『Z世代への昭和史・国難突破力講座㉔』『日本一の戦略的経営者・出光佐三(95歳)の独創力⑤』★『終戦の『玉音を拝してー➀愚痴を止めよ。愚痴は泣き声である②三千年の歴史を見直せ➂今から建設にかかれ』★『人間尊重の出光は終戦であわてて首切りなどしない。千人が乞食になるなら、私もなる。一人たりとも首を切らない」と宣言』
-
国難に対してトップリーダーはいかにあるべきか。
1945年(昭和20)8月15日、歴史は大転換した。日本史上は始まって以来という敗戦、国難に見舞われ、出光は莫大な海外資産を一挙に失い、国内の石油精製施設、タンカー、港湾施設もほぼ破壊された。この時、出光は還暦60歳。 長年血みどろの苦労を重ねて築き上げてきたす財産も事業も従業員も失ない、二百六十五万円の借金が残された。
敗戦で社会は大混乱に陥り、日本政府も政治家も軍人も官僚も国民のほとんどが茫然自失、意気阻喪した。将来の見通しや、生活再建の方法など五里霧中のなかで、出光ただ1人といってよいくらい、終戦2日後の8月17日に次のような意気天をつく訓示を行っています。
-
終戦『玉音を拝して』
-
この文章は『わが60年間第1巻』(非売品、社内用,昭和56年)に全文掲載されています。私(筆者)これを読んだ瞬間、へきへキするほどの天皇崇拝者、愛国主義者ながらその底に流れる一貫したヒューマニズム(人間愛)と人権尊重、公共精神と、満々たる自信と勇気、そのインテリジェンスに感動しました。第4章で取り上げた渋沢栄一に共通する「道徳経済合一主義」と「公益資本主義」を100年前にすでに実践した先駆者ではないかと思いました。
この文章は明治生まれの旧漢字調の難解な文体ですが、当時の戦争中の大人がどのような意識であったのかがよくわかるので、ほぼ原文のまま掲載いたしました。
「15日畏(おそ)れおおくも玉音(昭和天皇の言葉)を拝し、御詔勅(ごしょうちょく、天皇の意思表示)を賜はり涙の止まるを知らず、言い表すべき通常なる言葉を持ち合せませぬ。私はこの際、店員諸君に3つの事を申上げます。
➀愚痴を止めよ。愚痴は泣き声である。亡国の声である。断じて男子のとらざる所である。ただ昨日までの敵の長所を研究し取入れ、己れの短所を猛省し、総てをシツカリと腹の中にたたみ込んで大国民の態度を失うな。
②世界無比の三千年の歴史を見直せ。三千年の歴史を見直してその偉大なる積極的国民性と広大無限の抱擁力と恐るべき咀嚼力(そしゃく)とを強く信じ、安心してゆうようせまらず堂々として再建設に進まねばならぬ。
➂そして今から建設にかかれ。しかしながら、焼け野が原におけるドン底生活、さらに加わわる新たなる負担、突破せねばならぬ建設の苦しみ、これらにたえ得るかの不安である。私は創業2、30年前、人生はかくも苦しいものか、死ななければこの苦しみより逃れる事はできないと苦しみ続けた。連続した苦しみは私を今日にしておる」
「艱難(かんなん)汝を玉にす」。苦労はつとめめてせよとは、店是であり私の座右銘。こん後の苦労が国家の前途に大なる結果をもたらすことになるならば我々はいかなる苦しみも堪(たえ)忍ばねばならぬ。
出光は、終戦の二日後に不安と途方にくれる従業員に対して「愚痴をいうな。世界無比の3千年の歴史を見直せ。そして今から建設にかかれ。」と高らかに宣言、聞いた従業員さえ驚くような意気軒昂ぶりでした。
「人間尊重で、一人たりとも首を切らない」
-
1945年9月からは中国や海外から約800人もの社員と家族がぞくぞくと引き揚げてきた。
-
焼け野原と廃墟に化した国内は大混乱と食糧難のどん底で社会には失業者があふれ、出光にも仕事は全くなかった。
-
9月15日には、「人間尊重の出光は終戦であわてて首切りなどしない。千人が乞食になるなら、私もなる。一人たりとも首を切らない」と宣言した。
