『Z世代のための国会開設、議会主義の理論を紹介した日本最初の民主主義者・中江兆民講座②』★『<明治24年の第一回総選挙で当選したが、国会議 員のあきれ果てた惨状に「無血虫の陳列場」(国会)をすぐやめた>
前坂 俊之(ジャーナリスト)
明治十五年(一八八二)に土佐の赤岡海岸で、約二千人が集まって海南自由党の大懇親会が開かれた。この中で一際目立ったポロをまとい、頭には折笠をかぶり、腰にはミノをつけて走り回っている者がいた。
人々は不思議に思い、「狂人か、乞食かと、よく見れば「今、ルソーの中江兆民」であった。
●ある時、自由民権の集会に兆民は印ハンテンに腹かけ、股引きという大工、左官と同じスタイルで登場して演説して、聴衆を驚かせた。明治になっても、人々の士農工商の身分差別は変わりなかった。「平等」「自由」「人権」などの概念は西欧語の翻訳語として入ったもの。「すべての人は平等である」という兆民の「平民主義」を、聴衆にわかるように行動で示したのである。
●兆民は水浴びが大好き。ある夏、東京・新宿で、暑さにたまらず道端の大きな天水桶に飛び込んだ。人だかりができ、飛んできた警官が「道で水浴びして醜態をさらすのは犯罪にあたる」と命令した。
「お前が言うのは裸のこと、私は裸ではない」と兆民は立ち上がり、衣服のままを見せてもう一度、首までつかった。警官は立ち去った。
明治二十二年二月十一日、大日本帝国憲法が発布された。

●兆民は憲法を一読するや黙って苦笑した。お粗末な、〝憲法″と呼ぶにはほど遠い「ニセモノ憲法」であっだ。兆民は明治二十四年の第一回総選挙で、全く選挙運動をせず大阪郊外の被差別部落から立候補して当選した。しかし、土佐出身の先輩・板垣退助、後藤象二郎らが伊藤博文に買収されて藩閥政府に寝返って自由党を裏切ったことにあきれ果て、
「小生こと、近日アルコール中毒症相発し、行歩困難、何分採択の数に列し難く、よって辞職つかまつり候」と辞表を出して、「無血虫の陳列場」の国会を去った。
●ノドに異常をかんじて医者に診てもらうと、喉頭ガンと診断された。兆民は「あとどれくらい生きていられるのか」とストレートに質問した。
「長くみて一年半の命……」と宣告された。それならば残された命を「一日たりとも多く利用せん」と考えて 『一年有半』を書き始めた。
「一年半、諸君は短促なりといわん。余は極めて悠久なりという。もし短といわんと欲せば、十年も短なり、五十年も短なり。百年も短なり。それ生時限りありて、死後限り無し」
当時、ガンの痛み止めの薬などなかった。
激痛と闘いながら一冊の参考書も手元になく書き上げた『一年有半』は一大ベストセラーになった。続けて『続一年有半』まで書きあげ、明治三十四年十二月十三日、五十四歳でなくなった。
『一年有半』の中で「大人長者の風あり、かつ今の世、古の武士道を存している者は、ひとり君あるのみ」と最も評価をされた頭山満が東京麹町の兆民宅を見舞いに行った。奥さんが「病人が毎日々々会わせてくれと、あなたの名前を書いております」という。
兆民は大変喜んで、頭山の手を握り涙を流した。しかし、喉頭ガンのため声が出ない。側の黒板に、バクボクで、「伊藤、山県だめ、後の事たのむ」「マダ、立ったっ」と書いて、拳を突き上げて、笑った。その日から一、二日してなくなった。

関連記事
-
-
『台湾有事を巡る日中対立はさらにエスカレーション②』★『中国「ロックオン事件」と第3次世界大戦?』★『中国軍によるレーダー照射や危険な接近(インターセプト)は、日本以外でも常態化しており、オーストラリアやフィリピン、特に米国に対しては過去2年間で180回と常態化している』
2025年12月6日午後、中国軍機が自衛隊機に対して2回にわたって火器管制のレー …
-
-
日本リーダーパワー史(274)EUの生みの親・クーデンホーフ・カレルギーの日本記「美の国」―日本人は世界で最も勇敢な民族②
日本リーダーパワー史(274) 『ユーロ危機を考える日本の視点』② …
-
-
アルジャジ―ラの戦争報道―One Opinion The Other Opinion
1 東京新聞2003年10 月7 日夕刊文化面掲載 前坂 俊之(静岡県立大学国際 …
-
-
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 米国、日本メルトダウン(1050)>『無知の虚人』トランプの無免許、暴走運転で「大統領機(エアーフォースワン)」はダッチロールから、墜落急降下過程に入った。』●『トランプの「オウンゴール」の連続で「米国覇権」の終焉は近い。後釜をねらう「共産中国」もトランプ同様に国際協調主義ではなく、「中国の夢」(中国1国覇権主義)なので、いよいよ世界は『大混迷、視界ゼロ』の時代に入った。』
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 米国、日本メルトダウン(1050 …
-
-
『明治裏面史』 ★ 『日清、日露戦争に勝利した明治人のリーダーパワー,リスク管理 ,インテリジェンス㊹★『明石謀略戦((Akashi Intelligence )の概略と背景』★『ロシアは面積世界一の大国なので、遠く離れた戦場の満洲、シベリアなど極東のロシア領の一部を占領されても、痛くも痺くもない。ロシアの心臓部のヨーロッパロシアを突いて国内を撹乱、内乱、暴動、革命を誘発する両面作戦を展開せよ。これが明石工作』
『明治裏面史』 ★ 『日清、日露戦争に勝利した明治人のリーダーパワー, リスク …
-
-
池田龍夫のマスコミ時評(21)「善良な市民感覚」と言い切れるかー検察審査会の「小沢氏起訴相当」議決
池田龍夫のマスコミ時評(21) 「善良な市民感覚」と言い切れるかー検察審査会の「 …
-
-
速報(90)『日本のメルトダウン』●(小出裕章情報3本)『7月7日 「ヤラセメールは慣習で、ありふれた出来事だった』ほか
速報(90)『日本のメルトダウン』 ●(小出裕章情報3本)『7月7 …
-
-
『日本と世界のソフトパワー/コンテンツ対決』―『「君の名は。」アカデミー賞に近づいた?LA映画批評家協会のアニメ映画賞を受賞』●『5つ星!『君の名は』を英メディアが大絶賛』★『「君の名は。」中国で大人気も、日本はまったくもうからない!?ネットでは』●『中国、トランプに対決姿勢 「iPhoneが売れなくしてやる」と宣言』★『世界で最も稼ぐユーチューバー、2連覇の首位は年収17億円』◎『スナップチャットで年収5千万円 元ウェブデザイナーの27歳女性』●『8割が偽物? 中国・アリババと4万人の盗賊 』
日本と世界のソフトパワー、コンテンツ対決 「君の名は。」アカデミー賞に近づいた …
-
-
終戦70年・日本敗戦史(67)大東亜戦争開戦日の「朝日新聞紙面」米英両国に宣戦布告〔昭和16年12月9日朝日新聞(夕刊)
終戦70年・日本敗戦史(67) 大東亜戦争開戦日の「朝日新聞紙面」 米英両国 …

