前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日中対立の先駆報道の研究『日清戦争にみる<日中誤解>(パーセプション・ギャップ)の衝突②『日本に天誅を下せ』『申報』

   

尖閣問題・日中対立の先駆報道の研究
(資料)『日清戦争にみる<日中誤解>
(パーセプション・ギャップ)の衝突
 
 
清国新聞『申報』<明治27年(1894822日付>

 
『日本に天誅を下せ』
 
 
昨日本紙は「もって天誅の意を表す」という一文を掲載した。すなわち,聞くくところによると、皇上はすでにひそかに沿江沿海の各督撫および統兵大臣に命令を下したという。

それは各々が開港地や要害の地において、状況に応じて防宮を動かし,守備をしっかりと固め、日本の兵船に出会ったならば砲撃を加え、わが国の沿海地方をかき乱させてはならず、また隣省の各大官と急ぎ連絡をとり、現在の各路の防官を状況に応じて天津へ分遺して北洋大臣と合流させ、敵に対抗するように画策せしめよ。もし防宮を分遺して地方での警鐘が不足するならば,別に新兵を募集して駐屯させることを許可する云々、というものだった。
 

以上から、今回聖天子は大いに怒り,費用を惜しまずに精兵を集め、それによって天誅の意を明らかにしたと考えられる。思うに、この一文で言っていることは.やってくるのを待ち受けて迎え奪っというもののようであり、日本を滅ぼしてしまう,という説ではないようだ0。しかしながら論者は次のように考えている。
 
中国は元来寛大で情け深いことを心かけている。日本はきわめて道理をわきまえずに中国の商民に対して新たに条款10条を定めた。それは先日本紙にも訳して掲載したが.なんともむごくて情が薄くなんとも過酷で横暴であるのに一方中国はなお分に安んずる商民には努めて保護を加え、決して一事たりと苛求することがない。
 
思うにこれは天高地厚の恩であり、雨露のごとき大きな恵みを捨てて専ら風霧のごとき厳しさを事とするを欲しないものだ。しかしながら議論する者はすぐ往々にして中国が策を誤ったと言う。
 
すなわち前に朝鮮の東学党が起こると中国は兵を発した。ややもした後.日本人は先にソウノレに拠り、あらかじめ手はずを整え、わが中国軍を拒んだ。中国軍はかろうじて牙山へ至ったが兵力は弱少だった。これをもって中国の計算違いとするのだが、これはもとより大局に影響のないことを知らないのだ。
日本は詐欺と武力によって強引にソウルに入って国王を略奪し君位を変えてしまい、意のままに横行し.今の事態について自らが政治を行えると考えているが、民情が全く従っていないのを知らないのだ。
 
朝鮮人が日本人を恨むことはとても激しく、日本人が朝鮮を占拠しているとはいっても鴻毛を大きな炉の傍らに置いているのと異なるものではなく、すぐさ
ま燃えて灰燼に帰してしまうだろう。
 
しかるに中国の兵は少ないとはいえ,2000余人がいて倭奴万余の衆に対抗しており,しばし戦火を交えて倭奴の死傷者は中国軍の数倍に及んでいる。いわんや現在大軍がすでに平壌に集まっており,中国の兵力はすでに大きくなっている。日本は盗賊のごとき行為によってわが兵を乗せた高隆号を沈めたが,日本軍は中国軍兵士の命を償う以上の戦死者を出している。
時務に注意を払っている人は、私に次のように言う。日本の軍艦の大きく堅固なるものはわずか4艦にとどまっており,松島・高千穂・比叡等の3艦は今すでに損壊していて使用可能なものは1艦に過ぎない。それ以外の扶桑・金剛等の軍艦は.わが国と台湾で戦火を交えたときすでに古くなっている観があったが,それから今までに10余年たっており,実用に耐えないのみならず.外観を飾ることにさえ不十分だろう。
今回日本が放なく事を構えようと欲するならば天朝のふえつに触れて,直ちに自ら料滅亡への道をたどることになるだろう.と。
 
今中国の計略を立てるならば,軍艦と陸軍とで力を合わせ.それによって朝鮮を取り戻し、さらに軍隊の一部をもって琉球を取り戻し,悪党を粛清し、中国の藩属国に戻し,しかる後、敗敵を追撃するに乗じて長躯して一気に攻め入り,まず要害の地たる長崎を攻め.下関地方を占拠するとよい。下関は別名長門ともいう。対馬一島は俗に小長崎という呼称があるようで.長崎と対峠している。この地を占拠してそののどぶえを押さえ,日本の軍艦が容易に出てこられないようにし、遠く朝鮮にいる各軍艦もまた戻って救援できなくするのだ。
 
中国は,すなわち軍艦を分けて偵察のため巡航するようにし、一方ではすぐに軍艦に陸兵を乗せて東方の長崎へと一軍を渡らせ,着々と進軍して討伐し,じりじりと兵営を設け、琉球の一軍とはるかに呼応するようにするのだ。
このようにすれば、日本は必ずやもちこたえられなくなり,必ずや屈服して城下の盟を請うこととなるだろう。
 
しかしながら、日本人は大変悪賢く、たとえ一時力及ばず甘んじて琉球・朝鮮をわが中国に返したとしても、心中ではきっと甘服してはいないだろう。そして10年間人口と富を増やし、その後の10年間に教育・訓練を施すというような計画をなしたならば,後になって倭患はおそらくなお免れないだろう。そこで.その力が窮し勢いが不足しているときに乗じて善後策を図るにこしたことはない。
 
