前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本リーダーパワー史(507)『日中韓150年戦争史を踏まえて福沢諭吉の「日清戦争開戦論」の社説を読み説く>①

      2015/01/01

   日本リーダーパワー史(507 

 

◎<日中韓150年対立・戦争史を踏まえて「脱亜論」でアジア

侵略主義者のレッテルを張られた福沢諭吉の「日清戦争

開戦論」の社説を読み説く>①ー

<海洋進出と領有権を主張して日本・フィリピン・ベトナムとの対立をエスカレート

させている中国の膨張政策≪核心的利益政策)は120年前の日清戦争当時と

全く変わっていない。韓国が中国にすり寄って歴史認識問題で日本との

溝深めているが、その行動パターンも清国の属国だった<小中華・韓国>

と同じものである。

もともと「親中国・韓国派」であった福沢は西欧列強によるアジア併呑に

危機感を募らせて、韓国の独立のため教え子の井上角五郎を送りこみ、

金玉均らの「朝鮮独立党」を全面支援したが、ことごとく妨害にあい、

ついに堪忍袋の緒をきっての「日清戦争開戦論」であった。

昨今の対中・韓・北朝鮮外交のすれ違い、ネジレ、対立のエスカレートの経験と

対比させながら、福沢の主張を読むと、その正当性がよくわかる。

 

前坂 俊之(ジャーナリスト)

 

●『直ちに開戦をー福沢諭吉の主張〔1894年(明治27)724
時事新報〕「支那、朝鮮両国に向かうて直ちに戦いを開くべし」

 

今回我が国が朝鮮の内政を改革せんとするに就いては、欧米の諸外国一として異議を唱うるものなく一、現に或る国のごときは、「このたびの改革事業は何卒充分に実行せられんことを希望す」との旨を我が政府に申し来たりしほどの次第なりと云えば、日本はこの際宜しく文明人道の保護者を以って自から任じ、誰憚る所なく思う存分に改革の実を挙ぐるの覚悟ありてしかるべきことなり。

 

政府に於いてもその辺の決心は既に熟したることと見え、過般、大鳥公使より朝鮮政府に向かって政治改革に関する数個条の要求をなしたるに、しかるにかの政府はいったんは異議なくその求めに応ずる旨回答したるにも拘わらず、後数日を出でずしてたちまち前言を取り消し、都合により我が申し出の箇条にはいっさい応じ難しとの次第を通牒し来たりしこそ奇怪なれ。

 

韓廷の有司いかに頑迷なりとは云え、眼前に日本の大軍が戦備を整えて京城の内外に充満するを見ながら、傲然恐るる気色なく、既に諾したる約束を無視して我が正当なる要求を拒絶するとは、いかにも大胆千万の仕打ちにして、ほとんど本気の沙汰とは思われざれども、また退いて考うれば、朝鮮政府をしてこの向こう見ずの処置に出でしめたるものは、彼の胸中白から頼む所のものあるがためなり。

 

 

その頼む所のものとはなんぞや、云うまでもなく支部政府の後楯すなわちこれなり。

 

そもそも支那は世界に類なき頑固守旧の腐敗国にして、これを朝鮮に比較すれば国土の大小こそ異なれ、その腐敗の加減はまさしく同様にして、支那人の眼を以ってするときは朝鮮の国事に改革すべきものなく、強いて改革と云えば夫子(ふし)自らから改めざるべからざるはどの次第なれば、この際、日本の挙動を見て心に快しとせざるは分かり切ったることにして、今は公然日本に向かって論ずべき議論もなく、またこれを論ずるの気力もなく、ただ陰に同類の朝鮮政府を教唆、煽動して、以って日本の政略を妨げんとするのみ。

 

その証跡の既に事実に顕然たるものを挙ぐれば、例えばかの李鴻章より朝鮮政府に送りたりと云う電文中に、「内に徳政を修め、皇恩に負(そむ)くなかれ、倭寇放肆、敢えて狡毒を恃み、ただ視る天兵一挙、石を以って卵を圧するに異なるなきなり」云々の語のごときは、日本に対し無礼千万なる言葉にして、朝鮮人を教唆するの手段なりと認めざるを得ず。なお.この類の証拠を尋ねたらば、これを見出だすこと決して難からず。

 

されば支那政府が日本の方針を妨ぐることに尽力して、ついに朝鮮政府をして我が要求を拒絶せしめたるの事実は、疑うべきにあらざれば、もはや彼は日本の朋友として見るべからず。もしもこのままに差し置きたらんには、世間知らずの老大国人が、盲人蛇に畏(お)じずの誓いに漏れず、ますます増長して種々雑多の妨害を逞(たくま)しうし、これがため日本はただに改革の目的を達せざるのみならず、事の成り行き次第にていかなる不利益の地位に陥ることあるやも知るべからず。

 

今日に至りて押し問答は無益なり、一刻も猶予せず、断然支那を敵として我より戦いを開くにしかざるなり。これまで我が国が平和の方針を取りたるは、支那が我に対して未だ直接の損害を加えざりしがためなれども、今日はしからず、李鴻章、袁世凱の輩があらゆる手段を尽して韓廷を教唆したるその証跡の明白なれば、我が国はこの際なんの躊躇する所かあるべき、直ちに開戦を布告して、以って懲罰の旨を明らかにすると同時に、彼支那人をして自から新たにするの機を得せしむるは、世界文明の局面に於いて大利益なるべし。

