『Z世代のための米大統領選連続講座⑭』9月10日(日本時間11日)討論会前までのハリス氏対トランプ氏の熱戦経過について

11月の米大統領選挙を前に9月10日、共和党のトランプ前大統領と民主党のハリス副大統領候補の初めての直接対決の討論会が開催される。両候補の舌合戦がますます激しくなってきたが、共和党のトラン氏の威嚇攻撃(口撃),暴言、妄言、虚言(!)の早射砲が止まらない。10日討論会までの両候補の演説、選挙戦略を時系列的に追ってみた。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)とシエナ大学が9月8日公表した全米の世論調査によると、トランプ氏の支持率は48%、ハリス氏は47%。トランプ氏のリードはわずか1%ポイントと拮抗。トランプ氏が支持基盤の中核を失っていないことを示していた。
調査では、有権者の28%がハリス氏についてさらなる情報が必要と回答、トランプ氏に関する同様の回答は9%だった。10日の候補者討論会が勝敗を左右する重要な機会となることを示している。
●ハリス副大統領の登場
民主党の党大会で8月22日、ハリス副大統領が大統領候補としての指名を正式に受諾した。就任演説では「バイデン政権の政策を引き継ぎ、中低所得者層への減税を看板公約に掲げ、トランプ氏を「軽薄」と批判して、その経済政策を「億万長者優遇」と批判。女性の生殖権の自由などに言及。外交面では、ウクライナと北大西洋条約機構(NATO)を強く支持すると述べ、ガザ戦争については、人質解放と停戦合意の実現に向けて取り組んでいると話した。
トランプ氏が掲げる「プロジェクト2025」はアメリカを過去に引き戻すものだが、「アメリカ、私たちは後戻りしません」と宣言した。
ハリス氏はこれまで、2021年1月の連邦議会襲撃事件を招き、不倫口止め料事件で有罪評決を受けたトランプ氏を「犯罪者」と批判。検事として「あらゆる犯罪者と対峙(たいじ)してきた」と検事体験をアピール。トランプ氏との直接対決に挑む姿勢で10日の直接対決に備えている。
- ハリス副大統領が8月29日、米メディア大手CNNの独占インタビューに応じた。副大統領候補に指のティム・ウォルズ・ミネソタ州知事も同席した。
インタビューの冒頭、大統領選で勝利した場合、就任初日に何を行うのかとの質問に対し、ハリス氏は中間層に対する経済支援を行うと強調した。しかし、大統領令を発表するなどといった具体的な措置については述べなかった。ハリス氏は「私は自分のキャリアを、多様な意見を受け入れることに費やしてきた。私の閣僚に共和党員がいることは、米国民にとっても有益だ」と述べ、共和党からも閣僚を起用する可能性を認めた。
また、気候変動対策では、ハリス氏は「私の価値観は変わっていない」とし、気候変動対策の重要性をあらためて強調した。ただし、石油・ガスを含む頁岩(シェール)層に酸などの化学物質が混入した水を注入して、シェールオイルやシェールガスを採取する水圧破砕法は禁止しないと明言した。2020年の大統領選予備選挙ではハリス氏は水圧破砕法を禁止すると述べており、その矛盾を追及されると、「2024年になり、私はその立場を変えていない」と、曖昧に述べるにとどめた。
- ハリス副大統領は9月9日放送のラジオ番組のインタビューで、9月10日のテレビ討論会で初対決する共和党候補のトランプ前大統領の下品さには「底がない」と語った。一方、トランプ陣営は声明でハリス氏を「極左の危険なリベラル派」と呼び、ハリス氏の方こそ「討論会でうそをつく唯一の人物だ」と反発した。討論会を目前に控え、前哨戦が激しさを増している。
討論会では、相手の発言中はもう一方のマイクの音を消すことが決まった。米メディアによると、トランプ氏の失言や下品な発言をマイクが拾うことを期待して常時音声を入れた状態での実施を求めていたハリス陣営は、戦略を練り直した。
- 一方、トランプ前大統領は攻撃(口撃)の連発
- 9月5日、トランプ前大統領は、返り咲きを果たした場合に政府の効率化を進める委員会を設立し、実業家イーロン・マスク氏をトップに起用する方針を表明した。
トランプ氏は、不正や不適切な支払いの排除を手始めに「連邦政府全体」を対象とする「劇的な改革」を提言する役割がマスク氏に期待している。
マスク氏にとって、共和党がしばしば提唱する政府のスリム化に向けた計画を策定する機会を与えられるわけだが、マスク氏は電気自動車メーカーのテスCEO、宇宙企業スペースX、SNSのX(旧ツイッター)、人工知能(AI)を手がけるなど全米最大企業家で2022年の世界長者番付第1位(資産総額は2,190億ドル)の富豪。トランプ氏の最大のスポンサーとしても活動しており、マスク氏はさまざまな産業分野を自身の仕事や資産に直結する優先ルールの策定するのではないかという危険性が指摘されている。(ロイター(9月9日午後配信)
- トランプ氏は9月7日、ホワイトハウス返り咲きを果たした場合、ドルから別の通貨にシフトする国々に100%の輸入関税を課す方針を明らかにした。 一貫して保護貿易主義的政策を掲げてきた同氏は中国とインド、ブラジル、ロシア、南アフリカ共和国の新興5カ国(BRICS)は昨年8月の首脳会議で脱ドル化を協議した経緯があり「ドルが大がかりな包囲下」にあると主張。これに対する貿易対抗策を打ち出した形だ。
、国際通貨基金(IMF)によれば、2024年1-3月(第1四半期)の公的対外準備高に占めるドルの割合は59%、ユーロが約20%と2位だった。(ブルームバーグ9月8日配信)
- またトランプ氏は自身の暗殺未遂事件の後にメタのザッカーバーグCEOからの電話を受け、「この選挙で民主党に投票することはできない」と言われたとニューヨーク・マガジンの取材で語っていた。しかし、メタは9月9日(現地時間)にこの主張を否定した。ニューヨーク・マガジンに対しても「マークが公に述べたように、彼はこの選挙で誰も支持しておらず、誰にも投票の意向を伝えていない」と語って、トランプ発言を否定した。(Forbes(9月10日配信)

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