-
社員への月給は、戦前戦中に買い集めた書画骨董類を売ったり、借りられるところから借りられるだけ借りて社員の月給を出し続けた。
-
目がますます見えなくなる中で、出光は足を棒にして仕事探しに奔走した。当時800万台あったラジオの3分の2は、使いものにならなかったが、GHQの依頼でラジオ修理を始め、旧海軍の山口県徳山燃料タンク(高さ10m)の底油の危険な回収作業にも命がけで取り組んだ。印刷、農業、水産、醗酵などあらゆる分野に参入して再建の足がかりをつかんでいった。
関連記事
-
-
速報(135)『日本のメルトダウン』★『欧州の混乱で米国経済がマイナス成長転落は考えにくい』『海洋生物に迫る大量絶滅の危険性!』
速報(135)『日本のメルトダウン』 ★☆『不安の種は欧州の混乱に …
-
-
日本リーダーパワー史(534)国際ジャーナリスト・前田康博氏の「総選挙2014の結果と課題」女性に子供の投票権を与え、投票棄権者に罰則
日本リーダーパワー史(534) 国際ジャーナリスト・前 …
-
-
★『明治裏面史』/『日清、日露戦争に勝利した明治人のリーダーパワー,リスク管理 ,インテリジェンス㊾★青木大佐の『特別任務班(鉄道破壊工作)』★『横川省三班は横川、沖ら2人がロシア側にみつかり銃殺刑、4人も惨殺された』
★『明治裏面史』/『日清、日露戦争に勝利した 明治人のリーダーパワー,リスク管理 …
-
-
日本リーダーパワー史(328)『30分でわかる日中尖閣百年戦争の謎①歴史認識ギャップ、核心的利益とは(動画座談会)
日本リーダーパワー史(328) よくわかる「尖閣問題の歴史基礎知識 …
-
-
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑤ー1903(明治36)年3月l日、光緒29年葵卯2月3日『申報』 『アジア情勢論』『ロシアと日本、互いに憎み合う』
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑤ 1903(明治 …
-
-
日本メルトダウン脱出法(860)『トランプ外交のアナクロなアジア観 、日韓との同盟は不公平な取引だ』●『「黒田日銀はデフレ脱却成功したがマイナス金利は効果なし」ポーゼン氏―』●『アップルも撃沈させた中国一恐ろしいテレビ特番、今年の被害者は』●『香港・マカオ4泊5日、完全無料、ただし監禁――中国「爆買い」ツアーの闇』
日本メルトダウン脱出法(860) トランプ外交のアナ …
-
-
『オンライン/国難突破力講座』★日本リーダーパワー史(505)幕府側の外務大臣役(実質首相兼任)だった勝海舟の政治外交力を見習え⑦「政治には学問や知識は二の次 」「●八方美人主義はだめだ」
2014/05/27記事再録 日本リーダーパワー史(50 …
-
-
『世界漫遊/ヨーロッパ・パリ美術館ぶらり散歩』★『オルセー美術館編』★『オルセー美術館は終日延々と続く入場者の列。毎月第一日曜日は無料、ちなみに日本の美術館で無料は聞いたことがない』
2015/05/18 『F国際ビジネスマンのワールド・ …
-
-
★「コロナパンデミックの外出自粛令で、自宅で閉じこもって退屈している人のために、見るだけで!スカット,さわやか、ストレスクリーンアップ、超元気になるよ!>★<サーファー必見!、レッスン動画/鎌倉稲村ヶ崎ビッグサーフィン/ベストセレクション>➀
前坂俊之YouTube/チャンネルには稲村ヶ崎サーフィン動画が2013年ごろから …
-
-
国難日本史『江戸城無血開城』●日本世界史の奇跡ー話合いで150万江戸住民を戦火から守った西郷隆盛、勝海舟のリーダーシップ
<国難日本史>『江戸城無血開城』 ●◎日本世界史の奇跡―「江戸城無 …