<野口恒のインターネット江戸学連続講義①>『江戸から学ぶウェブ社会の活力①』町民社会の庶民ネットワ-ク
日本再生への独創的視点<インターネット江戸学連続講義>
『江戸から学ぶウェブ社会の活力①』
-町民社会を支える庶民のネットワ-ク-
野口 恒著
江戸時代は、長らく土地や村落に縛られ、移動の少なかった農耕定住社会と考えられていた。しかし、実際には日本の歴史の中で、江戸時代は庶民の移動が最も激しかったノマド社会(移動社会)であった。
しかも、庶民の移動生活や経済活動を支える無数のネットワ-クが社会の隅々に網の目のように張り巡らされたネットワ-ク社会でもあった。これまでの「農耕社会」「定住社会」ではなく、「ノマド社会」とそれを支える「ネットワ-ク社会」という2つのキ-ワ-ドを機軸に、江戸の町民社会を理解しないと、真の実像を捉えることはできない。
それだけでなく、江戸のノマド社会・ネットワ-ク社会は、緩やかな座のネットワ-キング、江戸のSNS・連の活動、江戸のプラットフォ-ム・講の役割などに見られるように、21世紀のウェブ社会を先取りした先進モデルでもあった。
本書は、「ノマド社会」と「ネットワ-ク社会」という、まったく斬新な発想と視点から、江戸の町人社会・庶民社会を描出して、21世紀のウェブ社会に向けて江戸のネットワ-ク社会から何を学ぶべきかを、多くの事例や人物を上げながら提示するものです。
現在のところ、江戸の庶民社会を「ノマド社会」と「ネットワ-ク社会」の2つの視点から紹介した類書はほとんどありません。本書は学術書でなく、ビジネスマンやビジネスウ-マンを対象に、新たな視点から書き下ろした歴史の教養書か読み物として執筆したものです。
<目 次>
プロロ-グ 江戸は日本人がもっとも旅行した時代
・ 江戸後期に起こった爆発的な旅行プ-ム
・ 江戸は世界でも例のない男社会の都市であった
・ 江戸の旅行ブ-ムの仕掛け人「御師」
・ 「東海道中膝栗毛」など、出版物の影響が大きかった
・ 江戸時代は旅行や移動の盛んな非定住のノマド社会
第1章 ウェブ社会のモデルは江戸のネットワ-ク社会にあり
・ 江戸の町民社会はウェブ社会の先進モデル
・ 緩やかな組織と弱いネットワ-クから成る「座」のネットワ-キング
・ 同じ場と時間を共有し、連帯感を醸成する江戸のSNS「連」
・ 庶民の日常生活や経済活動を支えた「講」のプラットフォ-ム
・ 世界一の高密度都市に生まれた「ハイタッチ・コミュニケ-ション」
・ 旅人が行き交い、庶民が暮らす「街道のコミュニティ空間」
第2章 庶民の暮らしを支えた生活ネットワ-ク「講」と「連」
・ 全国に無数に作られた庶民の生活ネットワ-ク「講」
・ 講と講のつながりを媒介に広がったネットワ-ク社会
・ 講と講が出会えば、新たなビジネスチャンスが生まれる
・ 講の組織とネットワ-クから生まれたベンチャ-ビジネス
・ 旅行プ-ムを陰で支えた旅籠のネットワ-ク
・ 二宮尊徳の報徳思想を実践する「五常講」
・ 同じ趣味や志を持った者のアドホックな集まり「連」
・ 町人や職人だけでなく、武士も連を作って活躍した
第3章 町人文化を創った出版文化のネットワ-カ-
・ 出版文化を支えた木版印刷、高い識字率、貸本屋の普及
・ 多様な人材を発掘し、“出版文化”を育てた「蔦屋重三郎」
・ 蔦重の功績は、大衆メディアとしての出版文化を築いたこと
・ 蘭学を日本に紹介し、蘭学隆盛を仕掛けた「須原屋市兵衛」
・ 秋霜烈日の時代を生き抜き、「戯作者魂」を発揮した山東京伝
第4章 網の目のように広がった江戸の情報ネットワ-ク
・ 公的情報は上位下達の垂直回路、私的情報はヨコに繋がった水平回路
・ 五街道と飛脚制度を整備し、情報伝達のネットワ-クを作る
・ 「走ることがプロ」の飛脚は、庶民の間で一目置かれる存在
・ 飛行機並みのスピ-ドで相場情報を伝えた旗振り速報
・ 世界一の識字率を誇り、庶民教育を支えた草の根ネットワ-ク
第5章 海の物流ネットワ-クを担った「菱垣廻船・樽廻船・北前船」
・ 大坂から江戸に年貢米を海上輸送した「菱垣廻船」
