前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(122)「沖縄を無視、対米追従の安倍首相演説」(5/3)

      2015/05/05

池田龍夫のマスコミ時評(122)

「沖縄を無視対米追従の安倍首相演説」(5/3)

安倍晋三首相は4月28日、ホワイトハウスでオバマ米大統領と会談した。両首脳は「共同ビジョン声明」を発表し、27日合意した日米防衛協力の指針(ガイドライン)改定の意義を強調。安倍首相は、安全保障関連法案を次期国会で成立させたいと述べた。

しかし法案は日本の国会にはれ提出されておらず、国会無視も甚だしい。その中身は、日本が集団的自衛権を使えるようにするため、防衛ガイドライン改定の必要があった。日本以外で危機が起きたとき、日本が他のアジア諸国と連携し、対処しやすくするためである。

安倍首相は「日米同盟の強化」「希望の日米同盟」との言葉を繰り返して、米国の歓心を得ようとする姿勢が見てとれる。

沖縄問題については何も要望しないばかりか、米軍普天間飛行場の名護市移設にについて首相は、県内移設に反対する翁長雄志知事の意向を伝えたうえで、「辺野古への移設が唯一の解決策という立場は揺るがない」と約束している。

平時でも米艦を防護

新たなガイドラインの特徴は、平時の自衛隊による米国艦船防護。念頭にあるのは、北朝鮮のミサイル発射に即応するためだ。日米は共同任務を遂行する自衛隊と米艦を「一つの部隊」とみなし、攻撃を受けた場合は防護措置を取る体制を明確にした。「重要事態」の定義によると、日本周辺以外でも補給や輸送などの後方支援ができるという。この背景には、海洋進出を強める中国の存在がある。

安保法制の議論で注目を集めたのが海上交通路海上交通網(シーレーン)での機雷掃海。自衛隊ができるのは戦闘が終わった後に遺棄された機雷処理に限られていたが、集団的自衛権の行使ができるとすれば、停戦前でも処理できるようになる

琉球新報4月29日付社説は、「米国への追従を誓う言葉を羅列しながら、歴史観が希薄で、本末転倒の内容である。日米同盟の意義を強く誇示するだけで、国民不在の演説だ。

例えば安保法制に関する発言がそうだ。安倍首相は、集団的自衛権行使を可能とするよう安全保障関連法案に関して『戦後初めての大改革です。この夏までに成就させます』と約束した。安保法制は次期国会で対立法案となるはずであり、慎重な審議が求められる。ところが安倍首相は法案提出前であるにもかかわらず、夏までの法案成立を米議会で言明した。これでは国会が「消化試合」になる。甚だしい国会無視であり、到底容認できない。
演説の中に『侵略』や謝罪の言葉はなかった。『紛争下、常に傷ついたのは女性でした』と述べたが、『慰安婦』という言葉を使用することも避けた。歴史と真摯に向き合う姿勢が感じられない。演説の中で首相は『民主主義』という言葉を多用した。しかし、沖縄での選挙結果に背き、辺野古での新基地建設を強行する安倍政権の姿勢は民主主義とは正反対ではないか。

米国への追従姿勢に終始し、国民、県民、日本の侵略行為によって傷ついたアジアの人々を置き去りにするような演説だった」と酷評している。まさに対米追従外交そのものではないか。

池田龍夫(いけだ・たつお),ジャーナリスト、毎日新聞OB。

 - IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
  ★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 米国メルトダウン(1054)>『ロシアゲート事件の議会調査で解任されたコミーFBI前長官が証言』★『落合信彦氏「トランプはFBIに追われ大統領職を放り出す」』●『  目の前に迫ったトランプ退任、ペンス大統領就任 予算教書で明らかになった”まさか”の無知無能ぶり』

  ★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 米国メルトダウン(1054)> …

no image
<書評>『戦争の断面を,あざやかに浮上』―井上ひさし編『社史に見る太平洋戦争』A5判480頁2500円、新潮社

                                         …

no image
『世界サッカー戦国史』②ー『W杯ロシア大会と日露戦争(1904)の比較』★『児玉源太郎参謀次長と西野新監督の戦略論は的確』★『W杯日露戦争で10対0で最強ロシアを破った児玉の戦略と東郷平八郎の決定力(1発必中の砲は100発一中の砲に勝つ)』

  W杯ロシア大会2018と日露戦争(1904)の戦略を比較すると、 …

no image
知的巨人の百歳学(155)記事再録/ 百歳学入門⑱ <日本超高齢社会>百歳元気健康長寿者200人リスト一挙大公開① 2010/01/31 時点での調べですのでお間違いなく。

    2010/01/31 /百歳学入門⑱ &n …

日本ローカル線の動画ぶらり旅①』ー岡山県津山市の津山城に向かう』★『津山駅と駅前広場から旧津山藩の鶴山城へぶらり、街並み拝見しながら』(動画20分)

  津山城はこうしてできた。 http://www.tsuyama-k

『葛飾北斎の「富嶽三十六景」を追跡ー『外国人観光客のための新幹線からの富士山撮影法ー東京行きの上り東海道新幹線では「左側の座席」に座れば、窓越しに富士市の富士川鉄橋前から富士山のパノラマ全景が見える(動画)」★

12月23日(~27日まで)に故郷の岡山に新幹線で帰省した。この日は青空がクリー …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ ウオッチ(194)』★『BBCがリオの閉会式、安倍首相のマリオ姿で土管から出てきたサプライズを報道!』● 『安倍マリオ、海外の人たちが大喜び「こんなすごい光景見たことない」【リオ五輪】●『 五輪閉会式、「安倍マリオ」が話題に!世界の反応は?』

 『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ ウオッチ(194)』 Tokyo …

no image
日本メディア(出版、新聞、映画など)への検閲実態史②『満州事変と検閲の実態を調べる。前坂俊之著「太平洋戦争と新聞」(講談社学術文庫、2007年)より。

  満州事変と検閲の実態を調べる。以下は前坂俊之著「太平洋戦争と新聞」 …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(108)高速増殖炉-原発再稼働どころか、核燃料サイクル 計画も破綻(2/26)

  池田龍夫のマスコミ時評(108)   高速増殖 …

no image
まとめ>『日本興亡150年史』2018年は明治維新から150年『第3の敗戦(国家破産)を避ける道はあるのか』

      <まとめ>『日本興 …