 

またここに看過すべからざるは朝鮮政府の所行なり。彼が一度我が要求を承諾して後、なんの謂われもなくこれを拒絶したるはいかにも我儘(わがまま)至極の挙動にして、我が国に対しはなはだしき無礼を加えたるものなれば、支那に向かって開戦すると同時に、その同穴狐狸の違約罪をも糾さざるべからず。

 

朝鮮の小弱これを討つはいささか気の毒に似たれども、多年来彼等の脳裏に染み込みたる支那崇拝の迷夢を覚破するには、弾丸、硝薬に勝るものあるべからず。

 

聞く、我が兵の一部分は既に水原に向かって進行したりと云う。軍機はもとより知るべき限りにあらざれども、我輩はその進軍のなお

進んで牙山兵を破ると同時に、朝鮮政府に向かっても大いになすことあらんを希望するものなり。

 

 

 

 - 戦争報道 , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『Z世代への日本政治家論』★日本リーダーパワー史(291)原敬のリーダーシップ「富と名誉は諸君の取るに任せる。困難と面倒は自分に一任せよ」③

日本リーダーパワー史(291)原敬のリーダーシップ「富と名誉は諸君の取るに任せる …

no image
世界、日本メルトダウン(1034)–『朝鮮半島チキンレースの行方はどうなる!』★『北朝鮮攻撃は偶発的な軍事衝突以外にはありえない』●『中国流の「言葉の遊び」「空約束」外交にオバマ政権も日本外交も何度も騙されてきたが、トランプも同じ失敗の轍を踏むのか?』

世界、日本メルトダウン(1034) 『朝鮮半島チキンレースの行方はどうなるのか! …

no image
★5<まとめ記事再録>『歴史の復習問題』/『世界史の中の日露戦争』-『英タイムズ』,『米ニューヨーク・タイムズ』は「日露戦争をどう報道したのか(連載1回―20回まで)①』★『緊迫化する米/北朝鮮の軍事的衝突はあるのか、日露戦争勃発直前の英米紙の報道と比較しながら検証する①』

★5<まとめ記事再録>『歴史の復習問題』/ 『世界史の中の日露戦争』 再録・日本 …

no image
記事再録/『2007年にちょうど100年目を迎えたブラジル日系移民の苦難の歴史』

新橋演舞場上演  2007,11月 「ナツひとり」パンフレットに掲載 &nbsp …

「オンライン・日本史決定的瞬間講座⑧」★「日本史最大の国難・太平洋戦争敗戦からGHQ「日本占領」と「単独講和」を乗り越えて戦後日本の基礎を築いた吉田茂首相の<国難逆転突破力>③』★『ダレス米国務長官の強硬な再軍備要求を断固拒否した吉田茂のリーダーシップ・外交術を学べ(田中角栄の証言)』

   2016/02/1/日本リーダーパワー史(662)記事 …

no image
日中北朝鮮150年戦争史(40)『北朝鮮が崩壊すると難民が日本に押し寄せる 「巨大なテロリスト」への臨戦態勢が必要だ(池田信夫)』●『北朝鮮の暴走は第二次朝鮮戦争の前触れだ 潮 匡人』●『アメリカ側の専門家5人が語る中国の覇権に向けた新展開』(古森義久)『 ポスト習近平」を巡る中国権力闘争は今が佳境(金子秀敏)』●『 中国がピリピリ、「花夫人」とは何者なのか 習近平政権下で強まる言論への規制』

日中北朝鮮150年戦争史(40)   北朝鮮が崩壊すると難民が日本に押 …

no image
★『緊急スーパー台風19号の進路速報!、神奈川県逗子から②』★『逗子市の高潮警報発令で、田越川周辺の住民に自主避難所を開設(動画)』★『台風19号、静岡か関東上陸へ=7都県に大雨特別警報-1人死亡、10人重軽傷 (10/12/pm16/)』

          &nbsp …

no image
<日中韓三国志・新聞資料編>『日清戦争の原因となった金玉均暗殺事件の新聞報道』(朝日,毎日、時事)

<日中韓三国志・新聞資料編> 『日清戦争の原因となった金玉均暗殺事件 の新聞報道 …

no image
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争カウントダウン』㉝『開戦2週間前の「英タイムズ」の報道/★★『ロシアが極東全体を独占したいと思っており、一方、日本は,ロシアの熊をアムール川の向こうの自分のすみかに送り返して,極東における平和と安全を,中国人、朝鮮人,そして日本人のために望んでいるだけだ』

    『日本戦争外交史の研究』/ 『世界史の中の日露戦争カウントダウン』㉝ 『 …

『Z世代のための米大統領選連続講座⑲』★『米大統領選挙直前、緊急情報!②(11月5日)』★『大接戦となっており、メディア各社が当選確実を出すには時間がかかるとみられる』★『共和党支持者の19%がトランプ氏が敗北した場合は「結果を拒否し(大統領に)就任すべきだ」と答えた』

逗子なぎさ橋珈琲テレワークー「北斎流富士山ウオッチ」(11月5日am1030) …