦しめんと欲したるに、たまたま革命党も同じで露国政府を苦しめんと欲しつつありし際なりしかば、ここに彼等は互いに握手をなして、大佐はデカノゼに現金を手渡し、デカノゼの友人等はこの資金を以って快走艦シリヤスを借り入れ、これに小銃、弾薬を満載し、コウカサスの一港に揚陸し、その結果、コウカサス革命党は武装して、蜂起するに至りしものなり。
 
要するに露国革命党員は日露戦争中予日本の資金によって一大動乱の準備をなしたるものなりと。しかれども余は、今日までかくのごときことを耳にしたることなく、また実際においても、戦争継続中は露国の内情は平穏無事に通過するは何人も熟知する所にして、1905年2月の大動乱が日本の資金供給のため爆発したりというがごときや到底首肯しあたわざる所なり。
なおセバストボトルの軍隊一揆のごときも、事を挙ぐるに先だちて、既に武器を所持せしものなれば、随って武器購入のため日本の金を受くるの必要を感ぜざりしは、明白の事実なり。
 
 
 明石大佐、革命軍に武器と軍資金供給・露国叛徒と日本の資金(中)
〔明治39822日付・大阪毎日新聞〕
 
 セントペテルブルグ通信(七月十九日、特設通信員フランシス・.マウクラブ)
 露国革命の裏面を窺うも、擾乱が決して国外の敵によって惹起され上るものにあらざるは、言を待たざる所なり。しからば小冊子はいかなるも目的を以って発刊せられたるかというに、その真意はこれを以って軍隊中の革命運動鎮撫に資せんとするにあるもののごとし。しかして小冊子中に掲げられたる書類(あまたの明石大佐の書簡を含む)は、ほとんど政府の公表に係るものと見て差し支えなきなり。これらの書類は密偵より供給したるものなるべければ、その書翰がありいは革命党員の変節により、或いは革命党員の捕獲による密偵の手に渡りたる所以を研究せば、大いに奥味あることなるべし。
 
今、明石大佐について見るに、大佐はすこぶる巧妙の手段を以って革命党員
と款を通じ、-革命党員は大佐より莫大の資金を得て、兵器、弾薬を購入し、これを霧国に持ち来たりたるも由のごとし。
1905年、1月1日付の大佐の最初の書簡なるものは仏文にて左のどとく記されたり。
 一陽来復の元旦において、小生は我等共通の目的のため、誠心の希望と熱心なる祈願を貴下に呈す。
次に大佐は、左のごとくいえり。
ロッテルダムより御発送の貴翰拝小生よりは、巴里ヴィヌー翠街二十二番地の小生の友人高塚に拙簡を差し出だし置きたり。右の友人は、同地において貴下に面会せんことを望む。、巴里御帰還の際は、友人より書簡を受け取らるることと信ず。
 明石氏の行動はよく露国密偵の注意を惹き居たるものか、左の事実記載せられた抄。1905年5月2日牛後三時大佐は巴里の二十番レナ・ホテルの革命党員デカノゼの居室において、彼と会見したりと。
 
さらに小冊子編纂者のいうところによれば、-編纂者は、冊子中に掲載せられたる書簡と書簡の間には、諸所に自己の覚書を附記すト半明石大佐はこの会見の際、デカノゼに25万法(フラン)の金を与えたりと。またこれより先革命党員シリアクスは4月25日を以って、明石大佐に送金請求の書簡を出だせり。その書簡に曰く。
 
 小生はロンドンに出発前へなお当地に数日間滞在のつもりなり。小生が米国において醸金の後事を托し置きたる者に発送すべき七千ドル、一御都合次第へ一小生まで御送付下さるれば大幸の至りなり。目下準備は着々進捗しつつあるも、資金は太陽に融ける雪のごとく消え失せつつあり。
 次に革命党員シリアクスが、社会革命党のために調製したりという、左のごとき面白さ勘定書あり。
・ロンドンにて購入の快走艇三千五百ドル。水夫雇い入れの給料等五百ドル。ゲルズンスキー革命党用小銃五千挺、二千ドル。社会党用小銃千挺、八百ドル。フィンランドへ発送の小銃八千挺、六千四百ドル。ポーランド社会党用小銃五千挺、四千ドル。フィンランド及び社会党用モーゼル銃五百挺、二千百ドル。右の総額は二万三千ドル(約二十三万円)に達するものなり。
 

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