前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本リーダーパワー史(458)安倍政権の2年目はまず内を固めよ「一人よがりの誤判断 (人為衝突ミス)は起こしてはならない」

   

  

    日本リーダーパワー史(458

 

安倍政権の2年目は一層慎重に、まず内を固めよ

 

2014年、「安倍日本丸」の行方は地球環境異変による大氷山、
巨大台風下の大海をいくようなもの。
五里霧中での船長の操船は科学的ITC、インテリジェンスを徹底
して磨き、120%安全航海に徹して、一人よがりの誤判断
(人為衝突ミス)は起こしてはならない

 

 

  安倍政権が船出して1年、昨年末の靖国参拝を含めて、その行動パターンは前回の失敗から教訓をくんでよりスマートになっているとはとても思えない。「アベクロダノミクス」での株価の40年ぶりの高騰ばかりが強調されているが、肝心の成長戦略、大胆な岩盤規制改革、財政改革はほとんど手付かずで、失望感が広がっている。

  日本が自ら招いた5大国難―「少子超高利化・人口減少社会」「経済再生」「迫りくる財政破たん」「原発廃炉まで50年」「中国。韓国との長期の外交対立」という巨大変化を同時に解決しなければならない。

  いずれも失敗をゆるされない国難土壇場の断崖上から、のびる長くて細くて困難なつり橋を長期にわたって一歩一歩脱出していく勇気と根気の取り組みが欠かせないのだ。安倍政権の功績は東京オリンピック開催などの明るいマインドをスイッチオンしたことだが、少しばかり、株価が上がり、景気が明るくなったとはいえ浮ついている場合ではない。

  安倍政権1年の総括、靖国参拝の論評は、このブログでもほぼ大要は紹介してきたが、大体でそろってきた。その中で

靖国参拝を米国が許容できない理由>
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3484

の「アメリカの安倍外交の見方」の指摘は説得力がある。

アメリカの見方を完全に見誤っている安倍首相の外交感覚(靖国への過度な思い入れ)をズバリと指摘している。

その内容は①「天皇陛下ですら参拝していない場所を参拝することに、なぜ一部の日本の指導者はこだわるのか」②米国では、靖国神社はA級戦犯の合祀や「遊就館」の展示を含め、戦前の日本の行為を正当化する象徴的存在。日本の総理が参拝することは、サンフランシスコ講和条約以降の国際秩序(当然、日米安全保障体制もその一部に含まれる)の否定。米国として許容できない。

③「安倍は個人の信条を日米同盟の将来や日本の国益に優先させる指導者」であるとすると、「尖閣諸島緊迫の場合に、理性的な対応が期待できるのか」という不信感が上がっている④もう1つは米国からの度重なるメッセージを無視して強行されたという見方が広がり、これからはもっとはっきりと、米国は発言すべきとの主張が説得力を増している。

これを見ると、日米間に、特に安倍首相側に大きく、深い「コミニュケーションギャップ」(すれ違い、思い違い、相手の意思、サインを正確に読みとっていないこと)、「パーセプション(認識)ギャップ」があることがわかる。

安倍政権はもともと「日米同盟間の信頼の回復」を最重点に掲げて国家安全保障戦略策定や防衛大綱・中期防衛力整備計画の見直し、特定秘密法の成立などに取り組み、沖縄普天間への基地移設問題も解決して、米側の理解は十分に得たものとの判断から、その翌日での靖国参拝行動に切った。

   安倍首相が自己感情(靖国参拝をできなかったことは痛恨の極みという心情)と選挙民へ公約の実現という国内事情と外交大懸案をかりにかけて、あえて国際的な反発をまねく靖国参拝をすることは国内政治家はやっても、国際社会で名誉ある地位を占めている大国の大臣やなおさら総理大臣のやるべきことではない。だから、歴代首相も控えていたのではないのか。

  外交交渉、異文化間コミュニケーション、国際コミュニケーションの基本はロジカルシンキング(論理的思考)と説得であり、国際秩序、国際法にのっとった対話と行動である。

中国・韓国の対応は日本以上にドメスティックなウルトラナショナリズムからの反発であり、日本側には大国として矜持(きょうじ)と見識、国際的な行動力が求められる。安倍首相は中国の習金平主席を上回る「アジアまとめる能力のある世界的リーダー」になることを期待されているのである。

