『「申報」などからみた「日中韓150年戦争史」 (67)イタリアにいたラクーザお玉は日清戦争の連勝にびっくり仰天!
2015/01/01
『「申報」からみた「日中韓150年戦争史」
日中韓のパーセプションギャップの研究(番外編)』(67)
日清戦争では世界中の大半が、中国の勝利を予想。
イタリアに最初にわたった日本女性・ラクーザお玉
(最初の女流画家)はお百度参りして日本の勝利を
祈願した。
ところが、いざ開戦すると連戦連勝に本人も
イタリア人もびっくり仰天!
日本の美術学校創設者の一人ヴィソチェソツオ・ラグーザ美校教授は
在職六年ののち、日本娘・清原玉(一八六一-一九三九)=
ラグーザ玉
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%83%BC%E3%82%B6%E7%8E%89
をともなって1882年(明治15)に故国イタリーのシシリー島バレルモ市に帰った。結婚してエレオノラと名のったお玉は、1894(明治27)年に日清戦争がはじまったとき三十三歳、渡伊以来十二年、女流画家として名をあらわしていた。
「知人の、どこへ参りましても、日清戦争になれば『きっと日本が負けるだろう』と申していました。
まずそれが当時においては、世界どの国でも立てられていた予想だったのでしょうが、私としてほそう言われるのが残念でたまりません。それで朝早くから起きては、戦勝の祈願をいたしました。
じっのところを申せば、私は結婚いたしましたときから、カトリック教徒になったわけでございます。そしてカトリック教では、偶像崇拝と申しまして、ほかの神仏を祈願することを何より忌むのです。
それは私も百も承知でございましたが、いざ、日本の戦いの大勝利を祈るという段になると、イエス様、マリヤ様ではどうもぴったりと胸に落ちつきませぬ。そこで第一がお伊勢様。-それからは八幡様、お富士様、香取鹿島様、水天官様、観音様、毘沙門様など、神仏混合で、思い出せる限りの、ありとあらゆる神様、仏様に、一心をこめてお祈りいたしました。
ところがどうでしょう。来る報知も、来る報知も、日本の連戦連勝を報じているではありませんか。 そのころは、いまのように通信機関が完備しておりませぬから、イタリーの新聞には、三、四ヵ月目に一度位ずつしか詳報は伝わらなかったと覚えておりますが、それが載った朝は、平常は見向きもしない小新聞まで買い集めて、みんな眼を通し、それでも飽き足りないで、詳しく書いてある新聞の記事は、三度でも五度でも読み返しました。
日清戦争で日本政府がイタリアから買った軍艦、「日清「春日」が活躍し、お玉の周りの人も大喜びしたという。
あの小さな日本が、こんなにも強いのかと思うと嬉しくてたまらず、東洋地図を開いては日本の図面の上に、何度接吻したもりかわかりません。
戦勝国民のありがたさは、ちょっと買物に出ましても肩身が広く、『奥さん、おめでとうございます』 と、会う人ごとに挨拶をかけられたものです。」(木村毅編『ラグーザ玉自叙伝』一九三九年)
戦争が終わったとき、ラグーザ家では盛大な戦勝祝賀の晩餐会を開いた。ラグーザ玉はロには出さなかったが、招待した客たちに、どんなものだと言ってやりたい気でいっぱいだった。
彼女は、シシリー島の一端で、ひとり日本を代表し、心の中で戦争に参加していたのである。
関連記事
-
-
『オープン講座/金子堅太郎の人物評』★『山口愛川著「 波蘭立志-大臣」(内外出版協会 1928 年)より。
『山口愛川著「 波蘭立志-大臣」(内外出版協会 1928 年)より。金子堅 太郎 …
-
-
世界/日本リーダーパワー史(966)ー『トランプ大統領弾劾問題と米中テクノナショナリズムの対立(上)』★『トランプとロシアとマフィアの三角関係』★『政治ショウ化した弾劾裁判のむつかしさ』
世界/日本リーダーパワー史(966) トランプ大統領弾劾問題と米中テクノナショナ …
-
-
『Z世代への遺言 ・日本インド交流史の研究②』★『インド独立運動革命家の中村屋・ボースを<わしが牢獄に入っても匿うといった>頭山満の決断力』★『ラス・ビバリ・ボースの頭山満論』
2023年5月20日、「グローバルサウス」の代表格で核保有国 インド・モディ首相 …
-
-
世界史の中の『日露戦争』⑥『朝鮮分割論』<日露戦争開戦37日前>『ニューヨーク・タイムズ』 1903年12月31日
『日本世界史』シリーズ 世界史の中の『日露戦争』⑥-英国『タイムズ』 米 …
-
-
『オンライン講座・日中韓異文化理解の歴史学(4)』日中のパーセプションギャップ、コミュニケーションギャップの深淵』★『(日清戦争開戦1週間前ー「戦いに及んでは持久戦とすべきを論ず」(申報)』
オンライン講座日中韓異文化理解の歴史学(4) 2014/09/09 …
-
-
日本の「戦略思想不在の歴史⑴」(記事再録)-日本で最初の対外戦争「元寇の役」はなぜ起きたか①
日本で最初の対外戦争「元寇の役」はなぜ起こったか 今から2年前20 …
-
-
世界/日本リーダーパワー史(920)米朝首脳会談開催(6/12)―「結局、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)は先延ばしとなりそう』★『米朝会談の勝者は金正恩委員長か!』(下)
結局、一番問題の非核化(CVID)についてはどうなったのか。 前坂俊之(静岡県立 …
-
-
『Z世代のための『バガボンド』(放浪者、世捨て人)ー永井荷風の散歩人生と野垂れ死考 ③』★『「人生に三楽あり、一に読書、二に好色、三に飲酒」』★『乞食小屋同然の自宅の裸電球のクモの巣だらけの6畳間の万年床の中で洋服を着たまま81歳で死去した。』
2015/08/02 …
-
-
世界/日本リーダーパワー史(931)-(重要記事再録)日中韓パーセプションギャップの歴史(1)『日中韓150年戦争史の原因を読み解く(連載70回中1ー20回まで)★『申報、英タイムズ、ルー・タン、ノース・チャイナ・ヘラルドなどの外国新聞の報道から読み解く』●『朝鮮半島をめぐる150年間続く紛争のルーツがここにある』
日中韓異文化理解の歴史学(1)(まとめ記事再録)『日中韓150年戦争史の原因を読 …
-
-
日中朝鮮,ロシア150年戦争史(51) 副島種臣外務卿(外相)の証言③『明治の外交ー日清戦争、三国干渉から日露戦争へ』★『ロシア朝鮮支配の陰謀・奸計で山県外交手玉にとられる』
日中朝鮮,ロシア150年戦争史(51) 副島種臣外務卿(外相)の …