前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

最高に面白い人物史②人気記事再録★勝海舟の最強の外交必勝法①「多くの外交の難局に当ったが、一度も失敗はしなかったヨ」『明治維新から150年の近代日本興亡史は『外交連続失敗の歴史』でもある』

   

日本リーダーパワー史(499)勝海舟の外交必勝法ー「多くの外交の難局に当ったが、一度も失敗はしなかったヨ」①

  2014/05/20  執筆

今年(2014年)は第一次世界大戦(1914年)から100年目。来年は太平洋戦争終戦から(1945)から70年、あと4年後2018年は明治維新から150年、2020年は東京オリンピック開催と―歴史的記念年が目白押しである。

150年の近代日本興亡史は『外交連続失敗の歴史』でもある。いま米国の一国支配構造は崩れ、中国の躍進で国際秩序は大きく変化

している。そんな中で、憲法改正、集団的自衛権の論議、TPP加入問題、尖閣問題などによる日中韓との対立の長期化懸念―など外交的懸案が山積しているが、<外交力のある政治家>がいないのである。明治維新の国難で幕府側の外務大臣(実質首相兼任)役の

勝海舟の外交突破力こそ見習え➊

 

前坂俊之(ジャーナリスト)

「氷川清話」にみる勝海舟の「外交談」

 

 

第1条     おれはこれまでずいぶん外交の難局に当ったが、しかし幸い一度

も失敗はしなかったヨ。外交は一つの秘訣があるのだ。

「心は明鏡止水(めいきようしすい)機に臨み、変に応じて事に

処する」「他人の意見など聞くな」

 

 

 おれはこれまでずいぶん外交の難局に当ったが、しかし幸い一度も失敗はしなかったヨ。外交に就いては一つの
秘訣があるのだ。

 

 心は明鏡止水(めいきようしすい)のごとし、といふ事は、若い時に習った剣術の極意だが、外交にもこの極意を
応用して、少しも誤らなかった。

 

かういふ風に応援して、かういふ風に切り抜けうなど、あらかじめ見込を立てておくのが、世間の風だけれども、

これが一番わるいヨ。おれなどは、何にも考へたり目論見(もくろむ)たりすることはせぬ。ただた,いっさいの
思慮を捨ててしまって、妄想や雑念が、霊智をくらすことのないやうにしておくばかりだ。

 

すいはゆる明鏡止水のやうに、心を磨ぎ澄ましておくばかりだ。かうしておくと、機に臨み、変に応じて事に処
する方策の浮び出ること、あたかも影の形に従ひ、饗の声に応ずるがごとくなるものだ。

 

それだから、外交に臨んで、他人の意見を聞くなどは、ただただ、迷ひの種になるばかりだ。甲の人の説を聞くと、
それも暴(あら)いやうに思はれ、また乙の人の説を聞くと、それも暴(あら)いやうに思はれ、かういふ
風になって、遂には自分の定見がなくなってしまう。

 

畢竟(ひっきょう)、自分の意見があればこそ、自分の腕を運用して力があるのに、人の智憲で働かうとすれば
、喰ひ違ひの出来るのは当り前サ。

 

 

 

2条   外交の極意は誠心正意にある。ごまかしなどをやりかけると、
かえてこちらの弱点を見抜かれるものだヨ。

 

                 

 外交の極意は、誠心正意にあるのだ。胡麻化(ごまかし)などをやりかけると、かえて向ふから、こちらの弱点を
見抜かれるものだヨ。

 

維新前に岩瀬忠震(ただなり)、川路聖謨(かわじ としあきら)の諸氏が、米国と条約を結ぶ時などは、
五洲の形勢が、諸氏の胸中によくわかつて居たといふわけではなく、たゞ知った事を知ったとして、

知らぬ事を知らぬとし、誠心正意でもつて、国家のために譲られないことは一歩も譲らず、折れ合ふべきことは、
成るべく円滑に折れ合ふたものだから、 ハリス米国公使もつまり、その誠意に感じて、
後に向ふから気の毒になり、相欺(あいあざむ)くに忍びないやうになったのサ。

 

 

