池田龍夫のマスコミ時評(106)◎『NHKの選挙報道に物申す(2・12)』『普天間の辺野古移設に反対する名護市民(2・10)』
池田龍夫のマスコミ時評(106)
◎『NHKの選挙報道に物申す(2・12)』
◎『普天間の辺野古移設に反対する名護市民(2・10)』
池田龍夫(ジャーナリスト)
●NHKの選挙報道に物申す(2・12)
東京都知事選挙は2月9日投開票が行われ、舛添要一氏が当選した。しかし、NHKの選挙報道に違和感を覚えた。
まず、選挙速報の異常さにビックリした。午後8時投票締め切りを待ってましたとばかり、「舛添氏当確」のニュースが流れた。その根拠は出口調査に基づくもので、統計学的に根拠はあるようだが、投票終了直後に当確を打つとは酷すぎないか。
午後8時前に投票して帰宅した途端に当確テロップが流れるとは! 8時26分のNHKテレビによると「開票率0・1%。舛添氏500票、宇都宮健児氏・細川護熙氏各50票」だった。この段階で、「舛添当確」を速報したことに肝をつぶした人は多かったろう。
投票率が極めて悪く、三つ巴の様相も予測されていたのだから、少なくとも投票率20~30%くらいの段階までは速報すべきでなかったと思う。NHKは「勝った勝った」と喜んでいるだろうが、清き一票に泥を塗った行為ではないか。「そんなに急いで何処へ行く」である。速報主義は結構だが、国民を愚弄するような予定原稿は慎んでもらいたい。
もう一点苦情を申し上げれば、NHKは「脱原発は争点にならない」「各候補の意見が噛み合っていない」などとの選挙選分析をたびたび報じていた。有権者の中には「原発問題こそ第一に論ずべきだ」と思っていた人も多い。ある演説会場を覗いただけの印象で報じるのは、選挙妨害とも言えなくない。新聞各紙は論点を整理し、社説欄で「原発問題を論ぜよ」と書いた社もあった。
公共放送の在り方が厳しく問われている今、NHKは報道姿勢を正してもらいたく、物申した次第である。
普天間の辺野古移設に反対する名護市民(2・10)
沖縄県名護市長選挙(1月19日)で稲嶺進市長が当選した意義は大きい。仲井真弘多知事は昨年暮、政府の強権的説得を受けて辺野古埋め立てを承認したが、反対派の稲嶺市長が住民の支持を得たことで、今後の展開は混沌としてきた。
アメとムチ、国家権力と人間の尊厳に関する問題
「名護市長選をめぐる1月20日の報道は、一地方選以上の重みを持ち、アメとムチ、国家権力権力と人間の尊厳、本土と沖縄、経済振興と社会の安定防衛問題などと基地負担など、我々が生きている日本社会の本質と現実を、混乱と希望が渦巻いている現状を見事に描き出している」――毎日新聞2月8日付朝刊「メディア時評」に記した徳野貞雄熊本大教授の論評は、まことに正鵠を射た指摘である。
安倍晋三政権は昨年暮、2021年度まで毎年3000億円台の振興費を確保することや基地負担軽減策を約束し、知事の承認にこぎつけた。政府は今年度中に調査・設計に入る方針だが、そこに名護市民が「ノー」を突きつけた。今年は9月中に任期が切れる名護市議選が予定され、12月には任期満了を迎える知事選も控えている。
「県外移設」の県民意思は根強い
住民の大多数の意思を、政府権力が踏みにじる暴挙は絶対に許せない。遡れば、普天間飛行場の全面返還を橋本龍太郎首相とモンデール駐日米大使が合意したのは1996年4月。
18年の歳月が流れたのに、県議会や各市町村議会をはじめ多くの県民の「県外移設」の要望はいぜん根強い。今回の名護市長選での住民意思を軽視するようなことがあってはならない。不平等な「日米地位協定」の改定は進まず、米軍機夜間訓練の騒音、米兵犯罪に県民の苛立ちは続いているのだ。
島尻参院議員の暴言は許せない
このような折、沖縄県選出の島尻安伊子参院議員(自民)が、2月5日の参院予算委員会で、稲嶺名護市長が再選されたことについて「市長権限で阻止すると稲嶺氏は主張している。主張は自由だが、これではただ混乱が続くだけ。行政事務は法令に従って行うべきだ。行政権限の乱用は地方自治上問題だ」と稲嶺市長の対応を批判した。
琉球新報2月7日付社説は「夜郎自大と事大主義はここに極まった感がする。島尻安伊子参院議員が米軍普天間飛行場の辺野古移設を阻止すると主張する稲嶺進名護市長を『権限の乱用』と批判、反対運動をあらかじめ弾圧するかのような対策を政府に迫った。島尻氏は2010年の参院選で県外移設を公約に掲げて再選した。しかし、西銘恒三郎衆院議員に次いで公約を破り積極的辺野古推進派に転じた。有権者を裏切った政治家が議場に立つのはおかしい。速やかに議員辞職すべきだ。
