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池田龍夫のマスコミ時評(106)◎『NHKの選挙報道に物申す(2・12)』『普天間の辺野古移設に反対する名護市民(2・10)』

   

  

 池田龍夫のマスコミ時評(106)

 

◎『NHKの選挙報道に物申す(212

◎『普天間の辺野古移設に反対する名護市民(210

 

 

    池田龍夫(ジャーナリスト)

 

NHKの選挙報道に物申す212

 

 東京都知事選挙は29日投開票が行われ、舛添要一氏が当選した。しかし、NHKの選挙報道に違和感を覚えた。

 まず、選挙速報の異常さにビックリした。午後8時投票締め切りを待ってましたとばかり、「舛添氏当確」のニュースが流れた。その根拠は出口調査に基づくもので、統計学的に根拠はあるようだが、投票終了直後に当確を打つとは酷すぎないか。

 

午後8時前に投票して帰宅した途端に当確テロップが流れるとは! 826分のNHKテレビによると「開票率01%。舛添氏500票、宇都宮健児氏・細川護熙氏各50票」だった。この段階で、「舛添当確」を速報したことに肝をつぶした人は多かったろう。

 

 投票率が極めて悪く、三つ巴の様相も予測されていたのだから、少なくとも投票率2030%くらいの段階までは速報すべきでなかったと思う。NHKは「勝った勝った」と喜んでいるだろうが、清き一票に泥を塗った行為ではないか。「そんなに急いで何処へ行く」である。速報主義は結構だが、国民を愚弄するような予定原稿は慎んでもらいたい。

 

 もう一点苦情を申し上げれば、NHKは「脱原発は争点にならない」「各候補の意見が噛み合っていない」などとの選挙選分析をたびたび報じていた。有権者の中には「原発問題こそ第一に論ずべきだ」と思っていた人も多い。ある演説会場を覗いただけの印象で報じるのは、選挙妨害とも言えなくない。新聞各紙は論点を整理し、社説欄で「原発問題を論ぜよ」と書いた社もあった。

 

 公共放送の在り方が厳しく問われている今、NHKは報道姿勢を正してもらいたく、物申した次第である。

 

 

 普天間の辺野古移設に反対する名護市民(210

 

 沖縄県名護市長選挙(119日)で稲嶺進市長が当選した意義は大きい。仲井真弘多知事は昨年暮、政府の強権的説得を受けて辺野古埋め立てを承認したが、反対派の稲嶺市長が住民の支持を得たことで、今後の展開は混沌としてきた。

アメとムチ、国家権力と人間の尊厳に関する問題

 「名護市長選をめぐる1月20日の報道は、一地方選以上の重みを持ち、アメとムチ、国家権力権力と人間の尊厳、本土と沖縄、経済振興と社会の安定防衛問題などと基地負担など、我々が生きている日本社会の本質と現実を、混乱と希望が渦巻いている現状を見事に描き出している」――毎日新聞28日付朝刊「メディア時評」に記した徳野貞雄熊本大教授の論評は、まことに正鵠を射た指摘である。

 安倍晋三政権は昨年暮、2021年度まで毎年3000億円台の振興費を確保することや基地負担軽減策を約束し、知事の承認にこぎつけた。政府は今年度中に調査・設計に入る方針だが、そこに名護市民が「ノー」を突きつけた。今年は9月中に任期が切れる名護市議選が予定され、12月には任期満了を迎える知事選も控えている。

        「県外移設」の県民意思は根強い

 住民の大多数の意思を、政府権力が踏みにじる暴挙は絶対に許せない。遡れば、普天間飛行場の全面返還を橋本龍太郎首相とモンデール駐日米大使が合意したのは19964月。

18年の歳月が流れたのに、県議会や各市町村議会をはじめ多くの県民の「県外移設」の要望はいぜん根強い。今回の名護市長選での住民意思を軽視するようなことがあってはならない。不平等な「日米地位協定」の改定は進まず、米軍機夜間訓練の騒音、米兵犯罪に県民の苛立ちは続いているのだ。

         島尻参院議員の暴言は許せない

 このような折、沖縄県選出の島尻安伊子参院議員(自民)が、2月5日の参院予算委員会で、稲嶺名護市長が再選されたことについて「市長権限で阻止すると稲嶺氏は主張している。主張は自由だが、これではただ混乱が続くだけ。行政事務は法令に従って行うべきだ。行政権限の乱用は地方自治上問題だ」と稲嶺市長の対応を批判した。

琉球新報27日付社説は「夜郎自大と事大主義はここに極まった感がする。島尻安伊子参院議員が米軍普天間飛行場の辺野古移設を阻止すると主張する稲嶺進名護市長を『権限の乱用』と批判、反対運動をあらかじめ弾圧するかのような対策を政府に迫った島尻氏は2010年の参院選で県外移設を公約に掲げて再選した。しかし、西銘恒三郎衆院議員に次いで公約を破り積極的辺野古推進派に転じた。有権者を裏切った政治家が議場に立つのはおかしい。速やかに議員辞職すべきだ。

 

(中略)辺野古反対運動に対し『危険な行為に先んじて対策を打つことが必要』という主張は、犯罪前に身柄を拘束する『予防拘禁』の発想に近い。民意を無視して国家権力の乱用を許せば独裁政治と変わらない。よりによって県選出議員が国の暴力的な政治、市民運動弾圧を勧めるかのような発言をしたことは言語道断だ。発言撤回を求める」との指摘に共感を覚えた。

 

(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。

 

 

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