日本は元来将軍が政治をつかさどっており,国王はただ虚位を擁しているだけだった。維新より後、将軍の権力を削除し,ついに以前の風気を一変し,倣慢なる心気を免れず、兵力を乱用して武徳を汚すことをもって常としている。
こうした日本の変革は,その功をもってその患を補うに足りず,本来のものを改めて以前よりいっそう悪くなったという情勢にある。
 
大々的に論告して,国王を京都へ遷し、将軍を立てて権力を授けるようにするにこしたことはない。思うに将軍を廃除してから時を経ること20余年にすぎず,かの将軍の家臣たちは一時なお一旗挙げんとする意志があった。大鳥圭介、榎本武揚らは今でこそ日本の王に仕えるようになっているとはいえ,かつては皆将軍のために国王に背いて敵対していたのだ。
 
もし中国が日本の旧制を復活すれば、すぐにも日本の民心も従い.将軍は恩を感じて報謝を回り、懸命に力を尽くすだろう。また日本は各党が分裂してここに至れば.さらに紛々として混乱するだろう。国内では内乱が起こり.国外で
は中国の大軍の圧迫を受け,それでもなお日本はほしいままに横暴に振る舞い.勝手放題にできるだろうか。この説は,あるいは「あらかじめ虎皮を売る」との藷そしりを免れないかもしれない。
 
しかしながら.天下のことは万事理と勢に基づいているものだ。理の必ず至るところ.また勢のまさにしかるべきところは,あらかじめこのために深謀遠慮しなければならない。

今日の倭は、理を論ずればすなわち出兵しても名目は立たず,理由もなく騒ぎ立てている。勢を論ずればすなわち兵少なく兵糧も欠乏している。まず虚勢を張ってどうかつしようとしても,結局は全力を挙げて持ちこたえざるを得ない。

試みに問う。「兵凶戦危なれば,謀定まりて後戦うも,なお勝たざるをおそる」と言うではないか。軽々しく戦争を事とするべきだろうか。中国は緩慢であるかに見えるが、実は自重しているのであり.その勝算は確実なものなのだ。故にこれがなめにあらかじめ良策を図り.天誅書を記した。

 - IT・マスコミ論 , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『Z世代のための日本政治史/復習講座』★『ニューヨークタイムズなど外国紙からみた旧統一教会と自民党の50年の癒着』★『ニセ宗教と反共運動を看板に、実質的には「反日霊感ぶったくりビジネス」で「コングロマリッド」(巨大世界企業)を形成』

「旧統一教会」(反日強欲カルトビジネス教集団と自民党の癒着問題 「米ニューヨーク …

『Z世代のための台湾有事の先駆的事例<台湾出兵>(西郷従道)の研究講座㉕』★『よくわかる尖閣問題の歴史基礎知識』★『日中、台湾、沖縄(琉球)の領土紛争の底にある『中華思想』と台湾出兵との関係、交渉は・・・』』

 2012/09/26  日本リーダーパワー史(325) & …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(41)☆『沖縄密約文書開示訴訟」原告が、外務省に質問書』

  池田龍夫のマスコミ時評(41)   ☆『沖縄密約文書開示 …

no image
『人気記事リクエスト再録』ー<2003年、イラク戦争から1年>『戦争報道を検証する』★『戦争は謀略、ウソの発表、プロパガンダによって起こされる』●『戦争の最初の犠牲者は真実(メディア)である。メディアは戦争 を美化せよ、戦争美談が捏造される』●『戦争報道への提言を次に掲げる』

<イラク戦争から1年>―『戦争報道を検証する』   2003年 12月 …

no image
『日本の最先端技術見える化チャンネル』ー『人気沸騰のたこ焼きロボット』★『セブン&アイ、たこ焼きとソフトクリームのロボットをフードコートで活用★『人気沸騰のたこ焼きロボットー「厨房設備機器展2019」(2/20、東京ビッグサイト)で「ロボットたこ焼きオクトシェフ」の見事な職人芸にアメイジング!これ凄いよ(動画付き)』

   たこ焼きロボットの導入による7大メリット➀商品品質の安定化②人件 …

no image
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争カウントダウン㊱』/『開戦2週間前の『申報』の報道ー『『東三省(満州)を放棄し.境界線を設けて中立とするは良策にあらざるを諭す』

 『日本戦争外交史の研究』/ 『世界史の中の日露戦争カウントダウン㊱』/『開戦2 …

『Z世代への戦後80年の研究講座』★「再録・終戦70年・日本敗戦史(83)記事』★「空襲はない、疎開は卑怯者のすること」と頑迷な東條首相は主張ー田中隆吉の証言➂』

   2015/06/02終戦70年・日本敗戦史( …

no image
池田龍夫のマスコミ時評⑯ 「沖縄密約文書開示訴訟」の結審 4月9日の「判決」の行方を注視

池田龍夫のマスコミ時評⑯「沖縄密約文書開示訴訟」結審 4月9日「判決」の行方を注 …

no image
池田龍夫のマスコミ時評⑧ 「公正・客観的視点に立った論評を」「鳩山論文」を曲解した〝過剰報道〟を再検証

池田龍夫のマスコミ時評⑧   「公正・客観的視点に立った論評を」「鳩山 …

no image
<書評>『戦争の断面を,あざやかに浮上』―井上ひさし編『社史に見る太平洋戦争』A5判480頁2500円、新潮社

                                         …