前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『リーダーシップの日本近現代史』(50)記事再録/『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』㉒『開戦3ゕ月前の「米ニューヨーク・タイムズ」の報道』★『国家間の抗争を最終的に決着させる唯一の道は戦争。日本が自国の権利と見なすものをロシアが絶えず侵している以上,戦争は不可避でさほど遠くもない』

   

 

 2017/08/19『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』㉒

開戦3ゕ月前の「米ニューヨーク・タイムズの報道』19031027

『極東の戦雲』

 

ロシアと日本の緊張関係は若干緩んだように見えるが,戦雲がもとより消え去ったわけではない。ヨーロッパとアジア諸国の首都ではいろいろなうわさを懸命に集めては広めているが,それよりロイド保険組合が東洋向け船舶の保険料率を上げたことを重視する人が多い。

保険業者は「政治的な意図を持たず」,異例のリスクと見なすものに対して自らを防御しようとしているだけだ。彼らが本物の情報によらずしてこの方針をとったとは考えにくい。

実際.東アジアにおけるロシアの究極の目的が,日本が自らの権利と利益と見なすものと相いれないことを否定するものはいない。そうである以上,両国の相違は,シュワード元国務長官が奴隷制度で述べたように

「持久力のある対立勢力間の押さえがたい抗争」なのだ。

国家間のこうした抗争を最終的に決着させる唯一の道は戦争である。「すべてが臨戦態勢」なのだ。しかもどちらか一方がその立場や主張を放棄しなければ-それは問題外だ-日本が自国の権利と見なすものをロシアが絶えず侵している以上,戦争は不可避だし,さほど遠くもないようだ。

 

この慢性的な問題をただ今の深刻な危機に変えたのが,ロシアによる朝鮮侵入であることは確かだ。

満州におけるロシアの振舞いに日本は怒っており,わが国も怒っているし,ロシア人を除く極東貿易の業者もすべて怒っている

。だが日本は,満州がロシアのものにならず中国にとどまることを欲し,同地で日本人もロシア人と平等の通商の権利を持っことを主張しているが,ロシアの満州占領だけをとって戦争の原因としようとするのではないことはわが国と変わらない。

だが日本は朝鮮においては平等でなく支配権を主張している。

もしロシアがその支配権を握れば,日本の独立は直接的な脅威を受ける。

ロシアが朝鮮の港から日本の役人を締め出していることに対する釈明も日本を憤激させているはずだ。というのはその釈明は,日本の役人はロシアの許可なくして朝鮮に入ることはできないという想定に基づいているからだ。

日本は「政治家たちの会議」でロシアの満州撤退という比較的重要度の低い要求とともに,朝鮮撤退の最後通告を主張することを決めたと伝えられるが,これは戦争の気構えを示したものだ。

ロシア側の同様の好戦的態度は,かの有名なロシアの「強硬外交論」新聞の論調にも表れており,同紙は旅順の新聞で,ロシアの新設の「アムール」部局を取り仕切るロシア提督の検閲下に発行されている。

この興味深い御用新聞は日本だけでなく大英帝国に対しても挑戦的で,極東のロシア軍は.ロシアが太平洋岸までを支配することに対し,日本がいかに抵抗しようともこれを十二分に撃退できるだけでなく,インドに対しても「地図の助けや同意なしに」重大な企てを行うことができると主張している。

この情勢にかんがみ,イギリスは,19021月に締結し即時公表した対日条約に正確にどこまで縛られているかを当然検討している。わが国の政府と違ってイギリス政府は秘密条約を結ぶ権限がある。

したがって同条約の公表は双方の締約国がその取決めを皆に知らせたかったことを意味する。

実際これは関係国全員に対する通告だった。条約の中で.大英帝国は特に中東における,日本は特に朝鮮における,それぞれの利益を改めて表明し,締約国のいずれかがその利益を守るため1国と戦争に入る場合は,他方の締約国は厳正中立を守るとともに,第2国が前者への戦争に加わらないよう仲介を行うこと,