・ 紀州みんかを江戸に輸送し、大儲けした「滝川藤兵衛」と「紀伊国屋文左衛門」
・ 熾烈な海上輸送競争を展開した「菱垣廻船」VS「樽廻船」
・ 江戸の大消費市場で販売競争を展開した「伊丹・池田酒」VS「灘酒」
・ 西回り航路の主役を担った「北前船」
・ 北前船を舞台に海運業や密貿易で活躍した「銭屋五兵衛」
・ 北方航路を開拓、ゴロ-ニンの釈放に尽力した「高田屋嘉兵衛」
・ 鎖国下でありながら、大海原を舞台に活躍した海のノマドたち
第6章 境界・周縁・無縁の世界に生きた「漂白のノマドたち」
・ 身分制度から外れた境界・周縁・無縁に生きる「漂白の民」
・ 百姓は多様な職業を生業とした職人ノマド
・ 経験と技能だけを頼りに各地を渡り歩いた職人ノマド
・ 庶民の芸能文化を生み出し、諸国を流浪した芸能ノマド
・ 最大の歓楽地・吉原はあらゆる情報や人が集まる社交場
・ 庶民に浸透していた民間信仰の陰陽師と修験者
第7章 全国を遍歴し、生涯の大仕事を成した江戸の「歩くノマド」
・ 51歳から測量の旅に出、地球一周を歩き続けた「伊能忠敬」
・ 西行を心底慕い、50年にわたり漂白の旅を続けた「松尾芭蕉」
・ 90歳になるまで全国を歩き続けた「葛飾北斎」
・ 全国を歩いて学問を修め、数々の発明を成した「平賀源内」
・ 紀州藩御庭番として各地を踏査、膨大な著作を残した「畔田翠山」
第8章 江戸は世襲を排した「実力主義」の競争社会
・ 実力主義の戦国時代から世襲制の江戸時代へ
・ 商人社会は、男系相続なら番頭経営、女系なら婿養子経営
・ 武家社会に実力主義を導入した徳川吉宗の「足高制」
・ 実力主義の人材登用と開明政策を推し進めた田沼意次
・ 町人文化は実力主義のサ-クル(ネットワ-ク)社会
エピロ-グ 江戸に学ぶ日本の「定常社会」の生き方
野口 恒氏は
1945年生まれ、和歌山大学経済学部卒業。法政大学大学院社会科学研究科(経済学専攻)中退。群馬大学社会情報学部・静岡県立大学国際関係学部特任講師
、社会経済生産性本部・VJA専任講師、「情報化白書」編集専門委員(白書執筆)
1945年生まれ、和歌山大学経済学部卒業。法政大学大学院社会科学研究科(経済学専攻)中退。群馬大学社会情報学部・静岡県立大学国際関係学部特任講師
、社会経済生産性本部・VJA専任講師、「情報化白書」編集専門委員(白書執筆)
・モノづくりを中心とした製造業・テ-マパ-ク、コンテンツビジネス、カラオケなどの文化産業・コンピュ-タ、パソコン、ITなどの情報産業の研究など幅広くカバー。
著書は多数。
『工業が変わる現場が変わる』(日刊工業新聞社)
『日本企業の基礎研究』(日刊工業新聞社)
『製造業に未来はあるか』(日刊工業新聞社)
『バーチャル・ファクトリー』(日刊工業新聞社)
『シリーズ・モノづくりニッポンの再生(5巻シリーズ)』(日刊工業新聞社)
『トヨタ生産方式を創った男』(TBSブリタニカ)
『アジル生産システム』(社会経済生産性本部)
『超生産革命BTO』(日本能率協会マネジメントセンター)
『オーダーメード戦略がわかる本』(PHP研究所)
『中小企業の突破力』(日刊工業新聞社)
『カードビジネス戦争』(日本経済新聞社)
『新カードビジネス戦争』(日本経済新聞社)
『ICカード』(日本経済新聞社)
『データベース・マーケティング』(日本経済新聞社)
『「夢の王国」の光と影―東京ディズニーランドを創った男たち』(阪急コミュニケーションズ)
『東京ディズニーランドをつくった男たち』(ぶんか社文庫) 等多数
『工業が変わる現場が変わる』(日刊工業新聞社)
『日本企業の基礎研究』(日刊工業新聞社)
『製造業に未来はあるか』(日刊工業新聞社)
『バーチャル・ファクトリー』(日刊工業新聞社)
『シリーズ・モノづくりニッポンの再生(5巻シリーズ)』(日刊工業新聞社)
『トヨタ生産方式を創った男』(TBSブリタニカ)
『アジル生産システム』(社会経済生産性本部)
『超生産革命BTO』(日本能率協会マネジメントセンター)
『オーダーメード戦略がわかる本』(PHP研究所)