●「社説[海外著名人が声明]国際世論を形成しよう

http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=60289

 

〇「国家安全保障局看板掛け」

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/actions/201401/07nsc.html?google_editors_picks=true

 

●「靖国神社「日本の軍国主義象徴」中国・国連大使

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/201401


 - 人物研究 , , , , , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

<F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(204)>『7年ぶりに、懐かしのアメリカ★『ブルックリンからイーストリヴァーを挟んでロウアーマンハッタンを遠望― 再建されたワンワールドトレードセンターが見える。』

逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/10/04/am8)  &nbs …

『Z世代のための<日本政治がなぜダメになったのか、真の民主主義国家になれないのか>の講義⑤『憲政の神様/尾崎行雄の遺言/今の政治家にも遺伝の日本病(死にいたる病)『世界に例のない無責任政治を繰り返している』尾崎行雄③

    2012/02/25  日本リー …

no image
日本稀人奇人列伝(37) 作家・中里介山、江戸川乱歩、横溝正史のなくて7クセ,変人ばかり

日本稀人奇人列伝(37) 作家・中里介山、江戸川乱歩、横溝正史のなくて7クセ & …

「Z世代のための日本宰相論」★「桂太郎首相の日露戦争、外交論の研究①」★『孫文の秘書通訳・戴李陶の『日本論』(1928年)を読む』★『桂太郎と孫文は秘密会談で、日清外交、日英同盟、日露協商ついて本音で協議した①』

2011/08/29 日本リーダーパワー史(187)記事再編集 以下に紹介するの …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(5)記事再録/日本国難史にみる『戦略思考の欠落』⑤ 『1888年(明治21)、優勝劣敗の世界に立って、日本は独立を 遂げることが出来るか』―末広鉄腸の『インテリジェンス』① < 各国の興亡は第1は金力の競争、第2は兵力の競争、 第3は勉強力の競争、第4は智識の競争であります>

  2015/11/23  日本リーダー …

no image
世界リーダーパワー史(950)―『 世界がかたずをのんで見守る米中間選挙の投票日(11/6)があと10日後』★『「下院は民主党の勝利」「上院は共和党が過半数を維持」はどうなるか?』★『米国へ向かうホンジュラスからの移民キャラバン5000人の取り扱いが争点化に』

世界リーダーパワー史(950)   世界がかたずをのんで見守っている米 …

no image
人気リクエスト記事再録『百歳学入門(198)』100歳現役学入門― 団塊世代は元気な百歳をめざそう, <健康長寿の秘訣はこれじゃ>『「少くして学べば、則ち壮にして為す有り。壮にして学べば、則ち老ゆとも衰へず。老いて学べば、則ち死すとも朽ちず」(佐藤一斎)』

100歳現役学入門― 団塊世代は元気な百歳をめざそう, <健康長寿の秘訣はこれじ …

no image
日本リーダーパワー史(638)日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(31)<川上参謀総長からロシアに派遣された田中義一大尉はペテルスブルグで活躍<ダンスを習いギリシャ正教に入信して情報収集に当たる>②

日本リーダーパワー史(638) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(31)   …

『昭和戦後の戦略的宰相の系譜講座』★中曽根康弘元首相の戦略とリーダーシップ』★『「戦後総決算」を唱え、国内的には明治以来の歴代内閣でいづれも実現できなかった行財政改革「JR,NTT,JTの民営化」を敢然と実行』★『「ロン・ヤス」の親密な日米関係だけでなく、韓国を電撃訪問し、日韓関係を一挙に改革し、胡耀邦氏と肝胆合い照らす仲となり、日中関係も最高の良好な関係を築いた、有言即実行型の戦後最高の首相だった』

    2019/12/14 &nbsp …

百歳学入門(189)『大隈重信(83歳)の人生訓・健康法』➀語学の天才になる。②コミュニケーションの達人になる③楽天的、陽気な、話好きになり「大風呂敷を広げる』④『わが輩は125歳まで生きるんであ~る』⑤『人間は死ぬるまで活動しなければならないんであ~る』⑥『恐れるな、愚痴をいうな、過去を忘れよ』⑦『将来に望みをおけ、人のために善をなせ』

百歳学入門(189) 『早稲田大学創設者・大隈重信の人生訓― ➀語学の天才になる …