しかし、もし第2国が加わった場合は,後者の締約国は前者の防衛にはせ参じるとうたっている。

この条約はいくつかの点で注目に値するが,その1つは日本が単独でロシアと争う自信を示していることだ。

また大英帝国の方は,こうした取決めが自国の利益になると信じていることだ。これは,こうした取決めをもっと以前に結ぶべきだったとイギリスが告白しているものとも受け取れよう。

日本がイギリスの「門戸開放」主義のチャンピオンの座を武力によってかちとった6年前に,この条約が予想している事件が偶然に起こった。

日本はロシアだけでなくフランスとドイツも一緒になって攻撃され,満州の門戸開放という主張をやむなく放棄させられたのだ。

その結果については,われわれすべての知るところだ。

そのとき、もし大英帝国が日本を助けて,6年後に結んだ条約を結んでいたなら,仏独両国は,中国分割に関心はあるものの,イギリス海軍を後ろ盾にした日本に強制措置をとることはまずいと考えただろう。

1902年に結んだ条約を1896年に結んでいたなら,今ではうまく無効化できない危害を防げたろうが,後の祭だ。条約をやっと結んだことは,あのとき結んでいなかったのが情けない大失態だったと告白することになったのだ。

 – 戦争報道現代史研究

 

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
速報(396)『日本のメルトダウン』『21世紀は「情報戦争」「サーバー戦争』の時代ー「サイバーセキュリティ」こそ最重要課題』

速報(396)『日本のメルトダウン』     ●『21世紀の …

no image
知的巨人たちの百歳学(183)/記事再録/『中国の沙漠を甦らせた奇跡の男・遠山正瑛(97歳)』★『やればできる、やらなきやできない。それだけのことですよ。世の中、口ばかりで行動に移さない人間が多すぎるんだねえ』

    2013/09/26 &nbsp …

no image
日本リーダーパワー史(68) 勝海舟の外交コミュニケーション術・「至誠と断固たる気骨で当たれ」

日本リーダーパワー史(68) 勝海舟の外交コミュニケーション術・至誠と断固たる気 …

no image
<最強の外交官・金子堅太郎⑦>日本海海戦勝利に狂喜したル大統領は何と『万才』と漢字で書いた。

<日本最強の外交官・金子堅太郎⑦>  ―「坂の上の雲の真実」ー 『日本 …

no image
<日本最強の外交官・金子堅太郎④>『武士道とは何かールーズベルト大統領が知りたいー金子の名スピーチ④』

<日本最強の外交官・金子堅太郎④> ―「坂の上の雲の真実」ー 『武士道とは何かー …

no image
速報(376)『日本のメルトダウン』●『安倍政権の成長戦略はどうすれば失敗しないか』
中国人が寄せる「期待」と「現実」』

速報(376)『日本のメルトダウン』   ●『安倍政権の成長戦略はどう …

no image
◎<リバイバル釣り動画記事再録>「鎌倉カヤック釣りバカ日記」(2017/11/10)ーイナダ(35㎝)、シイラ(30-40㎝、30匹)、カワハギ5匹、ソーダカツオ3匹と爆釣

    2017/11/15、記事再録  <201 …

『鎌倉釣りバカ人生30年/回想動画録』⑲★『コロナパニックなど吹き飛ばせ』★『10年前の鎌倉沖は豊饒の海だった』「釣れない・恋れない・釣りバカ日記③」 ★ 『自然に帰れ』―母なる海に抱かれて、魚と戯れる、また楽しからずや」 『鎌倉沖プライベート・シーで、同窓会ラブを思い出したよ』

  2010/07/03  「釣れない・ …

no image
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 米国メルトダウン(1053)> 『パリ協定を離脱した米国の孤立化』★ 『トランプの連続オウンゴールで中国が『漁夫の利』を占めた』●『PM2.5などの大気汚染、水質汚染、土壌汚染、汚染食物など史上最悪の 『超汚染環境破壊巨大国家」中国に明日はない。』

 ★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 米国メルトダウン(1053)> …

no image
日本リーダーパワー史(361)国難突破の日本史最強のリーダーシップー山本権兵衛『海軍建設経営CEO」の決断力①』

日本リーダーパワー史(361)          <国難突破の日 …