前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『リーダーシップの日本近現代史]』(28)-記事再録 2014/12/09 /安倍首相は「土光臨調」で示した田中角栄の最強のリーダーシップを見習えー『言葉よりも結果』

   

  2014/12/09 /日本リーダーパワー史(533

 

 前坂 俊之(ジャーナリスト)

 

 

①   「アベノミクスの失敗」をこの「成長率のマイナス」の数字が証明しているのか。

 

  • 『2014年度の「実質成長率」は5年ぶりのマイナス成長に– ESP

http://news.mynavi.jp/news/2014/12/05/396/

  • 『7-9月期GDP統計2次QEはちょっとびっくりの下方改定

でマイナス成長幅が拡大!

http://blogos.com/article/100787/

 

 国際競争力の低下、円安などによって日本の経常黒字は赤字に転落し、戦後最悪に落ち起こんでいるが、日中の経常黒字も大きく開くばかりで、直近の数字でみると中国は日本の7倍である。すでに4年前に日本を抜いて世界第2位になった中国のGDPはこの4年間で日本の倍になっているのだ。

◎「経常黒字4カ月連続、10月8334億円 円安進行が影響 

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO80632400Y4A201C1EAF000/

<中国の貿易収支、11月は前年比4.7%増予想下回る

http://jp.wsj.com/articles/SB10063842500352674697504580323874262781354

 

 中曾根内閣では、竹下登蔵相、安倍晋太郎外相、後藤田正晴官房長官(のち行政管理庁長官、総務庁長官、官房長官)で、後藤田長官は五年間出ずっぱりで、行政改革に取り組んだ。その「土光臨調」(行革)の参謀役に入ったのが瀬島龍三である。瀬島は与党はもちろんのこと、野党にまで根回し。与党の場合には、各派閥の主だった人たちに完全に根回しをして、やっと物事は動いてきた。特に、最大の田中軍団の田中角栄本人の協力なくして実現は不可能だ。

以下は瀬島氏の証言(「祖国再生-わが日本への提案」瀬島龍三著、 P H P研究所、1997年刊、208-211P)

「田中さんが金丸さんに、土光さんと瀬島を呼んで第二臨調の応援をしようと言ったらしい。そこで金丸さんから私に電話があった。私は土光さんに伝えたのですが、土光さんは政治家が嫌いなのです。なかなか「うん」と言わない。私は「やはり政権党の最大派閥の田中派を抜きにして、行革の実行はできませんよ」と申し上げた。ようやくのことで、「それじゃしょうがないから、出ようか」ということになった。

 昭和五十六年(一九八一) の七月二十三日、田中派が、築地の「吉兆」で一席設けた。

 瀬島が「吉兆」の二階の大広間に入ると、田中を囲んで二階堂進、金丸信、竹下ら田中派の番頭、幹部、メンバーが十人ぐらい座っている。まだ若かった橋本龍太郎(当時、自民党の行財政調査会長)も末席の方にいた。

 床の間の席が二つ空けてあり、そこへ土光と瀬島が座った。それまで田中角栄を囲んで、喧々諤々やっていたのが急に静かになった。

瀬島の右に土光敏夫が座っていて、その真向かいに田中が座わっていた。

角さんはすっく立ちあがって座布団を裏返し、威儀を正して座って、非常に慇懃な態度で、きっぱりと言い切った。 

「田中内閣を含めて、歴代自民党内閣がいろいろの不始末をやってまいりました。それをご高齢の土光さんに改革してもらうことは本当に申し訳ない。臨調から出される答申は天の声と考え、田中派は全力を挙げてその実現に邁進します」。

そこまで言って、周囲を見まわし「お前たち、いいな」と念押してギョロ目をむいたのである。

この角さんの決断力とリーダーシップに瀬島は感動した。

実は少し前に目白の田中邸で田中角栄と会って、「非常によい答申だ。この実行については全面的に協力する」と約束していたが、まさか1席設けてここまでしてくれるとは思わなかったのである。この田中のリーダーパワーで、国鉄も電電の民営化も一挙に進んだのである。