(中略)辺野古反対運動に対し『危険な行為に先んじて対策を打つことが必要』という主張は、犯罪前に身柄を拘束する『予防拘禁』の発想に近い。民意を無視して国家権力の乱用を許せば独裁政治と変わらない。よりによって県選出議員が国の暴力的な政治、市民運動弾圧を勧めるかのような発言をしたことは言語道断だ。発言撤回を求める」との指摘に共感を覚えた。
(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。
関連記事
-
-
『世界サッカー戦国史/ロシア大会決勝』⑩フランスが「4-2」クロアチア、20年ぶり2度目の優勝!ムバッペら躍動で4G奪い、粘るクロアチアの夢を打ち砕く/』★『準優勝も胸を張るクロアチア主将モドリッチ「誇りに思うよ。すべての人に感謝したい』★『 「日本は誰にとっても“2番目に贔屓”のチーム」米メディアがW杯出場32か国・最終格付けで特大の賛辞!』
『世界サッカー戦国史』⑩ フランスが20年ぶり2度目の優勝!ムバッペ …
-
-
『Z世代のための日本戦争学入門⑤』★『日米戦争の敗北を予言した反軍大佐/水野広徳』★『 日記で時局批判、ヒトラーの本質を見抜く』★『ついに執筆禁止、疎開、71歳で死亡』★『世にこびず、人におもねらず、我は、わが正しと思う道を歩まん』
水野は軍部独走の危険性を一早く指摘し、シビリアンコントロールの重要性を訴えていた …
-
-
『Z世代のための百歳女性文学者入門』★『作家・宇野千代(98歳)の研究②』★『自主独立の精神で、いつまでも美しく自由奔放に恋愛に文学に精一杯生きた作家人生』★『私の長寿文学10訓』★『83歳で「毎日、机に必ず坐る」「書けると信じる」「一万歩歩く」を実践、86歳で100万部ベストセラーを出版した長寿美筆力』
2024/08/25 宇野千代 …
-
-
世界一人気の世界文化遺産『マチュピチュ』旅行記(2015 /10/10-18>「神秘に包まれた『マチュピチュ』の全記録、一挙公開!」水野国男(カメラマン)③
2015/11/09< 世界一人気の世界文化遺産『マチュピ …
-
-
『Z世代への遺言』★『大阪地検特捜部の証拠改ざん事件参考・再録『冤罪でなぜ警察・検事・判事は処罰されないのか』
2010/10/07 再録『冤罪でなぜ警察・検事・判事は処罰されない …
-
-
世界の最先端技術『見える化』『読めるよ』チャンネルー『フェイスブックやグーグルが本腰 次の大潮流「ボット」とは何か』●『日本企業は海外の後追いをやめない限り勝機はない』●『 ビットコインは「電子マネー」を超える(池田信夫) ブロックチェーンは革命的イノベーション』●『仮想と重なり合う現実:VR元年の次はMR元年? MR(複合現実)が融合させる仮想と現実』
世界の最先端技術『見える化』『読めるよ』チャンネル フェイスブックやグーグルが本 …
-
-
★5 日本リーダーパワー史(754)–『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争を英国『タイムズ』米国「ニューヨーク・タイムズ」は どう報道したか」②(11-20回)★『 戦争とは外交の一手段。<恫喝、罵倒、脅迫、強圧のケンカ外交で相手は参ると思って、日本を侮ったロシアの油断大敵>対<日本の礼を尽くしてオモテナシ、臥薪嘗胆、無言・沈黙・治にいて乱を忘れず、天機至れば『一閃居合斬りも辞さぬ』とのサムライ外交との決戦が日露戦争で、両国の戦略論、パーセプションギャップ(認識ギャップ、思い違い)をよく示している。』
日本リーダーパワー史(754) 『世界史の中の『日露戦争』ー (英国『タイム …
-
-
日本リーダーパワー史(386)児玉源太郎伝(8)川上、田村、児玉と歴代参謀総長はそろって日本救国のために殉職した。
日本リーダーパワー史(386) 児玉源太郎伝(8) ① & …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(59)記事再録/『高橋是清の国難突破力①』★『日露戦争の外債募集に奇跡的に成功したインテリジェンス
2011/07/10 / 日本 …