『中小企業の突破力』(日刊工業新聞社)
『カードビジネス戦争』(日本経済新聞社)
『新カードビジネス戦争』(日本経済新聞社)
『ICカード』(日本経済新聞社)
『データベース・マーケティング』(日本経済新聞社)
『「夢の王国」の光と影―東京ディズニーランドを創った男たち』(阪急コミュニケーションズ)
『東京ディズニーランドをつくった男たち』(ぶんか社文庫) 等多数
関連記事
-
-
日本メルトダウン(953)★『政官財の不正腐敗天国・庶民地獄の日本』を『何も追及しない検察・警察、マスコミのお粗末』4重苦、こうして日本はつぶれていく。●『二重国籍問題の蓮舫氏』★『三菱自動車排ガス不正事件』★『東京都庁、東京都議会の不正腐敗天国』●『「独身の交際相手なし」過去最高、男性7割 女性も6割』
日本メルトダウン(953) 『政官財の不正腐敗天国 …
-
-
『葛飾北斎の現代版富嶽三十六景』のYoutube傑作版①4K撮影/『葛飾北斎の現代版富嶽三十六景』ー富士山絶景に中国人観光客も大はしゃぎ(11/15)-大涌谷から見た冠雪した富士山』★『-鎌倉光明寺裏山からみる大荒れの鎌倉海と霊峰富士』』
現代版葛飾北斎の「富嶽三十六景』(6/16am9 )-鎌倉光明寺裏山 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(39)記事再録/『東西冷戦の産物として生れた現行憲法④』★『30時間の憲法草案の日米翻訳戦争は殴り合い寸前まで!』★『まさしく、30時間の日米3月憲法翻訳戦争という感じだが、GHQ側が急いだのは3月7日にワシントンで第2回目の極東委員会が開かれるため、どうしても憲法案を完成して届けたいためだった』
日本リーダーパワー史(357) 前坂 俊之(ジャーナリ …
-
-
『オンライン60/70歳講座/佐藤一斎(86歳)の語録『言志四録』講読』 ★『陽明学者・佐藤一斎(86歳)の「少にして学べば、則ち 壮にして為すこと有り。 壮にして学べば、則ち老いて衰えず。 老いて学べば、則ち死して朽ちず』(現代訳=人は少年のときに学んでおくと、壮年になって必ずそれが役に立ち、なにかをなすことができる。壮年のときに学んでおくと、老年になっても、気力が衰えることはない。老年になっても学ぶなら、それが人や社会の役に立つから、死んでもその声望は高まり朽ちることはない」
2018/04/11 …
-
-
「CEATEC JAPAN 2017(10/3~6)」-『ASUKANETの空中サイネージ(3D-DELZO)(等身大の人物を空中に立体表示)★『SORACOMブース「いまから最速で実現するIoT/AIプロジェクト成功の虎の巻」のプレゼン』
日本の最先端技術「見える化』チャンネル 「CEATEC JAPAN 2017」 …
-
-
『 地球の未来/世界の明日はどうなる』ー『トランプ大統領は認知症なのかどうか』★『レーガン元大統領はアルツハイマー病を告白した』★『認知症ではないが、アルコール中毒の病歴があったブッシュ大統領(第43代)』
CNNは1月15日、「トランプ米大統領は認知症ではないのか」と米、 …
-
-
池田龍夫のマスコミ時評⑩ 「沖縄密約」情報開示訴訟 吉野文六氏らの証人尋問、12月1日に正式決定
池田龍夫のマスコミ時評⑩「沖縄密約」情報開示訴訟 吉野文六氏らの証人尋問、 …
-
-
『日本作家奇人列伝(39)日本一の大量執筆作家は誰だー徳富蘇峰、山岡荘八、谷崎潤一郎、諸橋撤次、田中貢太郎、折口信夫
2010/03/01 日本作家 …
-
-
『Z世代のための日韓国交正常化60年(2025)前史の研究講座④」★『井上が書いた「華兵凶暴」の記事に支那側(李鴻章)か猛反発、井上の暗殺指令を出し、『漢城旬報』の販売差し止めを命じたので井上は辞任1884年(明治17)5月に帰国した』
「華兵凶暴」の記事が支那側から激しい抗議があり、辞職、帰国のやむな …
-
-
情報から見たユニークな近代史=<情報・通信技術はいかに近代日本をつくったか>
1995年1月28日 『読書人』掲載 の<書評> …