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『Z世代のための昭和100年、戦後80 年の戦争史講座』★『「元寇の役」はなぜ勝てたのか⑸』★『当時の日本は今と同じ『一国平和主義のガラパゴスジャパン』★『一方、史上最大のモンゴル帝国は軍国主義/侵略主義の戦争国家』★『中国の『中華思想』『中国の夢』(習近平主義),北朝鮮と『核戦略』に共通する』

 2017/12/01日本の「戦略思想不在の歴史」⑸ 記事再編集 クビ …

no image
日本風狂人伝(24) 「ジャポニズム」の先駆者・松旭斎天勝―世界公演で大成功の「マジック女王」

「ジャポニズム」の先駆者松旭斎天勝―世界公演で大成功の「マジックの女王」 &nb …

『トランプ大統領と戦う方法論⑰』★『明治の国家参謀・杉山茂丸の国難突破・交渉力を見習え」➃』★『軍事、外交は、嘘(ウソ)と法螺(ほら)との吐きくらべで、吐き負けた方が敗れる』★『杉山35歳は一片の紹介状も持たず単身渡米して金融王・モルガンを煙に巻き、1億3000万ドル(約1900億円)の融資に成功した。』★『その時のタンカの切り方』

 2024/11/15/記事再編集 2014/08/09 /日本リーダ …

no image
日本興亡学入門⑩ 『企業利益よりも社会貢献する企業をめざせ』ー渋沢栄一、大原孫三郎、伊庭貞剛

日本興亡学入門 ⑩                 09年6月16日   &nb …

no image
日本リーダーパワー史(197)『明治天皇のリーダーシップ』(2)『大津事件で対ロシアの国難を未然に防いだ』(下)

    日本リーダーパワー史(197)   『明治 …

no image
日本メルトダウン(1028)ー『トランプ氏の未熟な政治交渉力、代替案撤回で露呈』●『トランプ米大統領、共和党保守派に宣戦布告 重要政策可決へフリーダム・コーカスに圧力』★『「森友解散」説ににじむ「1強」安倍政権の焦り 「軽率」と「誤算」の連鎖の果てに泥沼化』●『極右と安倍首相の親密関係こそ問題の本質だ 森友学園問題を欧米メディアはどう報じたか』★『中国人が辛辣指摘「日本企業9つの問題点」に知日派も喝采』●『日本語が堪能な外国人材ほど日本企業に失望する理由日本語が堪能な外国人材ほど日本企業に失望する理由』

 世界、日本メルトダウン(1028)ー トランプ氏の未熟な政治交渉力、代替案撤回 …

「日本スタートアップ・ユニコーン史」★『アメリカ流の経営学を翻訳・マネする前に、明治のスタートアップ起業者のスゴサに学ぶ』★『「資源もない」「金もない」「情報もない」「技術もない」「学歴もない」「ないないづくし」の地方、過疎村で、独創力で真珠養殖に成功した不屈の御木本幸吉(97歳)』★『エジソンも「私もできなかった」と真珠発明を激賞した』                     

  2019/03/22/  日本リーダーパワー史(972) …

★『オンライン60歳,70歳講座/長寿逆転突破力を発揮し老益人になる方法★『日比谷公園、明治神宮など造った公園の父>本多静六(85)の70,80歳になっても元気で創造する秘訣―『加齢創造学』10か条

  2012/05/12  百歳学入門(38)記事転載 『加 …

no image
日本リーダーパワー史(206)『米軍の大空襲(放射能汚染)を警告し、日米戦争(原発推進国策)の敗北を予言した水野広徳』(上)

日本リーダーパワー史(206)   真の科学者・小出裕章氏ら京大6人組 …

no image
知的巨人たちの百歳学(110)ー『屋敷も土地も全財産をはたいて明治の大学者/物集高見、高量父子が出版した大百科事典『群書索引』『広文庫』の奇跡の「106歳物語」②『 物集高量に匹敵する言語学者といえば、諸橋轍次(99歳)だが、この大学者も奇行、変人的なエピソードが多いが、それは誤解である』

屋敷も土地も全財産をはたいて明治の大学者/物集高見、高量父子が出版した大百科事典 …