現在のアベノミクスの進め方、財政再建、行政改革においても、安倍首相の強力なリーダーシップがなければ、最困難な「ナローパス」を突破することはできないであろう。

 

 

 - 人物研究, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『Z世代のための  百歳学入門』★『日本超高齢者社会の過去から現在の歴史』★『来年2025年は昭和終戦(1945)から80年。明治時代〈約45年間),大正時代(15年),昭和戦前(20年 )まで約80年間の平均寿命は約40-50歳だった』

<Q1>それでは、日本人の寿命の歴史的な変遷について話してくれますか。 明治以後 …

no image
・イラク戦争報道の各社の報道ガイドラインについて 2003,7

1 (資料) 前坂俊之(静岡県立大学国際関係学部教授) ●英国・BBCの戦争報道 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(39)記事再録/『東西冷戦の産物として生れた現行憲法④』★『30時間の憲法草案の日米翻訳戦争は殴り合い寸前まで!』★『まさしく、30時間の日米3月憲法翻訳戦争という感じだが、GHQ側が急いだのは3月7日にワシントンで第2回目の極東委員会が開かれるため、どうしても憲法案を完成して届けたいためだった』

日本リーダーパワー史(357)    前坂 俊之(ジャーナリ …

no image
有事法制とジャーナリズム(下)

有事法制とジャーナリズム(下) 前坂 俊之(静岡県立大学国際関係学部教授) 北朝 …

『オンライン百歳学入門講座』★『一怒一老、一笑一若、少肉多菜 少塩多酢 少糖多果 少食「多岨(たそ)この字が正確 、少衣多浴 、少車多歩 少煩多眠 少念多笑、少言多行 少欲多施(渋沢秀雄)』★『世界最長寿の122歳を全うしたフランス人女性/カルマンさんの健康長寿法とは』

  2010/01/21 百歳学入門(3)記事再録 前坂 俊之 &nb …

日本世界史応用問題/日本リーダーパワー史『日米戦争の敗北を予言した反軍大佐/水野広徳の思想的大転換②』-『軍服を脱ぎ捨てて軍事評論家、ジャーナリストに転身、反戦・平和主義者となり軍国主義と闘った』

  2018/08/19    …

日本の最先端技術『見える化』チャンネル★5『TOKYO GAME SHOW 2016』(『東京ゲームショウ2016』(9/15-18)の全ブースを動画紹介、SHOW UP!①

 日本の最先端技術『見える化』チャンネル 『東京ゲームショウ2016』(9/15 …

『Z世代への日本外交史研究講座』★『強権的・タフマンのトランプ大統領の再登場が世界を震撼させている』★『日本のトップリーダーはトランプ氏とどう交渉するのか?』★『 勝海舟の外交突破力④オランダ、イギリスとの紛争をアッという間に解決した 勝海舟の外交突破力を見習え>』

2014/05/23/日本リーダーパワー史(502)『 勝海舟の外交突破力④』記 …

no image
日本リーダーパワー史(461)西郷隆盛論③王陽明学の始祖は中江藤樹、 吉田松陰、西郷隆盛と引き継がれ明治維新が成就した

 日本リーダーパワー史(461) 「敬天愛人」民主的革命家としての「西 …

no image
日本メルトダウン(952)★『蓮舫氏へ、同じ「元・中国人、現・日本人」としての忠言、即刻、辞任するべきだ。(李小牧)』●『 国交省「常軌逸する」 三菱自、再測定でも不正』●『「技術立国」日本が情報技術で絶望的に弱い現実』●『小池知事vs巨大利権、盛り土問題を契機に全面対決へ』●『8年前のような「大暴落」を否定できない理由―緩和傾向だった金融政策の限界が見えてきた』

    日本メルトダウン(952) 『蓮舫氏へ、同じ「元・中国人、現・日本人」と …