世界リーダーパワー史(949)3週間後に迫ってきた米中間選挙(11/6)の結果はどうなる?ー米中新冷戦に突入へ
2018/10/31
世界リーダーパワー史(949)
3週間後に迫ってきた米中間選挙(11/6)の結果はどうなる?ー米中新冷戦に突入へ
(10月15日執筆)
トランプ米大統領の事実上の信任投票となる中間選挙が11月6日に行われる。
直前の各種世論調査では民主党が優勢で下院は挽回し、場合によっては上院も制する勢いがみられる。逆に上院は共和党が死守するとの見方もある。下院を奪回した場合には大統領の弾劾訴追が民主党から提議され、米国政治は一層の混乱、停滞、分裂状況に陥るだろう。トランプ大統領は一期の大統領で終わる可能性が大きい。
議会での民主、共和両党の対立もさらにエスカレートして、米中貿易関税戦争も次ステージの「米中本格冷戦時代」に突入し、世界経済、国際外交の混乱は想定外、未知の領域に入るかもしれない。
米国の著名な選挙分析サイト「ファイブ・サーティー・エイト」(518)は10月5日現在で、民主党が下院の過半数を確保する確率を「74・2%」と予想した。(毎日7日朝刊)、また別の政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」によると、民主党支持は10月5日の時点では48・5%と共和党の41・3%を大きく上回っており、下院はすでに民主党が205議席を固め、過半数の218をうかがう。(日経10月7日朝刊)
全議席が改選となる下院(定数435)は共和党が235議席、民主党が193議席などとなっているが、10月3日のまでの選挙分析機関「クック・ポリティカル・リポート」によると、民主党は過半数(218議席)に迫る207議席、共和党は197議席を確保し、接戦は31選挙区となっていた。(毎日同12日付)
一方、上院(定数100)の議席は現在、共和党が51、民主党が49ととわずか2議席差とあい拮抗していた。今回はこのうち35議席が改選されるが、「クック・ポリティカル・リポート」の10月4日現在までの調査では、共和党が5議席、民主党が18議席を確保、残り12議席が接戦となっている。
今回、目立つのは女性候補の多さで、史上最多となる257人の女性が立候補、その8割近くが民主党。女性蔑視の言動を繰り返しマイノリティーに不寛容な政策を進めるトランプ大統領への反発が大きいのと、前回の大統領選で負けたヒラリークリントン氏の雪辱戦として民主党が全面的に女性候補を応援する戦術をとった点が大きい。
中間選挙の歴史を振り返ると、1946年以降中間選挙で与党が下院で議席を増やしたのは、わずか3回、上院では5回にしかない、大統領支持率が50%を下まわった政権与党は平均で37議席を失っている。(米調査会社ギャラップによる)。
トランプ氏の支持率は就任以来、40%前後で推移し、主要調査で50%を上回ったことは1度もないので、大変きびしい選挙といえる。
「性的暴行疑惑が取り沙汰されていた保守派のカバノー氏(53)の連邦最高裁判事の承認問題についてトランプ大統領の指名以来、4ヵ月にわたって共和党、民主党の対立が続いていたが、米上院本会議は10月6日、賛成50、反対48の僅差で可決した。
この結果、カバノー氏の就任が決まり、9人で構成される最高裁判事は保守派が5人となり、4人のリベラル派を上回った。同性婚、人工妊娠中絶、銃規制に賛成している民主党や女性有権者は強く反発している。
この中間選挙へのはね返りを調査したワシントンポスト紙の世論調査では、カバノー氏の承認への不支持が51%、支持が41%、特に女性では不支持が58%(支持35%)。中間選挙での投票行動では、33%が民主党支持で共和党の27%を上回った。とくに女性では民主党支持40%、共和党支持26%と、大きな差がついた(時事10月13日付)。
以上の各種世論調査の結果を総合すると、トランプ大統領には厳しい情勢となっている。
そんな中で「クレイジーハウス」と化した「ホワイトハウス」でのドミノ倒し、内部崩壊は毎月のように続いている。10月9日、トランプ大統領が寵愛していたヘイリー米国連大使(46)が突然の辞任を発表した。 ヘイリー氏はトランプ大統領のお気に入りで、トランプ氏の外交方針を実現する先兵として国連で各国大使とやりあい、エルサレムへの米大使館移転やイラン核合意からの離脱など「米国第一主義」の外交を実した共和党の次期、女性大統領の有力候補だった。
さらに15日には、マティス米国防長官の辞任を示唆するトランプ氏の発言が飛び出した。「ブルームバーグ」(10月15日)によると、トランプ氏はCBSとのインタビューで「2日前にマティス長官と昼食を取った。彼は民主党員のような人だと私は思う。彼は去るかもしれない。ある時点で、皆離れる。人は去る。それがワシントンだ」と述べた。
マティス長官は国際協調派としてトランプ素人外交の暴走に歯止めをかけていた唯一の人物として、米外交政策を安定させる重要な役割を担ってきただけに、今後がますます心配になってくる。
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